No.03 Connect人とつながる
オープンクエスチョンとクローズドの使い分け
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違いと使い分けを、例文つきで紹介。会話を深める組み合わせ方、「なぜ」を「何が」に変える工夫、未来に目を向ける質問、自分自身への問いかけへの応用、質問攻めにしないコツまでまとめました。
この記事の結論
オープンクエスチョンは「どう思う?」のように自由に答えられる質問、クローズドクエスチョンは「はい・いいえ」や短い言葉で答える質問です。話を広げたいときはオープン、確認や決定にはクローズドが向いています。両方を組み合わせると、相手が答えやすく、会話も深まります。
- オープンは話を広げ、クローズドは確かめて決める。どちらにも役割がある
- 広すぎる問いは答えにくい。範囲をしぼったオープンが会話を深める
- 自分への問いも、「なぜダメなんだ」より「何があれば」が前に進みやすい
目次 Contents
聞きたいことはあるのに、うまく質問できない。質問したら「はい」で会話が終わってしまい、気まずい沈黙が流れた。逆に、相手を質問攻めにしてしまい、取り調べのような空気になった。質問について調べているあなたは、そんなもどかしさを感じたことがあるのかもしれません。
質問は、会話の中で思っている以上に大きな役割を担っています。ひとつの問いで、相手が心を開くこともあれば、口を閉ざすこともあります。
うまく質問できないのは、話し下手だからではありません。質問にはいくつかの型があり、それぞれ得意なことが違うからです。型を知れば、場面に合わせて選べるようになります。
この記事では、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違いと使い分けを、例文で紹介します。後半では、同じ型を自分自身への問いかけに使う方法もお伝えします。
オープンクエスチョンとは? クローズドとの違い
オープンクエスチョンとは、「どう思う?」のように、相手が自由に答えられる質問です。拡大質問とも呼ばれます。クローズドクエスチョンは、「はい・いいえ」や、ひとつの言葉で答えられる質問で、限定質問とも呼ばれます。
| オープンクエスチョン | クローズドクエスチョン | |
|---|---|---|
| 例 | 「週末はどう過ごした?」 | 「週末は出かけた?」 |
| 答え方 | 自由に、自分の言葉で | 「はい・いいえ」や短い言葉 |
| 得意なこと | 話を広げる、考えや気持ちを引き出す | 事実を確かめる、決める |
| 答える負担 | 考える必要があり、やや重い | 軽く、すぐに答えられる |
| 注意点 | 広すぎると答えにくい | 続くと尋問のようになる |
どちらが優れている、ということはありません。オープンは「扉を開ける質問」、クローズドは「扉を確かめる質問」と考えるとわかりやすいかもしれません。会話の目的によって、使い分けるものです。
クローズドクエスチョンの上手な使い方
クローズドクエスチョンは、会話を「狭める」質問として、悪者にされがちです。でも、次のような場面では、とても役に立ちます。
確かめたいとき、決めたいとき
「明日の会議は10時からで合っていますか?」「A案とB案、どちらで進めますか?」。事実の確認や、決めるべきことを決めるときには、クローズドのほうが誤解がありません。
会話の入り口として
初対面の人に、いきなり「あなたの人生で大切なことは何ですか?」と聞かれたら、戸惑うはずです。「このあたりにお住まいなんですか?」のように、答えやすい質問から入ると、相手は肩の力を抜けます。疲れている人や、話すのが苦手な人にも、答えやすいクローズドは親切な質問です。
選択肢を示して、答えやすくする
「何が食べたい?」と聞いて「何でもいい」と返ってきたら、「和食と中華なら、どっち?」と選択肢を示します。選択肢があると、相手は自分の好みに気づきやすくなります。
オープンクエスチョンの上手な使い方
オープンクエスチョンは、相手の考えや気持ちを引き出すのに向いています。ただし、使い方しだいで、答えやすさは大きく変わります。
問いには、なぜ考えを深める力があるのでしょうか。『コーチング ハンドブック』PRでは、質問の働きを「空白」と「焦点」という言葉で説明しています。問いを投げかけられると、相手の頭の中に、答えの入る「空白」が生まれます。人はその空白を埋めようと、自然に答えを探しはじめます。そのとき、これまで意識を向けていなかったところに、新しい「焦点」が合うというのです。
「今週、いちばん印象に残ったことは?」と聞かれて、忘れかけていた出来事を思い出す。それも、問いが焦点を動かした一例といえます。
広すぎる問いは、少しだけ絞る
「最近どう?」は、オープンクエスチョンの代表です。でも、範囲が広すぎて、「ふつう」「まあまあ」で終わりがちです。「今週、いちばん印象に残ったことは?」のように、範囲を少し絞ると、答えやすさがぐっと上がります。
「なぜ」を「何が」に変える
「なぜ遅れたの?」「なぜできなかったの?」。失敗の場面での「なぜ」は、責められているように聞こえやすい言葉です。相手は、状況を説明するより、言い訳を考えはじめてしまいます。
「何があったの?」「何が難しかった?」と聞き方を変えると、問いの向きが「あなた」から「状況」に移ります。相手は、身構えずに起きたことを話しやすくなります。
相手の答えから、次の問いをつくる
心理学者のフアンらは、初対面の人どうしの会話を分析しました(Huang ら, 2017)。すると、質問を多くした人ほど、相手から好かれる傾向がありました。特に効果が大きかったのは、相手の答えを受けて、さらに掘り下げる「追いかけの質問」でした。
「旅行が好きなんです」に対して、「どこに行きましたか?」と聞くのは自然です。そこで返ってきた答えに対して、「そこで、いちばんよかったのは?」とさらに一歩聞く。
追いかけの質問は、「あなたの話を聴いています」というメッセージにもなります。質問の前に、相手の言葉を短く返すと、さらに自然になります。返し方はバックトラッキングとは?おうむ返しの上手な使い方で紹介しています。
事実、気持ち、意味の順に深める
オープンクエスチョンにも、深さの段階があります。「何があったの?」は事実を、「そのとき、どう感じた?」は気持ちを聞く質問です。さらに「それは、あなたにとってどんな意味があった?」と聞くと、相手の価値観に触れる問いになります。
いきなり意味を聞くと、相手は戸惑います。事実から気持ちへ、気持ちから意味へと、相手の話に沿って少しずつ深めていくのが自然です。相手の言葉があいまいなときに、具体的な体験を聞く質問の型は、メタモデルとは?言葉の奥にある本音を聴く質問で紹介しています。
会話を深める、質問の組み合わせ方
広げて、絞って、確かめる
実際の会話では、オープンとクローズドを組み合わせて使います。基本の流れは、オープンで広げ、少しずつ絞り、最後にクローズドで確かめる、というものです。
相手の話を聴きながら質問する方法は、傾聴のコツ|聴くことで人とつながる方法でも扱っています。
過去ではなく、未来に目を向ける質問
質問は、時間の向きでも分けられます。「どうして失敗したのか」と過去に向ける質問は、原因を知るのに役立ちますが、重ねすぎると気持ちが沈みます。
「次はどうしたい?」「どうなったら、うまくいったと言える?」と未来に向ける質問は、行動の手がかりを生みやすくなります。目標に向かって問いを組み立てる方法は、GROWモデルとは?自分でできる目標達成の型で紹介しています。
数字で聞く:スケーリング・クエスチョン
短期療法の分野では、「スケーリング・クエスチョン」がよく使われます(de Shazer, 1988)。「今の気分を0から10で表すと、いくつ?」と数字で聞く方法です。
「3」と返ってきたら、「3でいられるのは、何があるから?」「それが4になったら、何が違っている?」と続けます。数字にすると、漠然とした気持ちが扱いやすくなり、小さな変化にも目が向きます。
立場が上の人が質問するとき
上司や親、先生など、立場が上の人からのオープンクエスチョンには、注意が必要です。相手にとって「試されている」ように感じられることがあるからです。「この件、どう思う?」と聞かれた部下は、正解を探して黙りこむかもしれません。
そんなときは、問いの前にひと言添えます。「正解はないから、思ったままを聞かせて」「途中の考えでいいよ」。答えの自由を言葉で保証すると、オープンクエスチョンは本来の働きをとり戻します。
自分への問いかけにも使える
質問の型は、人との会話だけでなく、自分への問いかけにも使えます。私たちは一日中、心の中で自分に問いを投げかけています。「なぜ私はいつもこうなんだろう」「どうしてうまくいかないんだろう」。
こうした問いは、答えの出ない堂々めぐりになりがちです。
自分を責める問いを、少しだけ形を変えてみると、問いは前に進む道具になります。
| 堂々めぐりになりやすい問い | 前に進みやすい問い |
|---|---|
| なぜ私はダメなんだろう | 何があれば、少し楽になる? |
| どうしていつも失敗するんだろう | 前にうまくいったときは、何が違った? |
| 私は何がしたいんだろう | 最近、時間を忘れたのはどんなとき? |
心の中の口ぐせを整えたい人は、セルフトークとは?心の口ぐせを味方にするも参考にしてください。自分への問いを書きながら深めていく方法は、ジャーナリングとは?書く瞑想のやり方と効果で紹介しています。
質問でよくある失敗
質問攻めにしてしまう
質問を続けると、相手は取り調べを受けているように感じます。特にクローズドクエスチョンが続くと、その感覚は強くなります。質問の合間に、相手の答えへの感想や、自分の話を少しはさむと、会話らしいリズムが戻ります。
答えが決まっている質問をする
「それって、やめたほうがいいと思わない?」。形は質問でも、中身は意見の押しつけです。こうした質問をされると、相手は「はい」と言うしかなくなります。意見があるなら、質問の形を借りずに、自分の意見として伝えるほうが誠実です。
一度に二つ聞いてしまう
「どこに行って、誰と会ったの?」と一度に二つ聞くと、相手はどちらから答えればいいか迷います。質問は、一度にひとつにします。
答えを待たない
質問したあと、相手が考えている間に、次の質問をかぶせてしまう。これでは、せっかくのオープンクエスチョンも生きません。質問したら、沈黙も含めて答えを待ちましょう。
よい問いは、答えより遠くへ連れていく
よい質問とは、気のきいた質問のことではありません。相手が「そういえば」と、自分でも気づいていなかったことに目を向けられる質問です。答えを引き出すことより、相手が考える時間を手渡すことに意味があります。
それは、自分への問いでも同じです。「なぜダメなんだろう」と責める問いを、「何があれば」と少しだけ開いてみる。それだけで、行き止まりに見えた道に、次の一歩が見えてくることがあります。
今日、誰かに質問するときは、相手の答えを受けて、もう一歩だけ「それで?」と聞いてみてください。自分がわからなくなったときに使える問いは、「自分がわからない」ときに試したい7つの問いにまとめています。
A question for you
あなたへの問い
最近、誰かに聞かれて、考えが深まった質問はありますか?
このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。
よくある質問
オープンクエスチョンの例を教えてください。
「休日はどう過ごしていますか?」「その仕事のどんなところが好きですか?」「そのとき、どう感じましたか?」のように、答えが一言では終わらない質問です。何、どう、どんな、といった言葉で始まることが多くなります。
クローズドクエスチョンは使わないほうがいいのですか?
そんなことはありません。事実の確認や、決めるべきことを決めるときには、クローズドクエスチョンのほうが向いています。話すのが苦手な人や疲れている人にとっては、答えやすい質問でもあります。大切なのは、目的に合わせて使い分けることです。
「なぜ」と聞くのは、よくないのでしょうか?
「なぜ」自体が悪いわけではありませんが、失敗や遅刻の場面で使うと、責められているように聞こえやすくなります。「何があったの?」「何が難しかった?」と聞き方を変えると、相手は言い訳ではなく状況を話しやすくなります。
もう一歩深めたい人へ
PR・Amazonへのリンクを含みます-
「良い質問」をする技術
粟津恭一郎/ダイヤモンド社(2016年)
エグゼクティブ・コーチの著者が、相手の気づきを促す「良い質問」とは何かを解説しています。自分への問いかけを見直したい人にも役立ちます。
Amazonで見る -
問いかける技術 確かな人間関係と優れた組織をつくる
エドガー・H・シャイン(著)/金井壽宏(監訳)/原賀真紀子(訳)/英治出版(2014年)
組織心理学の大家シャインが、教えるより「謙虚に問いかける」ことの大切さを説いた本です。立場が上になるほど話を聴くのが難しいと感じる人に向いています。
Amazonで見る -
コーチングの基本
コーチ・エィ(著)/鈴木義幸(監修)/日本実業出版社(2019年)
コーチングの全体像を手早くつかみたい人へ。基本の考え方とスキルが見開き中心で整理されていて、職場で部下や同僚と話す場面にも置き換えやすい入門書です。
Amazonで見る -
コーチングハンドブック
山崎啓支/日本能率協会マネジメントセンター(2016年)
コーチやカウンセラーなど、人の変化を支える立場の人へ。NLPの考え方を土台に、知識や経験だけでは身につきにくい「支援者としてのセンス」をじっくり言葉にしてくれる一冊です。
Amazonで見る -
SINGLE TASK一点集中術 「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
デボラ・ザック(著)/栗木さつき(訳)/ダイヤモンド社(2017年)
あれもこれもと同時に抱えて、気持ちが散らかりがちな人へ。一度にひとつのことに向き合う習慣を、仕事だけでなく会話や日常の場面まで具体的に示してくれます。2025年に『一点集中術』として新版も出ています。
Amazonで見る -
一点集中術 限られた時間で次々とやりたいことを実現できる
デボラ・ザック(著)/栗木さつき(訳)/ダイヤモンド社(2025年)
『SINGLE TASK 一点集中術』の新版です。いま新品で手に入れやすいのはこちら。目の前のひとつに集中することが、人の話を聴く力にもつながると気づかせてくれます。
Amazonで見る
References
- Huang, K., Yeomans, M., Brooks, A. W., Minson, J., & Gino, F. (2017). It doesn't hurt to ask: Question-asking increases liking. Journal of Personality and Social Psychology, 113(3), 430–452.
- de Shazer, S. (1988). Clues: Investigating Solutions in Brief Therapy. W. W. Norton.
- Kross, E., Ayduk, O., & Mischel, W. (2005). When asking "why" does not hurt: Distinguishing rumination from reflective processing of negative emotions. Psychological Science, 16(9), 709–715.
- Watkins, E. R. (2008). Constructive and unconstructive repetitive thought. Psychological Bulletin, 134(2), 163–206.
- Senay, I., Albarracín, D., & Noguchi, K. (2010). Motivating goal-directed behavior through introspective self-talk: The role of the interrogative form of simple future tense. Psychological Science, 21(4), 499–504.
- 『コーチング ハンドブック』第1章 p.37, 44
- 『SINGLE TASK 一点集中術』第10章 p.130-131