No.04 Draw the Future未来を描く

人生の目的の見つけ方生きる意味に迷ったら

人生の目的の見つけ方を、壮大な使命を探すのではなく、価値観と「心が動く瞬間」から育てる視点で紹介。生きる意味を3つに分ける考え方、目的が見えなくなる理由、4つのワーク、つらいときの向き合い方まで。

公開 読了 約12分 PR:書籍の紹介に Amazon アソシエイトのリンクを含みます

この記事の結論

人生の目的とは、自分が大切にしたいことを、自分の外の誰かや何かに向けて生かしていく方向のことです。どこかに用意された正解を探すより、心が動いた体験から大切なものを言葉にし、小さな行動で確かめながら育てていくほうが見つかりやすくなります。

  • 人生の目的は、どこかで「見つける」より、体験と行動の中で「育てる」もの
  • 生きる意味は「理解」「目的」「意義」の3つに分けると考えやすくなる
  • 答えが出ない時期も、意味を探していること自体が大切な営みになる
目次 Contents
  1. 人生の目的とは? 一言でいうと
  2. 「生きる意味」は3つに分けると考えやすい
  3. 人生の目的が見えなくなる4つの理由
  4. 目的は「見つける」より「育てる」もの
  5. 人生の目的を育てる4つのワーク
  6. 目的を探すときに気をつけたいこと
  7. 生きる意味がわからなくて、つらいときは
  8. 遠くの答えより、足元を照らす小さな灯りを

何のために生きているのだろう。仕事を終えて帰る電車の中や、眠れない夜に、ふとそんな問いが浮かぶことがあります。毎日をこなしてはいるけれど、その先に何があるのかが見えない。そんな感覚を抱えて、このページを開いたのかもしれません。

周りを見ると、夢に向かって走っている人や、「これが私の使命です」と言い切れる人がいます。それに比べて、自分には何もない気がする。焦って本やネットで答えを探しても、どれも他人の言葉に聞こえて、しっくりこない。

でも、人生の目的を問うのは、立ち止まって自分の生き方を考えようとしている証拠です。流されるままでいいと思っていたら、この問いは浮かびません。答えがまだ出ていないことは、欠けているのではなく、途中にいるということです。

この記事では、人生の目的とは何かを整理したうえで、「生きる意味」を3つに分けて考える方法を紹介します。目的が見えなくなる理由と、価値観や心が動く瞬間から目的を育てていくワークもまとめました。

人生の目的とは? 一言でいうと

人生の目的とは、自分が大切にしたいことを、自分の外の誰かや何かに向けて生かしていく方向のことです。「人が安心して過ごせる場をつくる」「美しいものを残す」「目の前の人の力になる」。そんなふうに、方向として表されることが多いものです。

発達心理学者のウィリアム・デイモンらは、目的(パーパス)を次のように定義しました。自分にとって意味があり、同時に自分を超えた世界にもかかわる何かを成し遂げようとする、安定した意図のことです(Damon ら, 2003)。

この定義には、二つの要素が入っています。ひとつは「自分にとって意味がある」こと。もうひとつは「自分の外に向かっている」ことです。自分が楽しいだけでも、人のためだけでもなく、その両方が重なるところに目的は生まれやすい、という考え方です。

目的・目標・価値観の違い

人生の目的は、似た言葉と混ざりやすい言葉です。違いを表にしてみます。

例特徴
価値観誠実さ、自由、つながり自分の内側にある「大切にしたいもの」
目的人が本音で話せる場をつくる価値観を、外の世界に向けて生かす方向。終わりがない
目標来年、地域の読書会を始める目的に向かう途中の到達点。達成したら終わる

価値観が「何を大切にしているか」なら、目的は「それを、どこに向けて使うか」です。目標は、その方向へ進むための具体的な一歩にあたります。価値観がまだ言葉になっていない人は、先に価値観の見つけ方|大切なものを言葉にするワークを試してみてください。この先のワークが進めやすくなります。

「生きる意味」は3つに分けると考えやすい

「生きる意味がわからない」という悩みは、大きすぎて手がつけられない感じがします。心理学では、この大きな問いをいくつかの側面に分けて研究してきました。

フィンランドの研究者マルテラと、アメリカの心理学者スティーガーは、人生の意味には3つの側面があると整理しています(Martela & Steger, 2016)。

側面中身欠けたときの感覚
理解(コヒーレンス)自分の人生や出来事に、筋道が通っていると感じられる何が起きているのかわからない、ばらばらな感じ
目的(パーパス)向かっていきたい方向があるどこへ向かえばいいのかわからない
意義(シグニフィカンス)自分の人生には生きる価値があると感じられる自分がいてもいなくても同じ気がする

この表を見ながら、あなたの「わからない」がどれに近いかを考えてみてください。同じ「生きる意味がわからない」でも、中身は人によって違います。

たとえば、転職や引っ越しが続いて、これまでの人生がつながらない感じがする人は、「理解」が揺らいでいるのかもしれません。毎日は充実しているのに先が見えない人は、「目的」が見えにくくなっているのでしょう。自分の存在が誰の役にも立っていない気がする人は、「意義」が感じられなくなっているのかもしれません。

どこが欠けているかがわかると、手をつける場所が見えてきます。「理解」なら、これまでの出来事を書き出して物語としてつなぐこと。「意義」なら、誰かとのつながりを取り戻すこと。この記事が主に扱うのは「目的」ですが、3つは互いに支え合っています。

「意味を探している」ことは、悪いことではない

スティーガーらは、人生の意味を測る質問票(MLQ)を作りました。そこでは、「意味を感じていること」と「意味を探していること」を別々に測ります(Steger ら, 2006)。

この二つは、片方が高ければもう片方が低い、という単純な関係ではありません。意味を感じながら、さらに探し続けている人もいます。探しているからといって、あなたの人生に意味がないわけではないのです。

人生の目的が見えなくなる4つの理由

目的が見えないのは、あなたに何かが足りないからではありません。多くの場合、次のような理由が重なっています。

1. 「壮大な使命」でなければいけないと思っている

目的という言葉を聞くと、社会を変えるような大きな使命を思い浮かべがちです。でも、そんな言葉がすぐに出てくる人はまれです。

「家族が安心して帰ってこられる家を保つ」「職場で誰かがひとりで抱えこまないようにする」。こうした身近な方向も、立派な目的です。大きさで目的の価値は決まりません。

2. 他人の物語を借りようとしている

SNSや本には、目的をもって生きる人の物語があふれています。それを読むうちに、「あの人のような目的をもたなければ」と思いこむことがあります。

でも、借りてきた目的は、どこか体になじみません。人の物語は、ヒントにはなっても答えにはなりません。あなたの目的の材料は、あなたの体験の中にしかないのです。

3. 心と体が疲れている

意味を考える力は、余裕があるときにこそ働きます。睡眠が足りない、仕事に追われている、悩みごとで頭がいっぱい。そんなときに「生きる意味」を考えると、暗い答えばかりが浮かびやすくなります。

人生の目的がわからないと感じたとき、まず確かめたいのは体の調子です。休むことは、目的探しを後回しにすることではありません。考えるための土台を整えることです。

4. 頭の中だけで探している

「私の目的は何だろう」と考えこむほど、答えは遠のくことがあります。目的は、頭で設計するより、実際に何かをしてみて「これだ」と感じる中で見えてくることが多いからです。

やりたいことそのものが見えない人は、やりたいことがわからない人へ|見つけ方と小さな一歩もあわせて読んでみてください。

目的は「見つける」より「育てる」もの

人生の目的は、どこかに隠された宝物のように、探せば見つかるものなのでしょうか。この問いに、これまで多くの人が答えてきました。

人生から問われている、という見方

精神科医のヴィクトール・フランクルは、強制収容所での体験をもとに『夜と霧』を書きました。その中で彼は、考え方の向きを逆にしています。人生に何を期待できるかを問うのではなく、人生が自分に何を期待しているかを問う、というものです。

フランクルは、人が意味を見いだす道を3つ挙げました。何かを生み出したり、行ったりすること。何かを体験したり、誰かと出会ったりすること。そして、避けられない苦しみに対して、どんな態度をとるかということです。

この見方に立つと、目的は遠くにある答えではなくなります。今日、目の前にある仕事や人との関わりの中で、少しずつ応えていくものになるのです。

「生きがい」は、日々の手応えの中にある

日本では、精神科医の神谷美恵子が『生きがいについて』を著しました。ハンセン病療養所で働いた経験をもとに、人が生きがいを失い、また見いだしていく姿を見つめた本です。

神谷は、生きがいを「生きがいの対象」と「生きがい感」に分けて考えました。何に生きがいを感じるかと、生きがいを感じている心の状態は別のもの、ということです。大きな目標がなくても、誰かに必要とされている手応えや、日々の小さな喜びの中に、生きがい感は宿ります。

ロジカルレベルの「いちばん上」としての目的

NLP(神経言語プログラミング。優れた心理療法家の観察から生まれたコミュニケーションと自己変容の手法)という分野があります。そこには、ロバート・ディルツが整理した「ニューロロジカルレベル」という考え方があります。人の変化を、環境・行動・能力・信念と価値観・自己認識の5つの階層で捉えるものです。その上に、自分を超えたつながりや目的という層を置きます。

この階層は、科学的に検証されたモデルではなく、コーチングで考えを整理するための地図です。それでも、ひとつ示唆があります。目的は「私は何者か」よりさらに上、「私は何のために、誰とつながっているのか」という問いにあたる、という点です。詳しくはニューロロジカルレベルとは?変化の6階層で紹介しています。

三つの見方に共通しているのは、目的を「完成品として見つけるもの」と見ていないことです。体験と関わりの中で、少しずつ形になっていくもの。だからこの記事では、見つけるより「育てる」という言葉を使います。

人生の目的を育てる4つのワーク

ここからは、手を動かしながら目的の手がかりを集めます。一度に全部やる必要はありません。気になったものからひとつ選んでください。

ワーク1:心が動いた瞬間をたどる

目的の種は、心が大きく動いた瞬間に見つかることが多いものです。うれしかったこと、胸が熱くなったこと、時間を忘れたこと。その場面で、あなたは何を大切にしていたのでしょうか。

たとえば、こんな場面が出てきたとします。部活の後輩が初めて試合で活躍した日。地元の祭りの準備で、ばらばらだった人たちが一つにまとまった夜。友人の引っ越しを手伝い、新しい部屋で一緒にお茶を飲んだ午後。

共通しているのは、「誰かが新しい場所で力を出せるようになる瞬間」かもしれません。それがあなたの目的の種です。この段階では、きれいな言葉にする必要はありません。

ワーク2:「放っておけないこと」を探す

心が動くのは、うれしいときだけではありません。ニュースや身の回りの出来事で、なぜか気になって仕方がないこと、黙って見ていられないこと。そこにも目的の手がかりがあります。

次の問いに、思いつくまま答えてみてください。

  • 理不尽だと感じて、つい誰かに話してしまう出来事は?
  • 頼まれていないのに、つい手を出してしまうことは?
  • 「誰かがやればいいのに」と、何度も思ってきたことは?

たとえば、職場で新人が質問できずに困っている姿を見ると、いつも気になってしまう。そんな人は、「人が安心して学べる場」に深く関心があるのかもしれません。放っておけないことは、あなたが世界に向けて差し出せるものの方向を示しています。

ワーク3:未来の誰かに手渡したいものを考える

目的には、自分の外へ向かう性質があります。そこで、少し時間軸を広げて考えてみます。

あなたが年を重ねたとき、若い誰かに「これだけは手渡したい」と思うものは何でしょうか。技術、ものの見方、場所、思い出。形のあるものでも、ないものでもかまいません。

たとえば「人と食卓を囲む楽しさを伝えたい」と浮かんだとします。そこには、「人がつながる時間」を大切にする目的が見えています。手渡したいものは、あなたが生きてきた中で受け取り、大切にしてきたものでもあります。

ワーク4:仮の目的文を書いて、1週間試す

最後に、ワーク1〜3で集めた手がかりをもとに、仮の目的文を書きます。完成させる必要はありません。むしろ、仮のまま日常で試すことが大切です。

目的文は、何度書き直してもかまいません。半年後に読み返して、まったく違う言葉になっていても、それは失敗ではなく成長です。

目的を探すときに気をつけたいこと

目的探しは、ときに自分を苦しめる方向に進むことがあります。いくつか気をつけたい点をまとめます。

目的を「〜すべき」に変えない

目的が見つかると、「これに向かって毎日努力すべきだ」と自分を追い立てたくなることがあります。でも、目的は自分を縛る鎖ではありません。迷ったときに、どちらへ進むかを確かめる羅針盤です。疲れて進めない日があっても、方向は消えません。

仕事だけに目的を求めない

人生の目的というと、仕事やキャリアの話だと思いがちです。でも、目的が表れる場所は仕事に限りません。家族との時間、趣味、地域、友人。仕事は今の生活を支える手段と割り切り、目的は別の場所で育てるという生き方もあります。

仕事と目的を重ねたい人は、天職の見つけ方|好き・得意・価値観から探すが次の一歩になります。

答えが出ない時期を、無駄だと思わない

目的が見えない時期は、つらいものです。でも、その時期に考えたこと、試したことは、あとで目的の材料になります。今いる場所が「迷っている途中」だと感じる人は、人生に迷ったときに立ち止まって考えたいこともあわせて読んでみてください。

生きる意味がわからなくて、つらいときは

人生の目的を考えるうちに、「生きている意味なんてない」という気持ちに引きこまれることがあります。そんなときは、目的探しをいったん脇に置いてください。

意味を考えるのは、心と体に少し余裕があるときの作業です。苦しさが強いときに無理に答えを出そうとすると、自分を責める方向に考えが向きやすくなります。今日は眠る、温かいものを食べる、信頼できる人に「最近しんどい」と伝える。それだけで十分です。

フランクルが言うように、意味は苦しみの中にも見いだされることがあります。でもそれは、苦しみを一人で耐えるべきだという意味ではありません。助けを求めることも、人生に応えるひとつの方法です。

遠くの答えより、足元を照らす小さな灯りを

人生の目的は、ある日突然、天から降ってくるものではありません。心が動いた瞬間、放っておけなかったこと、誰かの役に立てた手応え。そうした小さな体験が積み重なる中で、少しずつ輪郭を帯びていくものです。

遠くの山頂に掲げられた旗のように、目的をはっきり見通せなくてもかまいません。足元を照らす小さな灯りがあれば、次の一歩は踏み出せます。

今日、あなたの心がほんの少しでも動いた瞬間があったら、それをメモしておいてください。誰と、どこで、何が起きていたか。その一行が、あなたの目的を育てる最初の種になります。

A question for you

あなたへの問い

あなたが「これは放っておけない」と感じるのは、どんなことですか?

このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。

よくある質問

人生の目的がないのは、おかしいことですか?

おかしくありません。はっきりした目的を言葉にできる人のほうが、むしろ少数です。目的は、生まれつき決まっているものではなく、体験を重ねる中で少しずつ形になっていくものです。今は「探している途中」と考えてかまいません。

人生の目的と目標は、どう違いますか?

目標は「3年後に資格を取る」のように、達成したら終わる到達点です。目的は「何のためにそれをするのか」という方向で、達成して終わるものではありません。目標は、目的に向かって歩くための道しるべと考えると整理しやすくなります。

人生の目的は、ひとつに絞らないといけませんか?

絞らなくてかまいません。仕事、家族、地域、趣味など、場面ごとに大切にしたい方向が複数あるのは自然なことです。人生の時期によって、どれが前に出るかも変わります。無理にひとつの言葉にまとめなくて大丈夫です。

生きる意味がわからず、毎日がつらいときはどうすればいいですか?

目的探しは、心に余裕があるときの作業です。つらさが強いときは、まず眠る、食べる、誰かに話すことを優先してください。つらい気持ちが2週間以上続くときや、消えてしまいたいと感じるときは、一人で抱えずに医療機関や相談窓口を頼ってください。

もう一歩深めたい人へ

PR・Amazonへのリンクを含みます
  • それでも人生にイエスと言う

    V・E・フランクル(著)/山田邦男、松田美佳(訳)/春秋社(1993年)

    『夜と霧』のフランクルによる講演集です。「人生に何を期待するか」ではなく「人生から何を問われているか」という視点で、生きる意味を考えたい人に向いています。

    Amazonで見る
  • 夜と霧

    ヴィクトール・E・フランクル(著)/池田香代子(訳)/みすず書房(2002年)

    強制収容所を生き抜いた精神科医フランクルの体験記です。どんな状況でも「態度を選ぶ自由」が残るという言葉は、生きる意味を考えたいときに静かに支えてくれます。

    Amazonで見る

References

  • Frankl, V. E. (2006). Man's Search for Meaning. Beacon Press.(原著1946年)
  • フランクル, V. E.(池田香代子訳)(2002)『夜と霧 新版』みすず書房
  • 神谷美恵子 (1966)『生きがいについて』みすず書房
  • Steger, M. F., Frazier, P., Oishi, S., & Kaler, M. (2006). The Meaning in Life Questionnaire: Assessing the presence of and search for meaning in life. Journal of Counseling Psychology, 53(1), 80–93.
  • Martela, F., & Steger, M. F. (2016). The three meanings of meaning in life: Distinguishing coherence, purpose, and significance. The Journal of Positive Psychology, 11(5), 531–545.
  • Damon, W., Menon, J., & Bronk, K. C. (2003). The development of purpose during adolescence. Applied Developmental Science, 7(3), 119–128.
  • Dilts, R. (1990). Changing Belief Systems with NLP. Meta Publications.
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。