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セルフイメージとは?書き換えて自分を変える方法
セルフイメージとは、自分について自分が語っている「物語」のこと。セルフイメージが行動を左右するしくみ、「21日で変わる」説の本当のところ、言葉・行動・環境の3つの方向から自己像を少しずつ書き換える方法を紹介します。
この記事の結論
セルフイメージとは、「自分はこういう人間だ」と自分が思っている自己像のことです。人は自己像に合う情報を集め、それに沿って行動しやすいため、行動を変えても元に戻りがちです。書き換えるには、自分を語る言葉、小さな行動という証拠、身を置く環境の3つの方向から、少しずつ更新していくのが現実的です。
- セルフイメージは、自分について自分が語り続けている物語のようなもの
- 人は自己像に合う情報を選びやすい。だから行動だけ変えても戻りやすい
- 言葉・行動・環境の3方向から、小さな証拠を積んで物語を更新する
目次 Contents
「私は人前に出るタイプじゃない」「昔から飽きっぽいから」「どうせ私は脇役だ」。自分について、そんなふうに説明していることはありませんか。
新しいことに挑戦しようとしても、その説明が頭をよぎって、手が止まる。せっかく行動を変えても、しばらくすると「やっぱり自分らしくない」と、元の自分に戻ってしまう。そんなくり返しに、もどかしさを感じている人もいると思います。
変われないのは、意志が弱いからではありません。人は、自分について持っているイメージに合わせて行動するようにできています。だとすれば、行動だけでなく、そのイメージにも目を向ける必要があります。
この記事では、セルフイメージとは何か、それがどう行動を左右するのかを紹介します。よく聞く「21日で変わる」説の本当のところも確かめます。そのうえで、言葉・行動・環境の3つの方向から、セルフイメージを少しずつ書き換える方法をお伝えします。
セルフイメージとは? 一言でいうと
セルフイメージとは、「自分はこういう人間だ」と、自分が思っている自己像のことです。性格、能力、得意なこと、苦手なこと、人からどう見られているか。そうした自分についての思いこみの集まりです。
セルフイメージという言葉を広めたのは、形成外科医のマクスウェル・マルツです。マルツは1960年の著書『サイコ・サイバネティクス』で、ある患者たちに注目しました。顔の手術で見た目が変わっても、自己像が変わらない人がいたのです。そして、人の行動を方向づけているのは、外見よりも内側の自己像だと論じたのです。
心理学では、似た概念を「自己概念」や「自己スキーマ」と呼んで研究してきました。自己スキーマとは、自分についての知識の枠組みのことです。
セルフイメージは「自分についての物語」
セルフイメージは、写真のように固定されたものというより、自分について語り続けている物語に近いものです。
心理学者のダン・マクアダムスは、人は過去・現在・未来をつなぐ「人生の物語」を内側に持っていると考えました(McAdams, 2001)。その物語によって、自分が何者かを理解しているというのです。「私は小さいころから引っこみ思案で、だから今も人前が苦手だ」。こうした語りは、出来事のどれを選び、どうつなぐかによって、まったく違う物語になります。
同じ過去でも、「引っこみ思案だったけれど、少人数なら深く話せる人間になった」と語ることもできます。物語なら、書き直すことができるのです。
セルフイメージが行動を決めるしくみ
自己像に合う情報ばかり目に入る
心理学者のヘイゼル・マーカスは、自己スキーマの働きを実験で確かめました(Markus, 1977)。人は、自分についての枠組みを持っている分野では、関連する情報をすばやく処理し、自分に当てはめやすかったのです。
「私は人見知りだ」という自己像を持っている人は、人との会話でぎこちなかった場面をよく覚えています。一方、楽しく話せた場面は「相手がよかったから」と流してしまいます。こうして、自己像に合う記憶ばかりがたまっていきます。
人は、自分の見方を確かめたがる
社会心理学者のウィリアム・スワンらは、人は自分の見方を裏づけてくれる相手や評価を求める傾向があることを示しました(Swann ら, 1992)。驚くことに、自分を低く見ている人は、ほめてくれる相手より、低い見方に合う評価をする相手を選ぶことがありました。
自分の見方が確かめられると、世界が予測どおりだという安心感が得られます。たとえそれが、つらい見方であってもです。
セルフイメージは、場面ごとに違う
セルフイメージは、ひとつの大きな像ではありません。「仕事では頼れる人」「恋愛では自信がない人」「家族の前ではしっかり者」。場面ごとに、いくつもの自己像を持っているのがふつうです。
これは、書き換えるときの手がかりになります。「自分を丸ごと変える」と考えると、途方もなく感じます。でも、「人前で話す場面の自己像だけ」なら、取り組めそうな気がしてきませんか。変えたい場面をひとつに絞ると、行動の証拠も集めやすくなります。
「らしくない」と感じると、元に戻る
この2つのしくみが合わさると、行動を変えようとしたときに、ブレーキがかかります。新しい行動をとると「自分らしくない」と感じ、居心地が悪くなる。そして、慣れた行動に戻ってしまうのです。
コーチングでは、この「慣れた状態に戻ろうとする力」を、体の恒常性を表すホメオスタシスにたとえて説明することがあります。比喩ではありますが、変化に揺り戻しがあることを理解する助けになります。詳しくはホメオスタシスとは?変われないのは脳の仕組みをどうぞ。
「21日でセルフイメージが変わる」は本当?
セルフイメージや習慣の話でよく聞くのが、「21日続ければ変わる」という説です。実はこれ、もとをたどるとマルツの本に行き着きます。
マルツは、手術を受けた患者が新しい顔に慣れるまで、最低でも21日ほどかかることが多かった、と書きました。これは臨床医としての観察で、厳密な研究ではありませんでした。それがいつのまにか、「21日で習慣ができる」「21日で人は変わる」という話に広がったのです。
21日で変わらなくても、あなたのやり方が間違っているわけではありません。自己像の書き換えは、数か月単位で進むものだと考えておくと、焦らずにすみます。
セルフイメージを書き換える3つの方向
セルフイメージは、一つの方法で一気に変えるより、いくつかの方向から少しずつ更新していくほうが現実的です。ここでは、言葉・行動・環境の3つを紹介します。
方向1:言葉 ― 自分を語る言葉を変える
まずは、ふだん自分について使っている言葉に気づくことから始めます。「私は〜なタイプだから」「昔から〜だから」。こうした言葉は、自己像を毎日確かめ直す働きをしています。
ここで、いきなり反対の言葉に変えるのはおすすめしません。「私は自信に満ちた人間だ」のように、信じていない言葉をくり返すと、かえって気分が落ちこむことがあると報告されています(Wood ら, 2009)。
おすすめは、「〜しつつある」「〜を練習中」という言い方です。「私は人見知りだ」を、「私は、少人数で話すことに慣れつつある」に。今の自分にも受け入れやすく、変化の途中にいることを表せます。
言葉の使い方は、アファメーションとは?効果的な作り方と例文でも紹介しています。
方向2:行動 ― 小さな証拠を積む
心理学者ダリル・ベムの「自己知覚理論」によれば、人は自分の行動を観察して、自分がどんな人間かを知ります(Bem, 1972)。つまり、行動は、新しい自己像の「証拠」になるのです。
作家のジェームズ・クリアは、習慣づくりの本の中で、一つひとつの行動を「なりたい自分への一票」と表現しました。たとえば、「人前で話せる人」になりたいなら、会議で一言発言するたびに、その自己像に一票が入る。一回の大きな成功より、小さな一票を積み重ねるほうが、自己像は確実に変わっていきます。習慣づくりのコツは、習慣化のコツ|小さな変化が人生を変える理由で詳しく紹介しています。
方向3:環境 ― 映し鏡を選ぶ
社会学者のチャールズ・クーリーは、人は他人の目に映る自分の姿を想像しながら、自己像をつくっていくと考えました(Cooley, 1902)。クーリーはこれを「鏡に映った自己」と呼びました。
だとすれば、どんな人に囲まれているかは、セルフイメージに大きく影響します。昔の自分しか知らない人の前では、昔の自分に戻りやすい。新しい挑戦をしている人たちの中では、自分もその一員だと感じやすくなります。
すべての人間関係を変える必要はありません。新しい自分を知っている人と過ごす時間を、少しだけ増やしてみてください。勉強会やオンラインのコミュニティなど、まだあなたの「昔」を知らない場所も、新しい自己像を試すよい舞台になります。
周りの期待に合わせて演じてきた自己像を降ろしたい人は、自分らしく生きるとは?他人の期待を降りる方法もあわせて読んでみてください。人の期待から少し離れると、自分で選んだ自己像を育てる余地が生まれます。
セルフイメージを書き換えるときに、気をつけたいこと
過去の自分を否定しなくていい
セルフイメージを書き換えようとすると、昔の自分を「ダメな自分」として切り捨てたくなることがあります。でも、これまでの自己像は、あなたがその時どきを生きのびるために必要だったものです。
「人見知り」という自己像は、慎重さや、人の気持ちへの敏感さを守ってきたのかもしれません。書き換えるのは、否定するためではなく、今の自分に合う形に更新するためです。
過去の自分との向き合い方として、NLP(神経言語プログラミング。優れた心理療法家の観察から生まれたコミュニケーションと自己変容の手法)には、椅子を使うワークがあります。『NLPの実践手法がわかる本』PRで、低いセルフイメージを修正する方法として紹介されているものです。
ワークの軸は、二つの見方を行き来することです。その時期の自分の中に入りこんで感じる見方を、NLPでは「アソシエイト」と呼びます。外から眺める見方は「ディソシエイト」です。詳しくはアソシエイトとディソシエイトとは?で紹介しています。
NLPの技法で、このワークの効果を確かめた研究は多くありません。過去を「なかったこと」にするのではなく、意味を足して眺め直すための内省の道具として使ってください。
揺り戻しは、変化の途中のサイン
新しい行動をしたあとに、「やっぱり自分らしくない」と感じるのは、自然な反応です。それは失敗ではなく、自己像が書き換わりつつあるときに起きる、居心地の悪さです。
戻ってしまった日があっても、また一票を入れればいい。物語は、何度でも書き足せます。慣れた領域の外に出るときの不安との付き合い方は、コンフォートゾーンとは?抜け出し方と成長の関係で紹介しています。自分を縛っている思い込みそのものに目を向けたい人は、ビリーフとは?自分を縛る思い込みの外し方もあわせて読んでみてください。
物語の次のページは、今日のあなたが書く
セルフイメージは、生まれつき決まった設計図ではありません。これまでの経験と、自分への語りかけと、周りの人との関わりの中で書かれてきた物語です。そして、その物語の続きは、今日のあなたの選択によって書かれていきます。
大きく書き換えようとしなくてかまいません。一行ずつ、一票ずつで十分です。
今日、自分について「私は〜だから」と言いそうになったら、試してみてください。そのあとに、「でも、〜しつつある」と心の中で付け足すのです。その小さな一言が、あなたの物語の新しいページになります。
A question for you
あなたへの問い
あなたが自分について、いちばんよく口にする説明は何ですか?
このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。
よくある質問
セルフイメージと自己肯定感は、どう違いますか?
セルフイメージは「自分はどんな人間か」という自己像の中身です。自己肯定感は、その自分に価値があると感じられるかどうかという評価の感覚です。「私は人見知りだ」はセルフイメージで、そんな自分をどう感じるかが自己肯定感にあたります。
セルフイメージは、どれくらいで変わりますか?
決まった期間はありません。よく言われる「21日」には、研究の裏づけがありません。習慣づくりの研究では、新しい行動が自然にできるようになるまで、人や行動によって大きな幅があることがわかっています。数か月単位で、ゆっくり変わっていくと考えておくと焦らずにすみます。
人から言われたことで、セルフイメージは変わりますか?
変わることがあります。人は、周りの人が自分をどう見ているかを映し鏡のようにして、自己像をつくっていくからです。だからこそ、あなたの変化を応援してくれる人と過ごす時間を増やすことは、セルフイメージを書き換える助けになります。
セルフイメージが低いのは、どうしてですか?
過去の失敗や、周りからくり返し言われた言葉が、自己像の材料になっていることが多いです。また、人はもともと自分の見方を裏づける情報を集めやすいため、一度できた低い自己像は、そのまま強まりやすい傾向があります。あなたが劣っているからではなく、心のしくみによるものです。
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References
- Markus, H. (1977). Self-schemata and processing information about the self. Journal of Personality and Social Psychology, 35(2), 63–78.
- Maltz, M. (1960). Psycho-Cybernetics. Prentice-Hall.
- Swann, W. B., Jr., Stein-Seroussi, A., & Giesler, R. B. (1992). Why people self-verify. Journal of Personality and Social Psychology, 62(3), 392–401.
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009.
- Bem, D. J. (1972). Self-perception theory. Advances in Experimental Social Psychology, 6, 1–62.
- Cooley, C. H. (1902). Human Nature and the Social Order. Charles Scribner's Sons.
- McAdams, D. P. (2001). The psychology of life stories. Review of General Psychology, 5(2), 100–122.
- Wood, J. V., Perunovic, W. Q. E., & Lee, J. W. (2009). Positive self-statements: Power for some, peril for others. Psychological Science, 20(7), 860–866.
- 『NLPの実践手法がわかる本』第1章 p.142-143
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」
- Clear, J. (2018). Atomic Habits: An Easy & Proven Way to Build Good Habits & Break Bad Ones. Avery.