No.04 Draw the Future未来を描く

GROWモデルとは?自分でできる目標達成の型

GROWモデルとは、目標・現状・選択肢・意思の4ステップで考えを整理するコーチングの型です。成り立ちと役に立つ理由、各ステップの質問例、一人でできるセルフコーチングのワークと記入例、うまく使うコツまで紹介します。

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この記事の結論

GROWモデルとは、Goal(目標)、Reality(現状)、Options(選択肢)、Will(意思)の4つの段階で問いを重ね、自分で答えと行動を見つけていくコーチングの型です。コーチがいなくても、各段階の質問に順に答えるだけで、セルフコーチングとして使えます。

  • 目標・現状・選択肢・意思の4段階で、問いに答えながら考えを整える
  • 答えを教わるのではなく、自分で選んだ行動だから動きだしやすい
  • 一人でも使える。選択肢は批判せずに広げ、行動は小さく決める
目次 Contents
  1. GROWモデルとは? 一言でいうと
  2. GROWモデルが役に立つ理由
  3. 各ステップの質問例
  4. セルフコーチングのワーク:一人でGROWを回す
  5. 記入例:GROWを通しで見る
  6. うまく使うコツと、つまずきやすい点
  7. 人の相談に乗るときにGROWを使う
  8. 答えは、問いを重ねた先にある

やりたいことはあるのに、何から手をつければいいかわからない。考え始めると、不安や言い訳が次々に浮かんで、結局いつもと同じ一日が終わる。そんなとき、頭の中を整理してくれる「型」があると、ぐっと動きやすくなります。

GROWモデルは、コーチングで世界的に広く使われている型です。コーチングとは、対話を通じて、相手が自分で答えを見つけ、行動するのを支える関わり方のことです。4つのステップで問いに答えていくだけで、ぼんやりした悩みが、具体的な一歩に変わっていきます。

この記事では、GROWモデルとは何か、なぜ役に立つのかを整理したうえで、各ステップの質問例を紹介します。コーチがいなくても使えるセルフコーチングのワークと、通しの記入例もまとめました。

GROWモデルとは? 一言でいうと

GROWモデルとは、目標・現状・選択肢・意思の4つの段階で問いを重ね、自分で答えと行動を見つけていくための型です。4つの段階の頭文字をとって、GROWと呼ばれます。

ステップ英語考えること
GGoal(目標)何を達成したいのか。どうなったらいいのか
RReality(現状)今、何が起きているのか。何がうまくいっていて、何が課題か
OOptions(選択肢)どんなやり方がありうるか
WWill(意思)何を、いつやるのか。どれくらい本気か

GROWモデルは、1980年代のイギリスで、ビジネスコーチたちによって形づくられました。広く知られるきっかけになったのが、ジョン・ウィットモアの著書『Coaching for Performance』です(Whitmore, 2017)。日本でも『はじめのコーチング』の題で翻訳されています。

ウィットモアたちは、テニスのコーチ、ティモシー・ガルウェイの「インナーゲーム」から大きな影響を受けました。ガルウェイは、選手にフォームを教えこむより、自分の動きに気づかせることで上達を引き出しました。GROWモデルの根っこにも、「答えは本人の中にある」という考え方があります。詳しくはインナーゲームとは?コーチングの原点を知るで紹介しています。

GROWモデルが役に立つ理由

GROWモデルが広く使われているのには、いくつか理由があります。

考える順番が決まっている

悩んでいるとき、頭の中では目標と不安と言い訳が入り混じっています。GROWモデルは、それを「どうなりたいか」「今どうか」「何ができるか」「何をするか」の順に分けてくれます。順番に考えるだけで、堂々めぐりから抜けだしやすくなるのです。

自分で選んだ答えだから、動きだせる

人から「こうしたら」と言われた答えより、自分で考えて選んだ答えのほうが、行動に移しやすいものです。ウィットモアは、コーチングの目的を、本人の「気づき」と「責任(主体性)」を高めることだと述べています。GROWモデルは答えを教える道具ではなく、本人が自分の答えにたどりつくための問いの順番なのです。

各ステップの質問例

ここからは、各ステップで使える質問を紹介します。全部に答える必要はありません。自分に響く質問を2〜3個選んでください。

G:Goal(目標)を決める質問

最初に、どうなりたいのかをはっきりさせます。ここでは、大きな人生の目標でも、今日の話し合いで決めたいことでもかまいません。

  • 何を達成したい? どうなったらいい?
  • それが叶ったとき、何が見えて、どんな気持ちになっている?
  • いつまでに実現したい?
  • それは、本当に自分がやりたいこと?

目標を「〜しない」ではなく「〜している」の形にすると、考えやすくなります。目標の整え方は、目標設定の方法|ワクワクするゴールの立て方で詳しく紹介しています。

R:Reality(現状)を確かめる質問

次に、今の状態をありのままに見ます。ここでは、良い・悪いの評価をせず、事実を確かめることが大切です。

  • 今、何が起きている? 具体的には?
  • 目標を10点とすると、今は何点? その点数の理由は?
  • これまでに試したことは? その結果はどうだった?
  • すでにうまくいっていることは? 使える力や助けは?

「目標を10点とすると、今は何点?」という聞き方は、現状を数字で捉えるのに役立ちます。3点だったとしても、0点ではない理由を考えると、自分がすでにもっている力が見えてきます。

O:Options(選択肢)を広げる質問

現状がわかったら、目標に近づくための選択肢を広げます。この段階では、案の良し悪しを判断せず、とにかく数を出すことが大切です。

  • どんなやり方がありうる? ほかには?
  • 時間やお金の制限がなかったら、何をする?
  • 尊敬するあの人なら、どうするだろう?
  • 誰の力を借りられる?
  • 今の案の中で、いちばん小さく試せるのはどれ?

「ほかには?」と何度か重ねて聞くと、最初には出てこなかった案が出てきます。質問の種類と使い分けは、オープンクエスチョンとクローズドの使い分けが参考になります。

W:Will(意思)を固める質問

最後に、何をするかを決めます。ここで大切なのは、行動を具体的にすることと、本気度を確かめることです。

『コーチング ハンドブック』PRでは、Wを What・When・Who・Will の頭文字として説明しています。何を、いつ、誰がするのか。そして、それを実行する意思はどれくらいか。行動の中身と本気度を、セットで確かめるということです。

  • 何をやる? いつ、どこでやる?
  • 邪魔になりそうなことは? そのときどうする?
  • 誰に伝える? 誰の助けを借りる?
  • やりきる自信は、10点満点で何点?

ウィットモアは、本気度を10点満点で聞き、8点に届かなければ行動を見直すことを勧めています。点数が低いときは、行動を小さくしたり、障害への対策を考えたりします。「もし〜なら、〜する」の形で、行動のきっかけを決めておくのも有効です(Gollwitzer, 1999)。

セルフコーチングのワーク:一人でGROWを回す

紙に書くと、頭の中だけで考えるより、ずっと整理しやすくなります。週に一度など、時間を決めて回すと、習慣になっていきます。

記入例:GROWを通しで見る

最初は「英語ができるようになりたい」という漠然とした思いでした。GROWで整理すると、来週からやることが具体的に決まりました。

うまく使うコツと、つまずきやすい点

現状から始めてもかまわない

目標がはっきりしないときに、無理にGから始める必要はありません。まず現状を話したり書いたりするうちに、「本当はどうなりたいのか」が見えてくることもあります。ウィットモア自身も、段階を行き来しながら使うことを認めています。テーマ(Topic)を最初に置く「T-GROW」という形もあります。

現状の段階で、自分を責めない

現状を書き出すと、できていないことばかりが目について、落ちこむことがあります。「こんなに時間があったのに、何もしていない」。でも、Rの段階の目的は、反省ではなく、地図の現在地を知ることです。

できていないことと同じくらい、できていること、使えるものにも目を向けてください。「忙しい中でも、週に一度は本を開いている」。その事実が、次の選択肢の土台になります。

選択肢の段階で、案をつぶさない

一人でやるとき、つい「それは無理」「時間がない」と案を消してしまいがちです。選択肢の段階では、判断はあとまわしにしましょう。実現しにくい案の中に、小さく試せるヒントが隠れていることもあります。

行動は小さく、具体的に

Wで決める行動が大きすぎると、続きません。「毎日1時間勉強する」より、「通勤中に10分」。小さすぎるくらいがちょうどいいのです。大きな行動を小さく分ける方法は、チャンクダウンとは?考えを整理する技術が参考になります。

一人で行き詰まったら、質問役を頼む

一人で回していると、どうしても自分の考えのくせから抜けにくくなります。そんなときは、信頼できる人に質問役を頼んだり、コーチの力を借りたりするのも一つの方法です。コーチングがどんなものかは、コーチングとは?意味・効果・受けて変わることで紹介しています。実際のセッションの流れは、コーチングセッションの流れ|初回から振り返りまでをどうぞ。

人の相談に乗るときにGROWを使う

GROWモデルは、セルフコーチングだけでなく、家族や友人、部下の相談に乗るときにも使えます。ただし、人との対話で使うときには、気をつけたいことがあります。

いちばん大切なのは、答えを先に言わないことです。相手の話を聞いていると、つい「こうすればいいのに」と思います。でも、そこでアドバイスをすると、相手は自分で考えるのをやめてしまいます。Oの段階でも、まずは相手から案を出してもらい、こちらの案は「一つ付け加えてもいい?」と断ってから出すくらいがちょうどいいのです。

もう一つは、質問を詰めこみすぎないことです。GROWの順番を意識するあまり、次々に質問を重ねると、相手は尋問されているように感じます。相手の答えを短く繰り返したり、沈黙を待ったりしながら進めてください。

答えは、問いを重ねた先にある

GROWモデルは、魔法の公式ではありません。シンプルな4つの問いを、順番に自分に投げかけるための型です。でも、そのシンプルさが、迷っているときの道しるべになります。

完璧な答えを出そうとしなくて大丈夫です。今週できる小さな一歩が決まれば、それで十分です。

今日、気になっているテーマを一つ選んで、紙に「G・R・O・W」と書いてみてください。4つの欄を埋め終わるころには、少しだけ前に進む道が見えてくるかもしれません。

A question for you

あなたへの問い

今週、ほんの少しでも前に進むために、何から始めますか?

このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。

よくある質問

GROWモデルは、Gから順番に進めないといけませんか?

順番にこだわる必要はありません。目標がはっきりしないときは、現状(R)を話すところから始め、そこから目標を整えることもよくあります。行き来しながら使ってかまいません。最終的に、行動(W)が決まることが大切です。

GROWモデルは、仕事以外でも使えますか?

使えます。健康、学び、人間関係、家計など、自分で何かを変えたいテーマなら幅広く使えます。家族や友人の相談に乗るときに、相手の話を整理する手がかりとして使うこともできます。

一人でやると、同じことばかり考えてしまいます。

頭の中だけで考えず、質問への答えを紙に書き出すのがおすすめです。選択肢の段階では「尊敬する人ならどうする?」と視点を変えると、新しい案が出やすくなります。それでも行き詰まるときは、コーチや信頼できる人に質問役を頼むのも一つです。

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References

  • Whitmore, J. (2017). Coaching for Performance: The Principles and Practice of Coaching and Leadership (5th ed.). Nicholas Brealey Publishing.
  • ウィットモア, J.(清川幸美訳)(2003)『はじめのコーチング』ソフトバンククリエイティブ
  • Gallwey, W. T. (1974). The Inner Game of Tennis. Random House.
  • Theeboom, T., Beersma, B., & van Vianen, A. E. M. (2014). Does coaching work? A meta-analysis on the effects of coaching on individual level outcomes in an organizational context. The Journal of Positive Psychology, 9(1), 1–18.
  • Gollwitzer, P. M. (1999). Implementation intentions: Strong effects of simple plans. American Psychologist, 54(7), 493–503.
  • 『コーチング ハンドブック』第2章 p.30, 54-55, 58-59

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。