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ニューロロジカルレベルとは?変化の6階層
ニューロロジカルレベルとは、人の経験を環境・行動・能力・信念・自己認識・ミッションの6階層で整理するNLPのモデル。各階層の意味と問い、悩みがどの階層にあるかの見極め方、どこで変えるかの選び方を、ワークとともに紹介します。
この記事の結論
ニューロロジカルレベルとは、NLPのロバート・ディルツがまとめたモデルで、人の経験を環境・行動・能力・信念と価値観・自己認識・ミッションの6つの階層で整理します。悩みがどの階層にあるかを見極めると、どこから変えればいいかの手がかりになります。
- 人の経験を、環境から自己認識・ミッションまでの6つの階層で整理する
- 悩みがどの階層にあるかを見極めると、変えるべき場所が見えてくる
- 上の階層ほど影響は広いが、環境を変えるだけで足りることも多い
目次 Contents
仕事を変えたいのに、なかなか踏み出せない。新しい習慣を始めても、三日で元に戻ってしまう。がんばっているのに、何かが空回りしている気がする。
そんなとき、問題は「やる気」や「努力」だけではないのかもしれません。変わろうとしている場所と、本当に引っかかっている場所が、ずれていることがあるのです。
たとえば、「早起きができない」という悩みの奥に、「今の仕事に意味を感じられない」という気持ちが隠れていることがあります。そうなると、目覚まし時計を増やしても、なかなか起きられるようにはなりません。
この記事では、悩みを6つの階層に分けて整理する「ニューロロジカルレベル」というモデルを紹介します。それぞれの階層の意味と、悩みがどこにあるかを見極めるワーク、どの階層から変えるかの選び方をまとめました。
ニューロロジカルレベルとは? 一言でいうと
ニューロロジカルレベルとは、人の経験を6つの階層に分けて整理するモデルです。下から、環境・行動・能力・信念と価値観・自己認識・ミッションと並びます。「ロジカルレベル」「論理レベル」とも呼ばれます。
NLP(神経言語プログラミング。優れた心理療法家の観察から生まれたコミュニケーションと自己変容の手法)の分野で、コーチングや研修でよく使われています。NLPそのものについては、NLPとは?神経言語プログラミングの基本と活かし方で紹介しています。
誰が考えたのか
このモデルをまとめたのは、NLPの研究者・トレーナーのロバート・ディルツです。1980年代後半から、信念を変えるための方法やリーダーシップの研修の中で、このモデルを発展させてきました。
ヒントになったのは、人類学者グレゴリー・ベイトソンの考えです。ベイトソンは、学習やコミュニケーションには「階層」があると論じました。たとえば、ある問題の答えを覚える学びと、「問題の解き方そのもの」を身につける学びは、一段違う、というように。ディルツは、この発想を人の変化に応用したのです。
6つの階層と、それぞれの問い
6つの階層は、下から順に次のように整理されます。それぞれに、その階層を確かめるための問いがあります。
| 階層 | 中身 | 確かめる問い |
|---|---|---|
| 6. ミッション | 自分を超えたつながり、何のために | 誰のために、何のために? |
| 5. 自己認識 | 自分は何者か、という感覚 | 私は何者? |
| 4. 信念・価値観 | 大切にしていること、信じていること | なぜ? 何が大切? |
| 3. 能力 | スキル、やり方、考え方の戦略 | どうやって? |
| 2. 行動 | 実際にしていること、言っていること | 何をしている? |
| 1. 環境 | 場所、時間、まわりの人、物 | いつ、どこで、誰と? |
具体的なイメージをつかむために、「人前で話すのが苦手」という悩みを、階層ごとに見てみます。
- 環境:大人数の会議室だと特に緊張する
- 行動:話すときに早口になり、目線が下がる
- 能力:話の組み立て方を学んだことがない
- 信念・価値観:「失敗したら評価が下がる」と信じている
- 自己認識:「私は人前に立つタイプの人間ではない」と思っている
- ミッション:伝えたいことが、誰のためになるのかが見えていない
同じ悩みでも、どの階層から見るかで、打てる手がまったく変わってきます。
いちばん上の「ミッション」とは
ディルツは、いちばん上の階層を「スピリチュアル」と呼びました。宗教的な意味に限らず、自分という個人を超えた、より大きなものとのつながりを指す言葉です。家族、仲間、社会、次の世代。自分の行いが、そうした誰かや何かにつながっているという感覚です。
この記事では、わかりやすさのために「ミッション」と呼んでいます。毎日の仕事が、誰のどんな喜びにつながっているのか。それが見えているとき、人は多少の困難があっても歩き続けやすくなります。
階層の関係:上は下を動かし、下は上を支える
このモデルでは、上の階層は下の階層をまとめ、方向づけると考えます。
たとえば、「私は人の成長を支える人間だ」という自己認識をもつ人がいるとします。その人は、「人の可能性を信じる」という信念をもちやすく、話を聴く力を磨き、後輩の相談に乗るという行動をとるでしょう。そして、そうした行動がしやすい場所を選ぶかもしれません。上の階層の変化は、下の階層に広く波及しやすいのです。
ただし、矢印は上から下への一方通行ではありません。新しい環境に身を置き、新しい行動をくり返すうちに、「自分にもできる」という信念が育ち、自己認識が変わっていくこともあります。階層は、上からも下からも影響し合うものです。
悩みがどの階層にあるかを見極める
悩みを抱えているとき、私たちはそれがどの階層の問題なのかを、混ぜて考えがちです。
よくあるのが、行動の階層の出来事を、自己認識の階層で受け止めてしまうことです。プレゼンで一度言葉に詰まった(行動)だけなのに、「私は人前で話せない人間だ」(自己認識)と結論づけてしまう。一つの出来事が、自分という人間全体の評価にすり替わっているのです。
逆に、本当は信念や価値観の階層で引っかかっているのに、行動の階層だけで解決しようとすることもあります。冒頭の早起きの例が、それにあたります。
たとえば転職の悩みなら、「環境:今の職場は安定している」「行動:求人を見るだけで応募していない」と書いていくとします。その中で、「信念:一度決めた道を変えるのは逃げだ」と書いた瞬間に、胸がざわついたなら、引っかかりはそこにあるのかもしれません。信念の階層をもう少し深めたい人は、ビリーフとは?自分を縛る思い込みの外し方をどうぞ。
どの階層で変えるかを選ぶ
ニューロロジカルレベルの説明では、「上の階層ほど影響が大きいから、上から変えよう」と語られることがあります。けれど、いつも上から取り組むのがいいとは限りません。
環境を変えるだけで足りることも多い
勉強が続かない人が、カフェや図書館に場所を変えただけで集中できるようになる。こうしたことは珍しくありません。悩みを深く掘りすぎず、まず環境や行動を少し変えてみる。それで解決するなら、それがいちばん負担の少ない方法です。
同じ行動でも、状況によって意味は変わります。NLPでは、行動が起きる状況や背景を「コンテクスト」と呼びます。
人を評価するときは、階層を混ぜない
階層の考え方は、人に声をかけるときにも役立ちます。相手が失敗したとき、「今回の資料は、数字の確認が足りなかったね」は行動の階層への言葉です。「あなたはいつも雑だね」は、自己認識の階層に向けた言葉になります。
行動の階層の言葉なら、相手は次に何を変えればいいかがわかります。自己認識の階層で否定されると、人は自分全体を否定されたように感じ、身構えてしまいます。
ほめるときも同じです。子どもを対象にした研究があります。「頭がいいね」と能力そのものをほめられた子は、その後の難しい課題で粘り強さを失いやすい傾向がありました。一方で、「よくがんばったね」と取り組み方をほめられた子は、挑戦を続けやすかったと報告されています(Mueller & Dweck, 1998)。
自己認識やミッションの言葉は、大きな支えにもなる
一方で、上の階層の言葉が、大きな力になることもあります。「私は、人の話を最後まで聴く人でありたい」。そう言葉にできると、日々の小さな行動に一本の筋が通ります。
自分は何者か、という問いをもっと深めたい人はアイデンティティとは?「私は何者か」を考える、何のために生きるかを考えたい人は人生の目的の見つけ方|生きる意味に迷ったらが手がかりになります。
6つの階層をそろえるワーク
ディルツは、6つの階層を一段ずつ体で確かめていくワークを紹介しています。ここでは、一人でもできる形にアレンジして紹介します。
体を使って一段ずつ移動すると、頭だけで考えるときとは違う気づきが生まれることがあります。うまく感じられなくても、問いに答えていくだけで十分です。
根拠と限界:モデルとして使う
ニューロロジカルレベルは、コーチングの現場で広く使われていますが、研究によって確かめられた理論ではありません。6つの階層が本当に「階層」として並んでいるのかには、異論もあります。ベイトソンの元の考え方とどこまで一致しているのかについても、NLPの内部で見方が分かれています。
また、NLP全体についても、科学的な裏づけが弱い技法があることが指摘されてきました(Sharpley, 1987 など)。
ですから、このモデルは「人の心はこうなっている」という説明としてではなく、悩みを整理するための地図として使うのがおすすめです。ディルツはこのモデルを、時間や視点の考え方と組み合わせた「NLP統一場理論」にも発展させています。使ってみて、整理しやすいと感じたら活かす。しっくりこなければ、別の地図を使う。そのくらいの距離感がちょうどいいでしょう。
どの階層からでも、変化は始められる
悩みの中にいるときは、すべてが一つの大きなかたまりのように見えます。階層に分けてみると、そのかたまりが少しほどけて、手をつけられる場所が見えてきます。
上の階層から考えたい日もあれば、まずは机の上を片づけたい日もあります。どちらも正しい一歩です。
今の悩みを一つ思い浮かべて、「これは、どの階層の話だろう?」と自分に聞いてみてください。答えが出なくても、その問いがあるだけで、悩みとの距離が少し変わります。大切にしていることを言葉にしたい人は、価値観の見つけ方|大切なものを言葉にするワークもあわせてどうぞ。
A question for you
あなたへの問い
今の悩みは、6つの階層のうち、どこにいちばん近いと思いますか?
このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。
よくある質問
ロジカルレベルとニューロロジカルレベルは、同じものですか?
同じモデルを指して使われることがほとんどです。考案者のロバート・ディルツは、人類学者グレゴリー・ベイトソンの「論理階型」の考え方をヒントにしました。そのため「ロジカルレベル(論理レベル)」とも呼ばれます。神経のはたらきとの関わりを強調するときに「ニューロロジカルレベル」と呼ぶことが多いようです。
上の階層を変えれば、下の階層も自然に変わりますか?
そう言い切ることはできません。上の階層の変化は下の階層に広く影響しやすいと考えられていますが、実際には、環境や行動を変えた経験が、信念や自己認識を変えていくことも多くあります。階層は一方通行ではなく、行き来するものと考えるのがおすすめです。
スピリチュアルの階層とは、宗教的な意味ですか?
宗教に限った意味ではありません。自分を超えたもの、たとえば家族や社会、次の世代とのつながりや、自分が何のために生きるのかという感覚を指します。この記事では、わかりやすさのために「ミッション」と呼んでいます。
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References
- Dilts, R. (1990). Changing Belief Systems with NLP. Meta Publications.
- Bateson, G. (1972). Steps to an Ecology of Mind. Chandler Publishing.
- Mueller, C. M., & Dweck, C. S. (1998). Praise for intelligence can undermine children's motivation and performance. Journal of Personality and Social Psychology, 75(1), 33–52.
- Sharpley, C. F. (1987). Research findings on neurolinguistic programming: Nonsupportive data or an untestable theory? Journal of Counseling Psychology, 34(1), 103–107.