No.04 Draw the Future未来を描く

目標設定の方法ワクワクするゴールの立て方

目標設定の方法を、「やるべき目標」ではなく価値観から生まれる「やりたい目標」を立てる視点で紹介。研究でわかっている目標設定の基本、5つのステップ、数値化のコツ、続かないときの見直し方まで。

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この記事の結論

目標設定でまず大切なのは、「やるべき」ではなく、自分の価値観から生まれた「やりたい」目標を選ぶことです。そのうえで、達成した状態を具体的に描き、数値や期限で測れる形にし、つまずきそうな場面への対策と振り返りの日を先に決めておくと、目標は続きやすくなります。

  • 価値観から生まれた「やりたい目標」ほど、努力が続きやすい
  • 具体的で少し難しい目標と、途中のフィードバックが成果を支える
  • 結果の数値だけでなく、行動の数値と振り返りの日を決めておく
目次 Contents
  1. 目標設定で最初に確かめたいこと:「やるべき」か「やりたい」か
  2. 目標設定がうまくいかない3つの理由
  3. 研究でわかっている、目標設定の基本
  4. ワクワクする目標を立てる5つのステップ
  5. 目標を数値化するときのコツ
  6. 目標が続かないときの見直し方
  7. 目標は、あなたを縛るためではなく、照らすためにある

新しい年や年度の始まりに、目標を立てる。手帳の最初のページに書きこんだときは、やる気に満ちている。でも、数週間もすると、その目標を見返すことさえなくなっている。そんな経験は、多くの人にあるはずです。

続かなかったのは、意志が弱いからではありません。目標の立て方そのものに、続かない理由が隠れていることが多いのです。

目標設定の方法を調べているあなたは、ただ目標を立てるだけでなく、本当に達成したいと思っている人です。この記事では、研究でわかっている目標設定の基本を押さえたうえで、ワクワクする目標を立てる5つのステップを紹介します。目標を数値化するコツや、続かないときの見直し方もまとめました。

目標設定で最初に確かめたいこと:「やるべき」か「やりたい」か

目標には、二つの種類があります。「やるべき」から生まれた目標と、「やりたい」から生まれた目標です。

「やるべき」目標は、周りの期待や、そうしないと困るという気持ちから生まれます。「上司に言われたから資格を取る」「やせないと人にどう思われるか不安だから運動する」。一方、「やりたい」目標は、自分が大切にしているものから自然に生まれます。

心理学者のシェルドンとエリオットは、目標が本人の価値観や興味とどれだけ一致しているかを「自己一致度」と呼びました(Sheldon & Elliot, 1999)。研究では、自己一致度の高い目標ほど、努力が長く続き、達成したときの満足感も大きい傾向が見られました。

「やるべき」目標が悪いわけではありません。ただ、それだけで動こうとすると、エネルギーが早く尽きてしまいます。目標を立てる前に、「これは誰の目標だろう」と問いかけてみてください。

目標設定がうまくいかない3つの理由

目標が続かないとき、多くの場合、次のどれかが当てはまります。

1. 目標が「自分のもの」になっていない

最初に見たように、人に言われた目標や、世間で良いとされている目標は、なかなか続きません。頭では大切だとわかっていても、心が動かないからです。

2. 目標があいまい

「英語を頑張る」「健康的に暮らす」。こうした目標は、何をすれば達成なのかがはっきりしません。どこまで来たのかもわからないので、手応えを感じにくくなります。

3. 結果だけを目標にしている

「3か月で5キロやせる」は、わかりやすい目標です。でも、体重は毎日の行動の結果であって、直接コントロールできるものではありません。結果だけを見ていると、数字が動かない時期に「自分はだめだ」と感じやすくなります。

研究でわかっている、目標設定の基本

目標設定は、心理学で長く研究されてきたテーマです。代表的なのが、ロックとレイサムの「目標設定理論」です(Locke & Latham, 2002)。

具体的で、少し難しい目標

ロックとレイサムは、数多くの研究をまとめ、次のように報告しています。「ベストを尽くす」のようなあいまいな目標より、具体的で難しい目標のほうが、成果が上がりやすい。

ただし、これにはいくつか条件があります。本人がその目標に本気で取り組むつもりがあること。目標に向かう途中で、進み具合がわかる手がかり(フィードバック)があること。そして、必要な力や情報があることです。

また、まったく新しいことに挑戦するときは、注意が必要です。成果の数字より、「やり方を学ぶ」ことを目標にするほうがうまくいく場合がある、と指摘されています。初めてプログラミングを学ぶなら、「アプリを3つ作る」より「基本の書き方を一通り試す」。そこから始めるほうが合っているかもしれません。

SMARTは、形を整えるチェックリスト

目標設定でよく紹介されるのが「SMART」です。もとは1981年、ドーランが経営の目標を書くための指針として紹介しました(Doran, 1981)。そのときの5つは、次のとおりです。

  • Specific:具体的である
  • Measurable:測定できる
  • Assignable:担当が決まっている
  • Realistic:現実的である
  • Time-related:期限がある

その後、さまざまな言いかえが広まりました。今では、Aを「達成可能(Achievable)」、Rを「関連性(Relevant)」とする形もよく使われます。SMARTは、目標の形を整えるのに役立つチェックリストです。ただし、SMARTは「その目標を本当にやりたいか」までは教えてくれません。

ワクワクする目標を立てる5つのステップ

ここからは、実際に目標を立てていきます。上から順に進めると、「やりたい」気持ちを、続けられる形に整えることができます。

ステップ1:価値観から出発する

まず、「何を達成したいか」より先に、「何を大切にしたいか」を考えます。最近、うれしかったこと、満たされたと感じたことを思い出してください。そこには、あなたの大切にしているものが表れています。

たとえば、「家族とゆっくり話せた夜」が満たされた体験なら、「つながり」や「ゆとり」が大切なのかもしれません。そこから、「平日の夕食を週3回は家族と食べる」といった目標が生まれます。価値観を言葉にする方法は、価値観の見つけ方|大切なものを言葉にするワークで紹介しています。

ステップ2:達成した場面を描く

次に、目標を達成したときの場面を、できるだけ具体的に思い描きます。そのとき、あなたはどこにいて、何をしていて、誰と一緒にいるでしょうか。どんな気持ちでしょうか。

ここで大切なのは、「〜しない」ではなく「〜している」という形で描くことです。「残業しない」より「18時に会社を出て、子どもと公園で遊んでいる」。目指す状態がはっきりするほど、何をすればいいかも見えてきます。目標を実現しやすい形に整える条件は、ウェルフォームドアウトカムとは?実現しやすい目標の5条件で詳しく紹介しています。

『エフォートレス思考』PRでは、取りかかる前に「終わりの状態(DONE)」をはっきり思い描くことがすすめられています。「やせたい」「資料を作ろう」のようなあいまいなゴールではなく、完了の瞬間を五感で定義するのです。体重計に表示された「60kg」を見下ろしている自分。12ページのレポートを仕上げ、クライアントに褒められている場面。何が見え、何が聞こえたら「終わった」と言えるのかが決まると、どこまでやればいいかも判断しやすくなります。

ステップ3:結果の目標と、行動の目標に分ける

目標を、「結果の目標」と「行動の目標」に分けます。結果の目標は、最終的に達成したい状態です。行動の目標は、そのために毎日や毎週やることです。

例特徴
結果の目標半年後にTOEICで700点を取る方向がはっきりする。直接はコントロールしにくい
行動の目標平日の通勤中に、単語アプリを15分やる自分でコントロールできる。毎日の手応えになる

毎日の手応えは、行動の目標から得られます。結果がすぐに出なくても、行動の目標を守れていれば、前に進んでいると感じられます。大きな目標を行動に分ける方法は、チャンクダウンとは?考えを整理する技術が参考になります。

ステップ4:つまずきを先に想像しておく

目標を立てるとき、私たちはうまくいく場面ばかりを想像しがちです。でも、心理学者のガブリエル・エッティンゲンは、願いを思い描くだけでは行動につながりにくいと指摘しました(Oettingen, 2014)。

彼女が勧めるのは、望む未来を思い描いたあとで、それを邪魔する自分の内側の壁も想像することです。「疲れて帰ってきて、ソファに座ったら動けなくなる」。そのうえで、壁にぶつかったときの対策を、「もし〜なら、〜する」という形で決めておきます。

この「もし〜なら、〜する」という計画は、心理学で「実行意図」と呼ばれます(Gollwitzer, 1999)。行動のきっかけと中身を先に結びつけておくことで、迷わずに動きやすくなるとされています。

ステップ5:振り返りの日を決める

最後に、振り返りの日を決めます。月に一度でも、週に一度でもかまいません。手帳やカレンダーに、目標を見直す時間を予定として書きこんでおきます。

振り返りでは、「できたこと」「できなかったこと」「次に変えること」の3つを確かめます。できなかったことは、責める材料ではなく、やり方を変えるための情報です。うまくいかないときにやり方を変える考え方は、TOTEモデルとは?目標達成のフィードバックループで紹介しています。

目標を数値化するときのコツ

目標は、数値にすると進み具合がわかりやすくなります。ただ、何でも数字にすればいいわけではありません。

測りやすいものを選ぶ

数値にするのは、自分でコントロールでき、簡単に記録できるものがおすすめです。「1日の歩数」「読んだページ数」「英語を話した時間」。記録が面倒だと、それ自体が続かなくなります。

気持ちや状態は、点数で測る

「毎日を楽しく過ごす」「自信をもって話せるようになる」。こうした目標は、数字にしにくいものです。そんなときは、0〜10点の点数で、自分の感覚を測る方法があります。

たとえば、「人前で話すときの落ち着き」を、今は3点だとします。それが5点になったら、何が変わっているでしょうか。「声が震えない」「相手の顔を見られる」。点数と具体的な変化を結びつけると、気持ちの目標も測れるようになります。

数字に振り回されない

数値は、あくまで進み具合を知るための道具です。数字が目的になると、本来の「やりたい」気持ちが置き去りになることがあります。体重を減らすことにこだわるあまり、健康を損なっては本末転倒です。数字を見るときは、ときどき「何のために、この目標を立てたんだっけ」と立ち返ってください。

目標が続かないときの見直し方

目標が続かないとき、自分を責める前に、目標そのものを見直してみましょう。

目標が大きすぎないか

毎日の行動が大きすぎると、忙しい日や疲れた日に続けられなくなります。「毎日1時間勉強する」が続かないなら、「毎日5分だけ」に変えてみる。小さすぎると感じるくらいがちょうどいいのです。続けるコツは、習慣化のコツ|小さな変化が人生を変える理由で詳しく紹介しています。

達成したとたん、止まってしまわないか

よくある誤解に、「大きな目標を立て、その達成だけに全力を注げばいい」というものがあります。『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』PRでは、目標の達成だけに集中すると、達成したとたんに燃え尽き、元の習慣に戻りやすいと説明されています。

たとえば、大会に向けて走っていた人が、大会が終わると走らなくなる。そんな姿を思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。同書がすすめるのは、目標を追うことより、「ゲームを続けられる仕組み」をつくることです。毎日のプロセスと、少しずつ良くしていく流れを大切にする。ステップ3で行動の目標を分けたのも、そのためです。

まだ「やりたい」と思えているか

目標を立てたときは「やりたい」と思っていても、状況や気持ちが変わることはあります。それは、悪いことではありません。目標を手放したり、別の形に変えたりするのも、大切な判断です。

目標が小さすぎないか

反対に、目標が今の延長線上にありすぎて、ワクワクしないこともあります。「頑張れば届く」目標ばかりでは、心が動かないのです。今の自分では想像もつかない目標をあえて置く考え方は、現状の外側のゴールとは?本気の目標設定で紹介しています。

目標は、あなたを縛るためではなく、照らすためにある

目標は、達成できなかったときに自分を責めるためのものではありません。大切なものに向かって進むとき、足元を照らしてくれる灯りのようなものです。

うまくいかない日があっても、それは目標を見直すきっかけにすぎません。何度でも立て直していいのです。

まずは今日、紙を一枚用意して、「誰にも頼まれていないけれど、達成できたらうれしいこと」を一つ書いてみてください。その一行が、ワクワクする目標の最初の種になります。

A question for you

あなたへの問い

誰にも頼まれていないのに、達成できたらうれしい目標は何ですか?

このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。

よくある質問

目標は、高いほうがいいですか?

研究では、具体的で難しい目標のほうが、「ベストを尽くす」のようなあいまいな目標より成果が上がりやすいとされています。ただし、本人が本気で取り組むつもりがあり、必要な力や情報があることが前提です。初めてのことに挑むときは、まず学ぶことを目標にするほうが合う場合もあります。

目標を立てても、三日坊主で終わってしまいます。

目標そのものより、毎日の行動が大きすぎることが多いものです。行動を「5分だけ」「1ページだけ」のように小さくし、「いつ、どこで」やるかを先に決めておくと続きやすくなります。続かなかったら、自分を責めるより、目標の大きさを調整してください。

数字で表せない目標は、どうすればいいですか?

気持ちや状態の目標は、0〜10点の主観的な点数で測る方法があります。また、「それが達成できたら、何が起きている?」と問い、目に見える行動や出来事に置きかえると、測りやすくなります。

SMARTの法則は、使ったほうがいいですか?

目標をはっきりさせるチェックリストとして役に立ちます。ただし、SMARTを満たしていても、心からやりたい目標でなければ続きにくいものです。まず「やりたいか」を確かめ、そのあとでSMARTで形を整える順番がおすすめです。

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References

  • Locke, E. A., & Latham, G. P. (2002). Building a practically useful theory of goal setting and task motivation: A 35-year odyssey. American Psychologist, 57(9), 705–717.
  • Sheldon, K. M., & Elliot, A. J. (1999). Goal striving, need satisfaction, and longitudinal well-being: The self-concordance model. Journal of Personality and Social Psychology, 76(3), 482–497.
  • Gollwitzer, P. M. (1999). Implementation intentions: Strong effects of simple plans. American Psychologist, 54(7), 493–503.
  • Oettingen, G. (2014). Rethinking Positive Thinking: Inside the New Science of Motivation. Current.
  • Doran, G. T. (1981). There's a S.M.A.R.T. way to write management's goals and objectives. Management Review, 70(11), 35–36.
  • 『エフォートレス思考』第6章 p.140-141
  • 『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』第1章 p.27, 61

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。