No.05 On Coachingコーチングを知る

コーチの選び方後悔しないための7つのポイント

コーチングの選び方を、初めての人向けに中立的にまとめました。得意分野や資格、守秘、料金と契約、相性など7つのポイント、体験セッションで確かめたい質問、避けたほうがいいサイン、合わないときの考え方まで紹介します。

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この記事の結論

コーチを選ぶときは、まず自分が何をしたいのかを決め、得意分野・資格や学んだ背景・守秘・料金と契約・相性を確かめます。中でも大切なのは、体験セッションで「この人の前なら本音で話せるか」を感じることです。成果の保証や即決を迫るコーチは避けましょう。

  • まず自分の目的を言葉にし、コーチングが合う悩みかを確かめてから選ぶ
  • 資格や実績は入口の目安。決め手は、安心して本音を話せるかどうか
  • 成果の保証、即決の要求、高額講座への勧誘は、立ち止まるサイン
目次 Contents
  1. 選ぶ前に:コーチングで何をしたいかを言葉にする
  2. 後悔しないコーチの選び方:7つのポイント
  3. 料金の考え方:「相場」より「総額」と「中身」
  4. 体験セッションで確かめたいこと
  5. 立ち止まったほうがいい5つのサイン
  6. コーチの探し方
  7. 始めてから「合わない」と感じたら
  8. 選ぶ時間も、自分を知る時間になる

コーチングを受けてみたい。でも、検索するとコーチは山ほどいて、誰を選べばいいのかわからない。料金もばらばらで、資格の名前もたくさん並んでいる。比べているうちに疲れて、ページを閉じてしまった。そんな経験があるかもしれません。

初めてのことに慎重になるのは、自然なことです。コーチングは目に見えない対話のサービスなので、受ける前に中身がわかりにくい。しかも、自分の内面に関わる話をする相手です。失敗したくないと思うのは、当然です。

この記事では、特定のサービスをすすめることはしません。そのかわり、どのコーチを選ぶにしても役に立つ判断のものさしを、中立の立場でまとめました。選ぶ前の準備から、7つのポイント、体験セッションで聞きたい質問、避けたほうがいいサインまで順に紹介します。

選ぶ前に:コーチングで何をしたいかを言葉にする

コーチ選びでいちばん大切なのは、実はコーチを見る前の準備です。自分が何のためにコーチングを受けたいのかを、ざっくりでいいので言葉にしておきましょう。

「転職するかどうか、考えを整理したい」「やりたいことを見つけたい」「部下との関わり方を変えたい」。目的が見えると、どんな経験を持つコーチが合うのかも見えてきます。

まだはっきりしなくても大丈夫です。「何を話したいかわからない」も、立派な出発点です。その場合は、テーマを一緒に探すところから付き合ってくれるコーチを選ぶとよいでしょう。

目的によって、探す相手が変わる

目的が見えたら、どんな相手を探せばいいかを考えます。目安を表にまとめました。

したいこと探すときの手がかり
生き方や、やりたいことを考えたいライフコーチ、パーソナルコーチ
転職や働き方を考えたいキャリアを得意とするコーチ、キャリアコンサルタント
管理職・経営者として関わり方を磨きたいビジネスコーチ、エグゼクティブコーチ
人間関係や子育ての関わり方を見直したいそのテーマの経験があるコーチ

この表は、探し方の目安として整理したものです。なお、キャリアコンサルタントはコーチとは別の国家資格で、職業選択やキャリアの相談を専門にしています。働き方の悩みでは、こちらも選択肢になります。

その悩みは、コーチング向き?

コーチングは、今の生活を送れている人が、これからに向けて考え、動くことを支えるものです。心の不調を治療するものではありません。

気分の落ちこみが続いて眠れない。過去のつらい出来事が頭から離れない。そんなときは、医療機関やカウンセリングを先に考えてください。どちらが合うか迷う人は、コーチングとカウンセリングの違い|どちらを選ぶ?を参考にしてください。

コーチングそのものがまだよくわからない人は、先にコーチングとは?意味・効果・受けて変わることを読んでおくと、比べるときの見通しがよくなります。

後悔しないコーチの選び方:7つのポイント

ここからは、コーチを比べるときに確かめたい7つのポイントです。全部を満たす完璧なコーチを探す必要はありません。自分にとって外せないものを2〜3個決めておくと、迷いにくくなります。

1. 得意なテーマと経験が、自分の目的に合っているか

コーチにも得意分野があります。キャリア、人生全般、経営やリーダーシップ、人間関係、子育て、スポーツなどです。同じコーチングでも、扱い慣れたテーマかどうかで、問いの深さが変わることがあります。

経験を確かめるときは、「何人をコーチしてきたか」のような数字だけでなく、具体的な中身を聞くのがおすすめです。「私のようなテーマの人とは、どんなふうに進めてきましたか?」と聞くと、その人の進め方が見えてきます。

2. 資格と、どこで何を学んできたか

日本では、コーチングに国家資格はありません。誰でも「コーチ」と名乗れるため、学んできた内容や経験は人によって大きく違います。

ひとつの目安になるのが、国際コーチング連盟(ICF)の認定資格です。ACC、PCC、MCCの3段階があり、学習時間やコーチングの実績、実技の審査などを経て認定されます。国内の団体や養成機関が独自に認定する資格も、たくさんあります。

資格は、一定の学びと経験を積んだという入口の目安です。ただ、資格があれば相性がいいとは限りません。資格の仕組みについては、コーチング資格の選び方|ICF認定ACC・PCCとはで詳しく紹介しています。

3. 守秘と倫理について、説明があるか

コーチングでは、家族や職場のこと、自分の弱さなど、ふだん人に言わない話をすることもあります。だからこそ、話した内容がどう扱われるかは、最初に確かめておきたい点です。

ICFなどの団体は、守秘や利益相反の扱いを含む倫理規定を定めています。どの団体に属しているかにかかわらず、次のような点を説明してくれるかを見てください。

  • 話した内容を、誰にどこまで共有するのか
  • セッションの記録やメモは、どう保管し、いつ処分するのか
  • 会社が費用を出す場合、会社に何を報告するのか

特に会社経由のコーチングでは、本人と会社の間で、報告の範囲を最初にはっきりさせておくことが大切です。

4. 料金と契約の中身が、わかりやすいか

料金は、コーチの経験や形式によって大きく異なります。だからこそ、金額の大小より、中身のわかりやすさで比べることをおすすめします。具体的な確認点は、このあとの「料金の考え方」で紹介します。

わかりやすいコーチは、聞く前から料金と条件を示しています。質問しても答えがあいまいなときは、慎重になってください。

5. 安心して本音を話せるか(相性)

7つの中で、いちばん大切なのがこれです。コーチングの研究では、コーチとクライアントの信頼関係の質が、成果と結びついていることがくり返し示されています(Graßmann ら, 2020)。

興味深いのは、「似た者どうし」である必要はないという点です。大規模な調査では、成果に関係していたのは、クライアントが感じる関係の良さでした。コーチとクライアントの性格が似ているかどうかは、成果とあまり関係がなかったと報告されています(de Haan ら, 2016)。

つまり、自分と似た経歴や性格の人を探すより、「この人の前なら、身構えずに話せるか」を感じることのほうが大切です。安心して話せる関係については、ラポールとは?信頼関係を築く5つのコツも参考になります。

6. セッションの形式が、自分の暮らしに合うか

続けやすさは、形式で大きく変わります。確かめておきたいのは、次のような点です。

  • 1回の時間と、頻度(毎週、隔週、月1回など)
  • 対面か、オンラインか、電話か
  • 日程の変更やキャンセルのルール
  • セッションの合間に、メッセージなどで相談できるか

夜しか時間がとれない、子どもが寝たあとに話したいなど、自分の事情を伝えて、無理なく続けられるかを確かめましょう。

7. できないことを、正直に話してくれるか

信頼できるコーチは、コーチングでできることと、できないことを分けて話します。テーマによっては、医療やカウンセリング、法律の専門家など、ほかの支援を勧めることもあります。

反対に、「どんな悩みでも解決できる」「結果を保証する」と言いきるコーチには注意が必要です。人の変化は、そう単純ではありません。限界を正直に話せることは、誠実さのあらわれです。

料金の考え方:「相場」より「総額」と「中身」

コーチングの料金を調べると、金額の幅の大きさに驚くかもしれません。コーチの経験や、個人か会社向けか、回数や期間によって、料金は大きく変わります。ひとつの「相場」で判断するのは難しいのが実情です。

比べるときは、次の点を書き出してみてください。

確認すること見るポイント
総額1回あたりではなく、契約期間全体でいくらになるか
回数と時間何回、1回何分のセッションが含まれるか
期間何か月の契約か。途中で見直す機会はあるか
含まれるものセッション間の連絡や、診断ツールなどが含まれるか
支払い方法一括か、月ごとか
解約と返金途中でやめるとき、残りの料金はどうなるか

この表は、契約前に確認しておきたい点を整理したもので、特定の基準にもとづくものではありません。条件は、口頭ではなく書面やメールで受け取っておくと安心です。

料金が高いほど質が高い、とは限りません。反対に、安すぎる場合は、あとから高額な講座やプログラムに誘われる入口になっていないかも確かめてください。

契約の内容でトラブルになったときは、一人で悩まないでください。消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターなどにつながります。

体験セッションで確かめたいこと

多くのコーチは、初回に「体験セッション」や「オリエンテーション」の時間を設けています。無料の場合も有料の場合もありますが、どちらにしても、相性を確かめる大切な機会です。

コーチに聞いてみたい質問

  • 「どんな人のコーチングを、どれくらい経験してきましたか?」
  • 「私のテーマだと、どんなふうに進めることが多いですか?」
  • 「コーチングで扱えないテーマはありますか? そのときはどうしますか?」
  • 「話した内容は、どのように扱われますか?」
  • 「合わないと感じたときは、どうすればいいですか?」
  • 「料金と、解約の条件を書面でいただけますか?」

聞きにくい質問ほど、答え方にその人の姿勢が表れます。嫌な顔をせず、具体的に答えてくれるかを見てください。

自分の内側で感じておきたいこと

質問の答えと同じくらい大切なのが、話しているときの自分の感覚です。話を遮られずに聴いてもらえたか。急かされる感じはなかったか。終わったあと、少し軽くなったか、それとも疲れたか。

うまく言葉にならなくても、「なんとなく話しやすかった」「なんとなく身構えた」という感覚は、大切な判断材料です。

決めるのは、一晩おいてから

体験セッションの直後は、気持ちが高ぶっていることがあります。話を聴いてもらえた心地よさから、その場で申しこみたくなることもあるでしょう。

決めるのは、一晩おいてからでも遅くありません。翌日、準備メモを読み返して、「3か月後にどうなっていたいか」にこの人と近づけそうかを考えます。それでも気持ちが変わらなければ、それは信頼できる直感です。

立ち止まったほうがいい5つのサイン

ほとんどのコーチは誠実に仕事をしています。ただ、残念ながら、そうでないケースもあります。次のようなサインがあったら、その場で決めずに立ち止まってください。

  1. 成果を保証する:「収入アップを保証する」「人生が変わることを約束する」など
  2. 即決を迫る:「今日決めれば割引」「枠が残りわずか」と、考える時間を与えない
  3. 高額な講座へ誘導する:「あなたもコーチになれば稼げる」と、別の高額プログラムに誘う
  4. 疑問を受けつけない:質問すると不機嫌になる、「疑うから変われない」と言う
  5. 医療や身近な人を否定する:「薬はやめたほうがいい」「家族はあなたの成長を邪魔している」と言う

特に5つ目は、あなたの安全に関わります。コーチングは、医療の判断を代わりに行うものではありません。治療中の人は、方針を変える前に、まず主治医に相談してください。

コーチの探し方

コーチを探す方法は、いくつかあります。ひとつに頼らず、組み合わせて候補を集めるのがおすすめです。

  • 知人や同僚の紹介:実際の様子を聞けるのが強みです。ただ、その人に合ったコーチが自分にも合うとは限りません。
  • 資格団体の検索:ICFなどの団体は、資格保有者を確認できる仕組みを用意しています。詳しくは公式サイトで確かめてください。
  • コーチ本人の発信:ブログや本、SNSの文章から、考え方や言葉づかいが自分に合うかを感じとれます。
  • 会社の制度:勤め先によっては、福利厚生や研修としてコーチングを受けられることがあります。

候補は、2〜3人に絞って体験セッションを受けてみると、比べる感覚がつかめます。どんな種類のコーチングがあるかを先に知りたい人は、コーチングの種類|目的別にわかる主な手法もどうぞ。

始めてから「合わない」と感じたら

コーチングを始めてから、違和感を覚えることもあります。そんなときは、我慢して続ける前に、そのことをコーチに伝えてみてください。

「もう少し、自分のペースで考える時間がほしい」「今日の質問は、少し責められているように感じた」。こうした率直な声を受け止めて、進め方を変えられるのが、良いコーチです。関係のずれを話題にして修復できると、かえって信頼が深まることもあります。

ただ、違和感のすべてが「合わない」のサインとは限りません。ずっと避けてきたテーマに触れる問いは、誰にとっても耳が痛いものです。見分ける目安は、問いのあとに残る感覚です。痛くても、どこかで「本当はそこを考えたかった」と感じるなら、それは前に進んでいるしるしかもしれません。責められた、否定されたという感覚だけが残るなら、伝えてみる価値があります。

始めるときに、「3か月たったら一度ふり返りましょう」と区切りを決めておくのもおすすめです。最初に描いた「どうなっていたいか」と比べて、何が変わり、何が変わっていないか。区切りがあると、続けるか、進め方を変えるかを落ち着いて話し合えます。

それでも合わないなら、やめたり、別のコーチを探したりしてかまいません。コーチ選びに一度で正解する必要はありません。合わなかった経験も、「自分はどんな関わり方を望んでいるのか」を教えてくれます。セッションの進み方の目安は、コーチングセッションの流れ|初回から振り返りまでで紹介しています。

選ぶ時間も、自分を知る時間になる

コーチを選ぶことは、単なるサービス選びではありません。何を話したいのか、どんな人の前なら安心できるのか、何は譲れないのか。選ぶ過程そのものが、自分の望みに耳を澄ます時間になります。

完璧なコーチを見つけてから動こうとしなくて大丈夫です。まずは準備メモを書いて、気になる人に一度会ってみる。話してみて、違うと感じたら、また探せばいい。

あなたの話に、最後まで耳を傾けてくれる人は、きっと見つかります。その出会いに向けた最初の一歩は、自分が何を話したいのかを、そっと書き出してみることです。

A question for you

あなたへの問い

コーチに最初に話すとしたら、どんなテーマから話したいですか?

このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。

よくある質問

コーチングの料金の相場は、どれくらいですか?

コーチの経験や形式、契約期間によって幅が大きく、ひとつの相場では語りにくいのが実情です。比べるときは、1回あたりの金額より、期間全体の総額と、回数、時間、セッションの合間の連絡が含まれるかを確かめてください。

資格を持っていないコーチは、避けたほうがいいですか?

日本ではコーチングに国家資格がないため、資格の有無だけでは判断できません。資格は、一定の学びや経験を積んだ目安になります。資格がなくても実力のあるコーチはいますが、その場合は、どこで何を学んだか、どんな経験があるかを具体的に聞いてみてください。

体験セッションを受けたら、契約しなければいけませんか?

その必要はありません。体験セッションは、お互いに相性を確かめるための時間です。その場で決めず、持ち帰って考えてかまいません。断りにくい雰囲気をつくられたり、即決を求められたりした場合は、それ自体が判断材料になります。

途中でコーチを変えてもいいですか?

かまいません。合わないと感じたら、まずはそのことをコーチに伝えてみてください。進め方を見直すことで改善することもあります。それでも合わないなら、契約の条件を確かめたうえで、やめたり別のコーチを探したりするのは自然な選択です。

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References

  • 国際コーチング連盟(ICF)公式サイト
  • de Haan, E., Grant, A. M., Burger, Y., & Eriksson, P.-O. (2016). A large-scale study of executive and workplace coaching: The relative contributions of relationship, personality match, and self-efficacy. Consulting Psychology Journal: Practice and Research, 68(3), 189–207.
  • Graßmann, C., Schölmerich, F., & Schermuly, C. C. (2020). The relationship between working alliance and client outcomes in coaching: A meta-analysis. Human Relations, 73(1), 35–58.
  • Bordin, E. S. (1979). The generalizability of the psychoanalytic concept of the working alliance. Psychotherapy: Theory, Research & Practice, 16(3), 252–260.
  • 消費者庁「消費者ホットライン」
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。