No.03 Connect人とつながる

オープンクエスチョンとクローズドの使い分け

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違いと使い分けを、例文つきで紹介。会話を深める組み合わせ方、「なぜ」を「何が」に変える工夫、未来に目を向ける質問、自分自身への問いかけへの応用、質問攻めにしないコツまでまとめました。

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この記事の結論

オープンクエスチョンは「どう思う?」のように自由に答えられる質問、クローズドクエスチョンは「はい・いいえ」や短い言葉で答える質問です。話を広げたいときはオープン、確認や決定にはクローズドが向いています。両方を組み合わせると、相手が答えやすく、会話も深まります。

  • オープンは話を広げ、クローズドは確かめて決める。どちらにも役割がある
  • 広すぎる問いは答えにくい。範囲をしぼったオープンが会話を深める
  • 自分への問いも、「なぜダメなんだ」より「何があれば」が前に進みやすい
目次 Contents
  1. オープンクエスチョンとは? クローズドとの違い
  2. クローズドクエスチョンの上手な使い方
  3. オープンクエスチョンの上手な使い方
  4. 会話を深める、質問の組み合わせ方
  5. 自分への問いかけにも使える
  6. 質問でよくある失敗
  7. よい問いは、答えより遠くへ連れていく

聞きたいことはあるのに、うまく質問できない。質問したら「はい」で会話が終わってしまい、気まずい沈黙が流れた。逆に、相手を質問攻めにしてしまい、取り調べのような空気になった。質問について調べているあなたは、そんなもどかしさを感じたことがあるのかもしれません。

質問は、会話の中で思っている以上に大きな役割を担っています。ひとつの問いで、相手が心を開くこともあれば、口を閉ざすこともあります。

うまく質問できないのは、話し下手だからではありません。質問にはいくつかの型があり、それぞれ得意なことが違うからです。型を知れば、場面に合わせて選べるようになります。

この記事では、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違いと使い分けを、例文で紹介します。後半では、同じ型を自分自身への問いかけに使う方法もお伝えします。

オープンクエスチョンとは? クローズドとの違い

オープンクエスチョンとは、「どう思う?」のように、相手が自由に答えられる質問です。拡大質問とも呼ばれます。クローズドクエスチョンは、「はい・いいえ」や、ひとつの言葉で答えられる質問で、限定質問とも呼ばれます。

オープンクエスチョンクローズドクエスチョン
例「週末はどう過ごした?」「週末は出かけた?」
答え方自由に、自分の言葉で「はい・いいえ」や短い言葉
得意なこと話を広げる、考えや気持ちを引き出す事実を確かめる、決める
答える負担考える必要があり、やや重い軽く、すぐに答えられる
注意点広すぎると答えにくい続くと尋問のようになる

どちらが優れている、ということはありません。オープンは「扉を開ける質問」、クローズドは「扉を確かめる質問」と考えるとわかりやすいかもしれません。会話の目的によって、使い分けるものです。

クローズドクエスチョンの上手な使い方

クローズドクエスチョンは、会話を「狭める」質問として、悪者にされがちです。でも、次のような場面では、とても役に立ちます。

確かめたいとき、決めたいとき

「明日の会議は10時からで合っていますか?」「A案とB案、どちらで進めますか?」。事実の確認や、決めるべきことを決めるときには、クローズドのほうが誤解がありません。

会話の入り口として

初対面の人に、いきなり「あなたの人生で大切なことは何ですか?」と聞かれたら、戸惑うはずです。「このあたりにお住まいなんですか?」のように、答えやすい質問から入ると、相手は肩の力を抜けます。疲れている人や、話すのが苦手な人にも、答えやすいクローズドは親切な質問です。

選択肢を示して、答えやすくする

「何が食べたい?」と聞いて「何でもいい」と返ってきたら、「和食と中華なら、どっち?」と選択肢を示します。選択肢があると、相手は自分の好みに気づきやすくなります。

オープンクエスチョンの上手な使い方

オープンクエスチョンは、相手の考えや気持ちを引き出すのに向いています。ただし、使い方しだいで、答えやすさは大きく変わります。

問いには、なぜ考えを深める力があるのでしょうか。『コーチング ハンドブック』PRでは、質問の働きを「空白」と「焦点」という言葉で説明しています。問いを投げかけられると、相手の頭の中に、答えの入る「空白」が生まれます。人はその空白を埋めようと、自然に答えを探しはじめます。そのとき、これまで意識を向けていなかったところに、新しい「焦点」が合うというのです。

「今週、いちばん印象に残ったことは?」と聞かれて、忘れかけていた出来事を思い出す。それも、問いが焦点を動かした一例といえます。

広すぎる問いは、少しだけ絞る

「最近どう?」は、オープンクエスチョンの代表です。でも、範囲が広すぎて、「ふつう」「まあまあ」で終わりがちです。「今週、いちばん印象に残ったことは?」のように、範囲を少し絞ると、答えやすさがぐっと上がります。

「なぜ」を「何が」に変える

「なぜ遅れたの?」「なぜできなかったの?」。失敗の場面での「なぜ」は、責められているように聞こえやすい言葉です。相手は、状況を説明するより、言い訳を考えはじめてしまいます。

「何があったの?」「何が難しかった?」と聞き方を変えると、問いの向きが「あなた」から「状況」に移ります。相手は、身構えずに起きたことを話しやすくなります。

相手の答えから、次の問いをつくる

心理学者のフアンらは、初対面の人どうしの会話を分析しました(Huang ら, 2017)。すると、質問を多くした人ほど、相手から好かれる傾向がありました。特に効果が大きかったのは、相手の答えを受けて、さらに掘り下げる「追いかけの質問」でした。

「旅行が好きなんです」に対して、「どこに行きましたか?」と聞くのは自然です。そこで返ってきた答えに対して、「そこで、いちばんよかったのは?」とさらに一歩聞く。

追いかけの質問は、「あなたの話を聴いています」というメッセージにもなります。質問の前に、相手の言葉を短く返すと、さらに自然になります。返し方はバックトラッキングとは?おうむ返しの上手な使い方で紹介しています。

事実、気持ち、意味の順に深める

オープンクエスチョンにも、深さの段階があります。「何があったの?」は事実を、「そのとき、どう感じた?」は気持ちを聞く質問です。さらに「それは、あなたにとってどんな意味があった?」と聞くと、相手の価値観に触れる問いになります。

いきなり意味を聞くと、相手は戸惑います。事実から気持ちへ、気持ちから意味へと、相手の話に沿って少しずつ深めていくのが自然です。相手の言葉があいまいなときに、具体的な体験を聞く質問の型は、メタモデルとは?言葉の奥にある本音を聴く質問で紹介しています。

会話を深める、質問の組み合わせ方

広げて、絞って、確かめる

実際の会話では、オープンとクローズドを組み合わせて使います。基本の流れは、オープンで広げ、少しずつ絞り、最後にクローズドで確かめる、というものです。

相手の話を聴きながら質問する方法は、傾聴のコツ|聴くことで人とつながる方法でも扱っています。

過去ではなく、未来に目を向ける質問

質問は、時間の向きでも分けられます。「どうして失敗したのか」と過去に向ける質問は、原因を知るのに役立ちますが、重ねすぎると気持ちが沈みます。

「次はどうしたい?」「どうなったら、うまくいったと言える?」と未来に向ける質問は、行動の手がかりを生みやすくなります。目標に向かって問いを組み立てる方法は、GROWモデルとは?自分でできる目標達成の型で紹介しています。

数字で聞く:スケーリング・クエスチョン

短期療法の分野では、「スケーリング・クエスチョン」がよく使われます(de Shazer, 1988)。「今の気分を0から10で表すと、いくつ?」と数字で聞く方法です。

「3」と返ってきたら、「3でいられるのは、何があるから?」「それが4になったら、何が違っている?」と続けます。数字にすると、漠然とした気持ちが扱いやすくなり、小さな変化にも目が向きます。

立場が上の人が質問するとき

上司や親、先生など、立場が上の人からのオープンクエスチョンには、注意が必要です。相手にとって「試されている」ように感じられることがあるからです。「この件、どう思う?」と聞かれた部下は、正解を探して黙りこむかもしれません。

そんなときは、問いの前にひと言添えます。「正解はないから、思ったままを聞かせて」「途中の考えでいいよ」。答えの自由を言葉で保証すると、オープンクエスチョンは本来の働きをとり戻します。

自分への問いかけにも使える

質問の型は、人との会話だけでなく、自分への問いかけにも使えます。私たちは一日中、心の中で自分に問いを投げかけています。「なぜ私はいつもこうなんだろう」「どうしてうまくいかないんだろう」。

こうした問いは、答えの出ない堂々めぐりになりがちです。

自分を責める問いを、少しだけ形を変えてみると、問いは前に進む道具になります。

堂々めぐりになりやすい問い前に進みやすい問い
なぜ私はダメなんだろう何があれば、少し楽になる?
どうしていつも失敗するんだろう前にうまくいったときは、何が違った?
私は何がしたいんだろう最近、時間を忘れたのはどんなとき?

心の中の口ぐせを整えたい人は、セルフトークとは?心の口ぐせを味方にするも参考にしてください。自分への問いを書きながら深めていく方法は、ジャーナリングとは?書く瞑想のやり方と効果で紹介しています。

質問でよくある失敗

質問攻めにしてしまう

質問を続けると、相手は取り調べを受けているように感じます。特にクローズドクエスチョンが続くと、その感覚は強くなります。質問の合間に、相手の答えへの感想や、自分の話を少しはさむと、会話らしいリズムが戻ります。

答えが決まっている質問をする

「それって、やめたほうがいいと思わない?」。形は質問でも、中身は意見の押しつけです。こうした質問をされると、相手は「はい」と言うしかなくなります。意見があるなら、質問の形を借りずに、自分の意見として伝えるほうが誠実です。

一度に二つ聞いてしまう

「どこに行って、誰と会ったの?」と一度に二つ聞くと、相手はどちらから答えればいいか迷います。質問は、一度にひとつにします。

答えを待たない

質問したあと、相手が考えている間に、次の質問をかぶせてしまう。これでは、せっかくのオープンクエスチョンも生きません。質問したら、沈黙も含めて答えを待ちましょう。

よい問いは、答えより遠くへ連れていく

よい質問とは、気のきいた質問のことではありません。相手が「そういえば」と、自分でも気づいていなかったことに目を向けられる質問です。答えを引き出すことより、相手が考える時間を手渡すことに意味があります。

それは、自分への問いでも同じです。「なぜダメなんだろう」と責める問いを、「何があれば」と少しだけ開いてみる。それだけで、行き止まりに見えた道に、次の一歩が見えてくることがあります。

今日、誰かに質問するときは、相手の答えを受けて、もう一歩だけ「それで?」と聞いてみてください。自分がわからなくなったときに使える問いは、「自分がわからない」ときに試したい7つの問いにまとめています。

A question for you

あなたへの問い

最近、誰かに聞かれて、考えが深まった質問はありますか?

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よくある質問

オープンクエスチョンの例を教えてください。

「休日はどう過ごしていますか?」「その仕事のどんなところが好きですか?」「そのとき、どう感じましたか?」のように、答えが一言では終わらない質問です。何、どう、どんな、といった言葉で始まることが多くなります。

クローズドクエスチョンは使わないほうがいいのですか?

そんなことはありません。事実の確認や、決めるべきことを決めるときには、クローズドクエスチョンのほうが向いています。話すのが苦手な人や疲れている人にとっては、答えやすい質問でもあります。大切なのは、目的に合わせて使い分けることです。

「なぜ」と聞くのは、よくないのでしょうか?

「なぜ」自体が悪いわけではありませんが、失敗や遅刻の場面で使うと、責められているように聞こえやすくなります。「何があったの?」「何が難しかった?」と聞き方を変えると、相手は言い訳ではなく状況を話しやすくなります。

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References

  • Huang, K., Yeomans, M., Brooks, A. W., Minson, J., & Gino, F. (2017). It doesn't hurt to ask: Question-asking increases liking. Journal of Personality and Social Psychology, 113(3), 430–452.
  • de Shazer, S. (1988). Clues: Investigating Solutions in Brief Therapy. W. W. Norton.
  • Kross, E., Ayduk, O., & Mischel, W. (2005). When asking "why" does not hurt: Distinguishing rumination from reflective processing of negative emotions. Psychological Science, 16(9), 709–715.
  • Watkins, E. R. (2008). Constructive and unconstructive repetitive thought. Psychological Bulletin, 134(2), 163–206.
  • Senay, I., Albarracín, D., & Noguchi, K. (2010). Motivating goal-directed behavior through introspective self-talk: The role of the interrogative form of simple future tense. Psychological Science, 21(4), 499–504.
  • 『コーチング ハンドブック』第1章 p.37, 44
  • 『SINGLE TASK 一点集中術』第10章 p.130-131

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。