No.04 Draw the Future未来を描く

アファメーションとは?効果的な作り方と例文

アファメーションとは、望む在り方を言葉にして自分に伝える方法。自己肯定感が低いと逆効果になりうる研究も紹介しながら、価値観から「信じられる言葉」をつくる5つのステップ、場面別の例文、続け方までまとめました。

公開 更新 読了 約10分 PR:書籍の紹介に Amazon アソシエイトのリンクを含みます

この記事の結論

アファメーションとは、望む自分や大切にしたい在り方を短い言葉にし、自分にくり返し伝える方法です。ただし、今の自分とかけ離れた言葉は逆効果になりうると報告されています。価値観から出発し、「今の自分が信じられる言葉」で書くのが効果的な作り方です。

  • かけ離れた肯定の言葉は、自己肯定感が低い人ではかえって気分を下げることがある
  • 研究で支持が厚いのは、願望ではなく大切な価値観を確かめるタイプの方法
  • 「〜しはじめている」「〜を選べる」など、橋渡しの言葉で信じられる文にする
目次 Contents
  1. アファメーションとは? 一言でいうと
  2. アファメーションに効果はある? 研究からわかること
  3. アファメーションが逆効果になりやすい3つのパターン
  4. 信じられるアファメーションをつくる5つのステップ
  5. 場面別:アファメーションの例文
  6. 続けるための使い方とコツ
  7. 「なりたい自分」より、「大切にしたい自分」に声をかける

鏡の前で「私はできる」と言ってみる。手帳に「私は自信に満ちている」と書いてみる。アファメーションを調べているあなたは、自分にかける言葉を変えて、少しでも前向きになりたいのかもしれません。

一方で、こんな違和感を覚えた人もいるはずです。前向きな言葉を唱えるほど、心のどこかで「いや、そんなことないでしょ」という声がする。続けるうちに、かえって今の自分とのギャップが目について、つらくなってしまう。

その違和感は、まっとうな反応です。実は研究でも、言葉の選び方しだいで、アファメーションが逆効果になりうることがわかっています。うまくいかなかったのは、あなたの信じる力が足りないからではありません。言葉と今の自分の距離が、少し遠すぎただけかもしれないのです。

この記事では、アファメーションの意味と研究でわかっていることを整理します。そのうえで、あなたの価値観から「信じられる言葉」をつくる方法と、場面別の例文を紹介します。

アファメーションとは? 一言でいうと

アファメーションとは、望む自分や大切にしたい在り方を短い言葉にして、自分にくり返し伝える方法です。英語の affirmation は「肯定」「断言」という意味です。

源流のひとつとしてよく挙げられるのが、20世紀初めのフランスの薬剤師エミール・クーエです。彼は「日々に、あらゆる面で、私はますますよくなっていく」という言葉を、毎日くり返し唱えるようすすめました。意識して自分に暗示をかけるこの方法は、のちの自己啓発やコーチングにも影響を与えています。

コーチングの世界では、「一人称で」「現在形で」「肯定形で」書く、といった作り方のルールがよく紹介されます。ただし、こうしたルールの多くは実践の中で生まれた工夫で、ひとつひとつが研究で確かめられているわけではありません。

心理学の「セルフ・アファメーション」とは別もの

まぎらわしいのですが、心理学には「セルフ・アファメーション(自己肯定化)」という、名前の似た研究分野があります。社会心理学者のクロード・スティールが1988年に理論として示したものです。

こちらは「なりたい自分」を唱えるのではありません。自分にとって大切な価値観をひとつ選び、それがなぜ大切かを短く書く、という方法です。脅かされるような場面で、人が身構えすぎるのをやわらげる働きがあると考えられています(Steele, 1988)。

いわゆるアファメーションセルフ・アファメーション(心理学)
何をする?望む姿を言葉にしてくり返す大切な価値観と、その理由を書く
言葉の向き未来の理想(「私は〜だ」)すでにもっている大切なもの
研究直接の検証は少なく、逆効果の報告もある多くの実験があるが、効果の大きさには議論がある

この記事の後半では、この二つのいいところを組み合わせた作り方を紹介します。

アファメーションに効果はある? 研究からわかること

自己肯定感が低いと、かえって気分が下がることがある

心理学者のジョアン・ウッドらは、こんな実験をしました。参加者に、合図が鳴るたびに「私は愛される人間だ」と心の中でくり返してもらったのです(Wood ら, 2009)。

その結果、もともと自己肯定感が高い人は、少しだけ気分がよくなりました。ところが、自己肯定感が低い人は、くり返さなかった人より、かえって気分や自分への評価が下がっていました。

研究者たちは、その理由をこう考えました。人は、今の自分の見方とかけ離れたメッセージを受け取ると、受け入れずに打ち消そうとする。「愛される人間だ」と言うたびに、「でも、あのとき嫌われた」という反論が浮かび、むしろ否定的な考えが強まってしまうのです。

効果を分けるのは「前向きさ」より「信じられるか」

この研究から見えてくるのは、言葉が前向きであればあるほどいい、わけではないということです。効くかどうかを分けるのは、言葉の明るさより、今の自分がそれを信じられるかどうかだと考えられます。

一方、価値観を書くタイプのセルフ・アファメーションには、多くの実験があります。ストレス場面での防衛的な反応をやわらげると報告されてきました。ただ、大規模な追試では効果が小さかったという報告もあり、どんな条件で働くのかは今も研究が続いています(Cohen & Sherman, 2014)。

言い方を変えると、受け取り方も変わる

言葉の「形」に注目した研究もあります。課題の前に「私はやる」と書くより、「私はやるだろうか?」と問いの形で書いたほうが、課題の成績がよかったという実験があります(Senay ら, 2010)。ただしこれは小規模な実験で、十分に確かめられた結果とはいえません。

また、緊張する場面で、自分に「私は」ではなく自分の名前や「あなた」で語りかけると、不安が落ち着きやすかったという研究もあります(Kross ら, 2014)。自分を少し外から見る距離が生まれるからだと考えられています。

アファメーションが逆効果になりやすい3つのパターン

1. 今の自分と、かけ離れすぎている

人前で話すのが苦手な人が、いきなり「私は堂々としたスピーカーだ」と唱える。言葉と現実の距離が遠いほど、心の中の反論も大きくなります。これは、心と言葉の食い違いがもたらす居心地の悪さ、認知的不協和の一種と見ることもできます。

2. 「〜でなければならない」が隠れている

「私はいつも笑顔でいる」。一見前向きですが、その奥に「笑顔でいなければ受け入れてもらえない」という思い込みが隠れていることがあります。そうした言葉は、自分を励ますどころか、新しいノルマになってしまいます。

『無意識のすごい見える化』PRも、この点に触れています。同書では、口癖をポジティブな言葉に入れ替えるだけでは、効果は一時的にとどまると説明されています。根本にある思い込みを見直さない限り、否定的な気持ちはまた戻ってくる、という見方です。

著者は、その根本にあるものを「脳内の親」と呼びます。幼いころの親の言動や家庭の空気から、無意識に取りこんだルールのことです。研究用語ではなく著者の考え方ですが、言葉を入れ替えても続かないときの見直しポイントとして役に立ちます。

アファメーションを唱えて違和感が強いときは、「この言葉に反論しているのは、誰の声だろう」と問いかけてみてください。思い込みそのものの見直し方は、ビリーフとは?自分を縛る思い込みの外し方で紹介しています。

3. 現実の問題から、目をそらすために使っている

職場で理不尽な扱いを受けているのに、「私は今の環境に感謝している」と唱え続ける。前向きな言葉で、本当は向き合うべき気持ちや問題にふたをしていないか、ときどき確かめてみてください。

信じられるアファメーションをつくる5つのステップ

ここからは、研究の知見をふまえた作り方を紹介します。ポイントは、「理想の自分」ではなく「大切にしたい自分」から出発することです。

ステップ1:価値観から出発する

まず、あなたが大切にしたいことを思い出します。「誠実でいたい」「人とのつながりを大切にしたい」「自分で選びたい」。価値観がまだはっきりしない人は、価値観の見つけ方のワークから始めるのがおすすめです。

ステップ2:今の自分が信じられる言葉にする

価値観が決まったら、それを短い文にします。このとき、「完成した自分」を宣言するのではなく、今の自分にも当てはまる言葉を選びます。

使いやすいのが、次のような橋渡しの言い回しです。

遠すぎる言葉橋渡しの言葉
私は自信に満ちている私は、自分の意見を言う練習をしている
私は誰からも愛される私を大切にしてくれる人が、少なくとも一人いる
私は何でもできる私は、今日できることをひとつ選べる
私は不安を感じない不安があっても、私は一歩を踏み出せる

「〜しはじめている」「〜を選べる」「〜してもいい」。こうした言葉は、今の自分を否定せずに、方向だけを示してくれます。

ステップ3:問いの形も試してみる

断言がしっくりこないときは、問いの形にしてみます。「今日、私はどんなふうに誠実でいられるだろう?」。問いは、反論を呼ぶかわりに、答えを探しはじめるきっかけになります。

ステップ4:体で違和感を確かめる

できた言葉を、声に出して読んでみてください。胸のあたりが少しゆるむなら、合っている言葉です。肩に力が入ったり、すぐに「でも」が浮かんだりするなら、もう一段、今の自分に近づけます。

ステップ5:行動とセットにする

言葉は、行動とつながったときに力を発揮します。「私は、自分の意見を言う練習をしている」なら、今日の会議でひとつ質問する。言葉が行動を後押しし、行動が言葉を裏づける。その往復で、言葉は少しずつ本物になっていきます。

場面別:アファメーションの例文

例文は、あくまで出発点です。そのまま使うより、自分の言葉に直してから使ってください。

自信がないとき

  • 私は、昨日の自分より一歩だけ進めばいい。
  • できないことがあっても、私の価値は減らない。
  • 私は、自分の得意なことを少しずつ言葉にしている。

人の目が気になるとき

  • 私は、自分の感じたことを大切にしていい。
  • すべての人に好かれなくても、私は私でいられる。
  • 私の選択の理由は、私が知っていれば十分だ。

新しいことに挑戦する前

  • 緊張しているのは、これが私にとって大切だからだ。
  • ◯◯(自分の名前)、あなたはこれまでも初めてを乗り越えてきた。
  • 今日の私にできることは何だろう?

疲れているとき、自分を責めがちなとき

  • 休むことも、前に進むことの一部だ。
  • 私は、うまくいかなかった自分にもやさしくしていい。
  • 今日はここまでで十分。

人の目が気になる気持ちそのものと向き合いたい人は、人の目が気になる理由と、気にしすぎない方法へ。自分を責めるくせが気になる人は、自己肯定感を高める方法もあわせて読んでみてください。

続けるための使い方とコツ

言葉が必要な「場面」に置く

朝の支度のあと、会議の前、寝る前など、言葉が役立つ場面を決めておきます。回数を重ねるより、必要なときに一度、落ち着いて伝えるほうが意味があります。

名前や「あなた」で語りかける

緊張する場面では、「私は大丈夫」より「◯◯、大丈夫だよ」と、自分の名前で語りかけてみてください。友人を励ますような距離感が生まれます。ふだんの心の声の扱い方は、セルフトークとは?心の口ぐせを味方にするでくわしく紹介しています。

月に一度、言葉を見直す

続けるうちに、最初の言葉がしっくりこなくなることがあります。それは、あなたが変わってきたしるしかもしれません。今の自分に合わせて、言葉も育てていってください。言葉だけでなくイメージの力も借りたい人は、ビジュアライゼーションも参考になります。

「なりたい自分」より、「大切にしたい自分」に声をかける

アファメーションは、今の自分を否定して、別人になるための呪文ではありません。自分が何を大切にしたいのかを思い出し、その方向へ一歩踏み出すための、小さな合図です。

きれいな言葉でなくてかまいません。少し照れくさくても、読んだときに肩の力が抜ける言葉。それが、あなたにとってのいいアファメーションです。

今日、ひとつだけ試してみてください。「私は〜しはじめている」の形で、今の自分が信じられる一文を書いてみる。その一文が、あなたと未来の自分をつなぐ、細くても確かな橋になるはずです。

A question for you

あなたへの問い

今のあなたが、無理なく信じられる自分への一言は何ですか?

このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。

よくある質問

アファメーションは毎日何回唱えればいいですか?

回数を決めた研究上の正解はありません。回数をこなすより、朝や挑戦の前など、言葉が必要な場面で落ち着いて一度伝えるほうが意味があります。唱えるたびに違和感が強くなるなら、回数ではなく言葉そのものを見直すサインです。

アファメーションは逆効果になることがありますか?

あります。自己肯定感が低い人が「私は愛される人間だ」とくり返したところ、かえって気分が下がったという実験が報告されています。今の自分とかけ離れた言葉は、心の中で反論を呼びやすいからです。信じられる範囲の言葉に変えると、反発は小さくなります。

書くのと声に出すのでは、どちらがいいですか?

どちらが優れているかを比べた確かな研究は、見当たりません。書くと言葉をじっくり選べ、声に出すと体で違和感を確かめやすいという違いがあります。自分が続けやすいほうを選び、ときどきもう一方も試してみてください。

引き寄せの法則とは違うのですか?

この記事で紹介するアファメーションは、言葉で願いを現実に引き寄せるものではありません。自分が何を大切にしたいかを思い出し、行動を選びやすくするための道具です。言葉だけで状況が変わると期待すると、行動が置き去りになりやすいので注意してください。

もう一歩深めたい人へ

PR・Amazonへのリンクを含みます
  • スタンフォードのストレスを力に変える教科書

    ケリー・マクゴニガル(著)/神崎朗子(訳)/大和書房(2015年)

    「ストレスは悪いもの」と思い込んでいる人へ。ストレスの捉え方を変えることで受け止め方が変わるという研究を、実践的なエクササイズとともに紹介しています。

    Amazonで見る
  • セルフ・コンパッション 有効性が実証された自分に優しくする力

    クリスティン・ネフ(著)/石村郁夫、樫村正美、岸本早苗(監訳)/浅田仁子(訳)/金剛出版(2021年)

    つい自分に厳しくしてしまう人へ。研究者ネフが、自分を責める代わりに思いやりを向ける「セルフ・コンパッション」を、研究と自身の経験を交えて丁寧に解説しています。

    Amazonで見る
  • 無意識のすごい見える化 「脳内の親」から解放されれば未来は思い通り!

    梯谷幸司/KADOKAWA(2021年)

    親や周りの期待に、知らないうちに縛られている気がする人へ。自分の中にある「脳内の親」の声に気づき、自分の望みで選び直すための見取り図になります。

    Amazonで見る

References

  • Wood, J. V., Perunovic, W. Q. E., & Lee, J. W. (2009). Positive self-statements: Power for some, peril for others. Psychological Science, 20(7), 860–866.
  • Steele, C. M. (1988). The psychology of self-affirmation: Sustaining the integrity of the self. Advances in Experimental Social Psychology, 21, 261–302.
  • Cohen, G. L., & Sherman, D. K. (2014). The psychology of change: Self-affirmation and social psychological intervention. Annual Review of Psychology, 65, 333–371.
  • Senay, I., Albarracín, D., & Noguchi, K. (2010). Motivating goal-directed behavior through introspective self-talk: The role of the interrogative form of simple future tense. Psychological Science, 21(4), 499–504.
  • Kross, E., Bruehlman-Senecal, E., Park, J., et al. (2014). Self-talk as a regulatory mechanism: How you do it matters. Journal of Personality and Social Psychology, 106(2), 304–324.
  • Coué, É. (1922). Self Mastery Through Conscious Autosuggestion.
  • 『無意識のすごい見える化』第1章・第4章 p.81, 98-107、第5章 p.147
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。