No.04 Draw the Future未来を描く
ウェルフォームドアウトカムとは?実現しやすい目標の5条件
ウェルフォームドアウトカムとは、NLPで使われる「実現しやすい形に整えた目標」のこと。アウトカムやエンドステートとの違い、肯定形・五感の証拠・自分で動かせることなど5つの条件、点検用のワークシートと記入例を紹介します。
この記事の結論
ウェルフォームドアウトカムとは、NLPで使われる言葉で、実現に向けて動きやすい形に整えた目標のことです。望む状態を肯定形で表す、五感でわかる証拠を決める、自分で始めて続けられる、状況を具体的にする、今ある良さを損なわない、といった条件で目標を点検します。
- アウトカムは「望む結果」。それを動きやすい形に整えたものがウェルフォームド
- 肯定形・五感の証拠・自分で動かせる・状況・エコロジーの5つで点検する
- 研究の裏づけは限られるが、目標をあいまいなままにしないための実用的な型
目次 Contents
目標を立てたのに、何から手をつければいいかわからない。頑張っているのに、どこまで進んだのかがつかめない。そんなとき、問題は努力の量ではなく、目標の「形」にあるのかもしれません。
「ウェルフォームドアウトカム」は、NLP(神経言語プログラミング。優れた心理療法家の観察から生まれたコミュニケーションと自己変容の手法)で使われる言葉です。目標を、実現に向けて動きやすい形に整えるための考え方です。
この記事では、ウェルフォームドアウトカムとは何かを、アウトカムやエンドステートとの違いとあわせて整理します。そのうえで、目標を点検する5つの条件と、すぐに使えるワークシート、記入例を紹介します。
ウェルフォームドアウトカムとは? 一言でいうと
ウェルフォームドアウトカムとは、実現に向けて動きやすい形に整えた目標のことです。英語の well-formed は「よく形づくられた」、outcome は「結果」という意味です。
NLPでは、変化を「今の状態」から「望む状態」への移動として考えます。その望む状態を言葉にしたものがアウトカムです。そして、アウトカムを、あいまいさのない、自分で動きだせる形に整えたものが、ウェルフォームドアウトカムです。
アウトカム・エンドステート・ゴールの違い
似た言葉が多いので、整理しておきます。
| 言葉 | 意味 | 特徴 |
|---|---|---|
| アウトカム | 望む結果 | 「何を手に入れたいか」を表す。まだ形が整っていないこともある |
| エンドステート | 目標が叶ったときの状態 | そのとき見えるもの、聞こえるもの、感じることまで含めて描く |
| ウェルフォームドアウトカム | 条件を満たして整えたアウトカム | 実現に向けて動きやすい形になっている |
| ゴール | 目標全般 | 数字や到達点を指すことが多い |
エンドステートは、アウトカムが実現した瞬間を、体験として描いたものと考えるとわかりやすいでしょう。ウェルフォームドアウトカムを考えるときも、このエンドステートを具体的に描くことが中心になります。
実現しやすい目標に整える5つの条件
ウェルフォームドアウトカムの条件は、本や流派によって数や表現が少しずつ違います。たとえば『実務入門 NLPの基本がわかる本』PRでは、8つのフレーム(問いの枠組み)で整理しています。ここでは、多くの文献に共通する5つを紹介します。
1. 肯定形で表す
「〜しない」「〜をやめる」ではなく、「〜している」という形で表します。「人前で緊張しない」より、「人前で、落ち着いた声で話している」。
否定形の目標は、避けたいものに注意を向け続けることになります。心理学の研究でも、何かを避けることを中心にした目標をもつ人は、そうでない人に比べて、幸福感が低い傾向が報告されています(Elliot ら, 1997)。**避けたいものの代わりに、何を手に入れたいのか。**それを言葉にすることが、最初の一歩です。
2. 五感でわかる証拠がある
目標が叶ったとき、何が見えて、何が聞こえて、どんな感じがするか。五感でわかる証拠を決めておきます。
「自信がついている」だけでは、達成したかどうかがわかりません。「会議で、手を挙げて自分の意見を最後まで話している。周りがうなずいている。胸のあたりが軽い」。ここまで描くと、近づいているかどうかを自分で確かめられます。
NLPでは、人が見る・聴く・感じるのどれを好むかという「優位感覚」の考え方もよく紹介されます。ただ、この型分けは研究で十分な裏づけが得られていません。ここで五感を使うのは、タイプを当てはめるためではなく、目標の場面をくっきり描くためです。詳しくは優位感覚(VAK)とは?見る・聴く・感じるタイプをどうぞ。
3. 自分で始めて、続けられる
目標が、自分の行動で動かせるものかを確かめます。「上司が自分を認めてくれる」は、上司次第です。「週に一度、自分から進み具合を報告している」なら、自分で始めて、続けられます。
相手や環境を変えたい目標でも、「そのために自分は何をするか」に置きかえることで、自分の手の中に戻ってきます。
4. 状況がはっきりしている
いつ、どこで、誰と、その状態を実現したいのか。状況をはっきりさせます。「どんな場面でも落ち着いて話す」より、「月曜の定例会議で」のほうが、準備することが見えてきます。
反対に、「その状態がいらない場面はどこか」を考えることも役に立ちます。いつでもどこでも、という目標は、かえって動きにくくなるからです。
5. 今ある良さを損なわない(エコロジー)
目標が叶ったとき、失うものはないかを確かめます。NLPでは、これを「エコロジー」と呼びます。生態系のように、一つの変化が全体にどう影響するかを考えるという意味です。
たとえば、「残業をなくして、毎日18時に帰っている」という目標があるとします。叶えば家族との時間は増えますが、職場で頼りにされている実感が減るかもしれません。今の状態が守ってくれていたものに気づいたら、それも満たせる形に目標を調整します。
今の状態が、実はひそかに何かを守っていることもあります。これは「二次的利得」と呼ばれ、二次的利得とは?やめられない行動の隠れた理由で詳しく扱っています。目標の影響を確かめる方法は、エコロジーチェックとは?その目標は本当に自分のため?をどうぞ。
あわせて確かめたい:リソースと最初の一歩
5つの条件に加えて、二つのことも確かめておくと、動きだしやすくなります。
一つは、リソース(目標に役立つ自分の力や、まわりの人・もの・経験)です。すでにもっているもの、手に入れる必要があるものを書き出します。もう一つは、最初の一歩です。今日か明日にできる、小さな行動を一つ決めておきます。
ワークシート:目標を5つの条件で点検する
もう一歩深める:8つのフレーム
最初のシートに慣れたら、もう少し深める問いも試してみてください。『実務入門 NLPの基本がわかる本』の8つのフレームには、5つの条件にない問いが二つ含まれています。今それを止めているもの(制限)と、その目標が自分にとってもつ、より高い意味(メタアウトカム)です。
(『実務入門 NLPの基本がわかる本』第3章 p.156-157 をもとに構成)
6の「止めているもの」が見えると、何に手を打てばいいかがわかります。7の「一段上の意味」が見えると、同じ意味を別の形で満たす道に気づくこともあります。「昇進したい」の奥に「認められたい」があるなら、昇進以外にも満たし方があるかもしれません。
記入例:「人前で緊張しない」を整える
ワークシートを使うと、目標はどう変わるでしょうか。一つの例で見てみます。
最初の「緊張しない」と比べると、何をすればいいかが、ずっとはっきりしたのではないでしょうか。
研究から見たウェルフォームドアウトカム
ウェルフォームドアウトカムは、NLPの実践の中で整えられてきた考え方です。この型そのものの効果を、厳密に確かめた研究は多くありません。その点は知っておく必要があります。
一方で、条件の一部は、心理学の研究と重なるところもあります。具体的な目標が、あいまいな目標より成果につながりやすいことは、目標設定理論で示されてきました(Locke & Latham, 2002)。避ける目標より近づく目標のほうが幸福感と結びつきやすいことも、先に紹介したとおりです。
つまり、ウェルフォームドアウトカムは「これを満たせば叶う」という魔法の公式ではありません。目標のあいまいな部分を見つけ、動きやすい形に整えるための、実用的なチェックリストと考えるのがよいでしょう。NLP全体の考え方は、NLPとは?神経言語プログラミングの基本と活かし方で紹介しています。
目標は、言葉を整えるところから動きだす
目標が叶わないとき、私たちはつい自分の努力や意志を責めてしまいます。でも、目標の言葉が少しあいまいだっただけ、ということも少なくありません。
ワークシートを使って、目標を一つだけ書き直してみてください。否定形を肯定形に変えるだけでも、目に入るものが変わってきます。
整えた目標は、実際に動きながら、うまくいっているかを確かめていくことが大切です。そのためのフィードバックの考え方は、TOTEモデルとは?目標達成のフィードバックループで紹介しています。目標の立て方全体を見直したい人は、目標設定の方法|ワクワクするゴールの立て方もあわせてどうぞ。
A question for you
あなたへの問い
その目標が叶った日、あなたは最初に何を目にしているでしょうか?
このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。
よくある質問
アウトカムとゴールは、同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味で使われることが多い言葉です。NLPでは、アウトカムを「望む結果」、特に今の状態から移りたい先の状態として扱います。ゴールという言葉が数字や到達点を指すことが多いのに対し、アウトカムは、そのとき自分が何を見て、聞いて、感じているかまで含めて考えるのが特徴です。
5つの条件を、すべて満たさないといけませんか?
最初から全部を満たす必要はありません。条件は、目標の弱いところを見つけるためのチェックリストです。満たせない条件があれば、そこが次に考えるべき点だとわかります。何度か書き直すうちに、自然と整っていきます。
「〜をやめたい」という目標は、どう書き換えればいいですか?
「やめたあと、代わりに何をしていたいか」を考えると、肯定形に書き換えやすくなります。たとえば「夜にスマホを見るのをやめたい」なら、「23時には布団に入り、本を読んでから眠っている」のように表します。
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References
- O'Connor, J., & Seymour, J. (1990). Introducing Neuro-Linguistic Programming. Mandala.
- Dilts, R., & DeLozier, J. (2000). Encyclopedia of Systemic Neuro-Linguistic Programming and NLP New Coding. NLP University Press.
- Elliot, A. J., Sheldon, K. M., & Church, M. A. (1997). Avoidance personal goals and subjective well-being. Personality and Social Psychology Bulletin, 23(9), 915–927.
- Locke, E. A., & Latham, G. P. (2002). Building a practically useful theory of goal setting and task motivation: A 35-year odyssey. American Psychologist, 57(9), 705–717.
- 『実務入門 NLPの基本がわかる本』第3章 p.156-157