No.05 On Coachingコーチングを知る

コーチング資格の選び方ICF認定ACC・PCCとは

コーチング資格には国家資格がなく、民間の資格が数多くあります。国際コーチング連盟(ICF)のACC・PCC・MCCの違いと認定のしくみ、養成講座の選び方、コーチを選ぶ人のための資格の見方、資格より大切なことまで紹介します。

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この記事の結論

コーチングには国家資格がなく、資格はすべて民間のものです。国際的な目安として知られるのが、国際コーチング連盟(ICF)のACC・PCC・MCCの3段階で、学習・実績・実技審査などを経て認定されます。資格は入口の目安で、相性や実践の質までは保証しません。

  • コーチングに国家資格はなく、ICFなどの民間資格が目安になる
  • ICF資格はACC・PCC・MCCの3段階。条件は公式サイトで最新を確認
  • 資格は入口の目安。取る人も選ぶ人も、目的と実践の質を見ることが大切
目次 Contents
  1. コーチング資格とは? まず知っておきたい全体像
  2. 国際コーチング連盟(ICF)とは
  3. ICFの3つの資格:ACC・PCC・MCC
  4. 資格を取りたい人へ:養成講座の選び方
  5. コーチを選ぶ人へ:資格の見方
  6. 資格より大切な、コーチとしての土台
  7. 資格は地図、歩くのはあなた

コーチングを学んでみたい。いつか、人の話を聴く仕事がしたい。そう思って資格を調べはじめたら、聞いたことのない名前がずらりと並んでいた。費用も期間もばらばらで、どれが本当に意味のある資格なのかわからない。そんな戸惑いを感じていませんか。

あるいは、コーチを探している側かもしれません。プロフィールに並ぶACC、PCCといったアルファベットが、何を意味するのかわからない。資格を持っている人を選べば安心なのか、知りたいと思っている人もいるでしょう。

資格選びに迷うのは、学びに真剣に向き合おうとしているからです。この記事では、コーチング資格の全体像と、国際的な目安として知られる国際コーチング連盟(ICF)の認定資格を整理します。資格を取りたい人と、コーチを選びたい人の両方が、判断材料にできる内容をまとめました。

なお、資格の条件や費用は改定されることがあります。この記事では細かい数字は扱わず、しくみの理解に絞って紹介します。最新の条件は、各団体の公式情報で確かめてください。

コーチング資格とは? まず知っておきたい全体像

最初に押さえておきたいのは、日本では、コーチングに国家資格がないということです。コーチングの資格は、すべて民間の団体や養成機関が認定しているものです。資格がなくても「コーチ」を名乗ることはできます。

コーチングの資格は、大きく次の3つに分けられます。

種類例特徴
国際的な団体の資格国際コーチング連盟(ICF)など学習・実績・審査の基準が公開され、国をまたいで通用しやすい
国内の団体の資格国内のコーチング団体が認定する資格団体ごとに基準や重視する点が異なる
養成機関の独自資格各スクールが修了者に出す認定そのスクールの講座を修了したことを示す

国際的な団体は、ICFだけではありません。ヨーロッパを中心に活動するEMCC(European Mentoring and Coaching Council)や、英国のAC(Association for Coaching)などもあります。日本では、中でもICFの資格がよく知られています。

養成機関の独自資格の中には、特定の考え方を深く学んだことを示すものもあります。たとえば、コーアクティブ・コーチングの養成機関が出すCPCCという資格です。コーアクティブについては、コーアクティブ・コーチングとは?特徴と考え方で紹介しています。

近い分野の国家資格

コーチングと近い分野には、国家資格もあります。職業選択やキャリアの相談を専門とするキャリアコンサルタントや、心理の専門職である公認心理師です。

キャリアコンサルタントは、資格を持たない人がその名称を名乗ることが法律で禁じられている、名称独占の国家資格です。働き方の相談を仕事にしたい人は、コーチングの資格とあわせて検討する価値があります。

国際コーチング連盟(ICF)とは

国際コーチング連盟(International Coaching Federation、ICF)は、コーチのための国際的な非営利団体です。1995年に米国で設立されました。世界中に会員を持ち、日本にも支部があります。

ICFは、主に次のような役割を担っています。

  • 倫理規定:コーチが守るべき倫理の基準を定める
  • コア・コンピテンシー:コーチに求められる能力を、いくつかの領域に分けて定義する
  • 個人の資格認定:一定の条件を満たしたコーチを、段階ごとに認定する
  • 養成プログラムの認定:コーチを育てる講座が、基準を満たしているかを認定する

ICFが定める8つのコア・コンピテンシー

ICFは、コーチに求められる能力を、現在は8つのコア・コンピテンシーとして示しています。資格の審査も、この能力を基準に行われます。内容を短くまとめると、次のとおりです(訳と要約は当サイトによるものです)。

  1. 倫理的に実践する
  2. コーチとしての心のあり方を体現する
  3. コーチングの合意をつくり、保つ
  4. 信頼と安心をはぐくむ
  5. 今この場に意識を向け続ける
  6. 積極的に聴く
  7. 気づきを引き出す
  8. クライアントの成長を後押しする

技術だけでなく、倫理や心のあり方が最初に置かれている点に、コーチングという仕事の性格が表れています。正式な文言は、ICFの公式サイトで確かめてください。

「ICF認定の講座」と「ICFの資格」は別もの

ここで混同しやすいのが、「ICF認定の講座」と「ICFの資格」の違いです。ICFが認定した講座を修了しても、それだけでICFの資格が得られるわけではありません。講座の修了は、資格を申請するための条件の一つです。資格を得るには、そのほかの条件も満たして、ICFに申請する必要があります。

ICFの3つの資格:ACC・PCC・MCC

ICFの個人向けの資格には、3つの段階があります。

資格正式名位置づけ
ACCAssociate Certified Coach学びを終え、実践を積みはじめたコーチの資格
PCCProfessional Certified Coach十分な経験を積んだ、プロフェッショナルとしてのコーチの資格
MCCMaster Certified Coach長い実践を重ねた、熟練したコーチのための最上位の資格

どの段階でも、認定にはおおむね次のような要素が求められます。

  • コーチングに特化した学習:決められた時間以上の講座を修了していること
  • コーチングの実績:クライアントへのコーチングを、一定の時間以上行っていること
  • メンターコーチング:資格を持つコーチから、自分のコーチングについて指導を受けていること
  • 実技の審査:実際のセッションの録音などを提出し、基準を満たしているかを審査されること
  • 知識の試験:コーチングの知識や倫理についての試験に合格すること

段階が上がるほど、求められる学習や実績の量は増え、審査の基準も高くなります。また、資格は取って終わりではなく、一定の期間ごとに、継続して学んだ実績を示して更新する必要があります。

具体的な時間数や費用は、改定されることがあるため、この記事では書いていません。資格を目指す人は、国際コーチング連盟(ICF)の公式サイトで、最新の条件を確かめてください。インターネット上の古い情報や、講座の宣伝に書かれた数字だけで判断しないことをおすすめします。

資格を取りたい人へ:養成講座の選び方

コーチングを学ぶ講座は、数多くあります。選ぶときは、次の点を確かめてください。

目指す資格につながるか

将来ICFの資格を考えているなら、その講座がICFの認定を受けているか、どの段階の申請に使えるかを確かめます。講座の説明だけでなく、ICFの公式サイトでも確認できると安心です。

費用の総額と、含まれるもの

講座の受講料だけでなく、メンターコーチングや資格の申請、試験にかかる費用が別に必要になることがあります。資格を得るまでの総額で考えてください。途中でやめるときの返金の条件も、書面で確かめておきます。

実践の機会と、フィードバックの質

コーチングは、知識だけでは身につきません。講座の中で、実際にコーチングをする練習の時間がどれくらいあるか。そして、経験のあるコーチから具体的なフィードバックを受けられるか。ここが、講座の質を大きく左右します。

「資格を取れば稼げる」には慎重に

「資格を取れば、すぐに高収入」「あなたも人生を変えるコーチに」。こうした宣伝には、慎重になってください。資格は、コーチとして活動するための土台です。資格を持っていても、クライアントが自然に集まるわけではありません。

高額な講座を次々にすすめられたり、ほかの人を勧誘すると得をするしくみがあったりする場合は、立ち止まってください。契約で困ったときは、消費者ホットライン「188」で相談窓口につながります。

学ぶ目的が「自分を知りたい」「身近な人との関係をよくしたい」なら、資格より先に、コーチングを受けてみることをおすすめします。受ける側の体験は、学ぶうえでも大きな財産になります。

コーチを選ぶ人へ:資格の見方

コーチを探している人にとって、資格はどう役に立つのでしょうか。

資格でわかること、わからないこと

ICFなどの資格を持っているコーチは、一定の学習を終え、実際のコーチングを積み、実技の審査を通っています。倫理規定に同意していることも、ひとつの安心材料です。

一方で、資格からわからないこともあります。そのコーチが、あなたのテーマを扱い慣れているか。あなたにとって話しやすい人か。資格の段階が高いことと、あなたとの相性がいいことは、別の話です。

資格の確かめ方

ICFの資格は、公式サイトで保有者を確認できるしくみがあります。プロフィールに書かれた資格が気になるときは、確認してみるとよいでしょう。養成機関の独自資格の場合は、どんな講座を修了したのかを、コーチに直接聞いてみてください。

守秘や料金、相性など、資格のほかに確かめたいことは、コーチの選び方|後悔しないための7つのポイントでまとめています。

資格より大切な、コーチとしての土台

最後に、資格を取る人にも、コーチを選ぶ人にも共通する、大切なことを3つ挙げます。

  1. 実践の積み重ね:コーチングの力は、実際の対話の中で育ちます。資格を取ったあとも、学び続ける姿勢が欠かせません。
  2. 自分も受け続けること:自分がコーチングを受けることで、クライアントの立場の感覚を忘れずにいられます。
  3. 倫理を大切にすること:守秘を守る、できないことはできないと伝える、必要なら専門家につなぐ。こうした誠実さは、どんな資格よりも信頼の土台になります。

コーチングそのものについて学び直したい人は、コーチングとは?意味・効果・受けて変わることも読んでみてください。どんな手法があるかは、コーチングの種類|目的別にわかる主な手法で紹介しています。

資格は地図、歩くのはあなた

資格は、コーチングという世界を歩くための地図のようなものです。どこを目指し、どんな道筋で学べばいいかを教えてくれます。でも、地図を持っているだけでは、目的地にはたどり着けません。

学ぶ人にとっても、選ぶ人にとっても、最後に大切なのは、目の前の一人と向き合う時間の質です。資格の名前に振り回されず、「何のために」を手放さずにいてください。

コーチングを学びたい気持ちがあるなら、まずは今日、身近な誰かの話を、途中で口をはさまずに最後まで聴いてみてください。そこから、あなたのコーチングの学びは、もう始まっています。

A question for you

あなたへの問い

あなたがコーチングを学びたい、いちばんの理由は何ですか?

このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。

よくある質問

コーチングの資格がないと、コーチとして活動できませんか?

日本では、コーチングに国家資格はなく、資格がなくても活動はできます。ただ、資格は、一定の学びと経験を積んだことを示す目安になります。特に会社向けのコーチングでは、国際的な資格を条件にする依頼もあるため、活動の場によって必要性が変わります。

ICFの資格を取るのに、どれくらいの時間と費用がかかりますか?

必要な学習時間やコーチングの実績時間、申請の費用は、資格の段階ごとに決まっており、改定されることもあります。費用は、受ける養成講座によっても大きく変わります。最新の条件は、国際コーチング連盟(ICF)の公式サイトで確認してください。

NLPの資格と、コーチングの資格は同じですか?

同じではありません。NLPの資格は、NLPの技法を学んだことを示すもので、発行する団体ごとに基準が異なり、統一された基準はありません。コーチングの資格を考えるなら、コーチングそのものの学習や実績、倫理規定への同意を求める資格かどうかを確かめてください。

キャリアコンサルタントとコーチの資格は、何が違いますか?

キャリアコンサルタントは、職業選択やキャリアの相談を専門とする国家資格です。コーチングの資格は民間のもので、キャリアに限らず幅広いテーマを扱います。働き方の相談を仕事にしたい場合は、両方を学ぶ人もいます。

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References

  • 国際コーチング連盟(ICF)公式サイト
  • 職業能力開発促進法(キャリアコンサルタントの登録制度)
  • Cox, E., Bachkirova, T., & Clutterbuck, D. (Eds.). (2018). The Complete Handbook of Coaching (3rd ed.). SAGE Publications.
  • Graßmann, C., Schölmerich, F., & Schermuly, C. C. (2020). The relationship between working alliance and client outcomes in coaching: A meta-analysis. Human Relations, 73(1), 35–58.

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。