No.02 Tend the Mind心を整える

スウィッシュとは?嫌なイメージを書き換える技法

スウィッシュとは、嫌な反応のきっかけになるイメージを、なりたい自分のイメージへ素早く入れ替えるNLPの技法。視覚版と聴覚版(頭の中の声)の手順、根拠の限界、一人で安全に試すときの注意点、効果が出にくいときの考え方を紹介します。

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この記事の結論

スウィッシュとは、嫌な反応や癖のきっかけになるイメージを、なりたい自分のイメージへ素早く入れ替える練習をくり返すNLPの技法です。科学的な検証は限られていますが、きっかけと反応のつながりに気づき、別の方向を思い描く練習として試せます。

  • スウィッシュは、きっかけのイメージを、なりたい自分の姿へ素早く入れ替える技法
  • 入れ替える先は「望む行動」より「そうなった自分」の姿にするのがポイント
  • 効果の検証は限られる。つらい記憶には使わず、小さな癖から試すのが安全
目次 Contents
  1. スウィッシュとは? 一言でいうと
  2. なぜイメージを入れ替えると、反応が変わるのか
  3. 視覚のスウィッシュ:基本の手順
  4. 聴覚のスウィッシュ:頭の中の声を書き換える
  5. 効果が出にくいときの考え方
  6. 一人で試すときの注意点
  7. 行き先のイメージが、あなたを引っぱる

気づくと爪をかんでいる。スマホを手に取ると、やめようと思っていたSNSを開いている。上司の名前が通知に出ただけで、胃がぎゅっと縮む。頭ではわかっているのに、反応が先に起きてしまうことがあります。

そんな自動的な反応を変える方法を探して、「スウィッシュ」という言葉にたどり着いたのかもしれません。

この記事では、NLPのスウィッシュという技法を、視覚版と聴覚版の両方の手順で紹介します。科学的にどこまでわかっているのか、一人で試すときに気をつけたいこと、うまくいかないときの考え方もあわせてお伝えします。

スウィッシュとは? 一言でいうと

スウィッシュとは、嫌な反応のきっかけになるイメージを、なりたい自分のイメージへ素早く入れ替える練習です。紹介したのは、リチャード・バンドラーです(Bandler, 1985)。NLP(神経言語プログラミング。優れた心理療法家の観察から生まれたコミュニケーションと自己変容の手法)の共同創始者の一人です。

名前は、英語で「シュッ」と素早く動く音を表す swish から来ています。イメージを一瞬で入れ替える様子を表した名前です。

ポイントは、入れ替える先のイメージにあります。「爪をかまない行動」ではなく、「爪をかむ必要がなくなった自分」の姿を思い描くのです。NLPの解説書では、具体的な行動より、そうなった自分の姿のほうが、心を引きつける力が強いと説明されています(Andreas & Andreas, 1987)。

なぜイメージを入れ替えると、反応が変わるのか

NLPでは、私たちの反応は、ある「きっかけ」のイメージから始まると考えます。爪をかむ人なら、手が口に近づいていく光景。お菓子に手が伸びる人なら、棚に並んだ袋が目に入る瞬間。

スウィッシュは、頭の中の道筋をつけ直そうとする技法です。きっかけのイメージが浮かんだら、すぐに「なりたい自分」のイメージが続くようにするのです。きっかけのイメージは小さく暗く、なりたい自分のイメージは大きく明るくする。こうした見え方の「質感」は、NLPでサブモダリティと呼ばれます。詳しくはサブモダリティとは?記憶の「質感」を変えるをどうぞ。

向いている場面、向いていない場面

NLPの解説書でスウィッシュが使われる例と、一人で試すのに向かない場面を整理しました。研究にもとづく分類ではなく、安全に試すための目安です。

一人で試しやすい専門家の支援を優先したい
爪かみ、間食など小さな癖依存症、摂食の問題
特定の場面での軽い緊張パニック発作、強い恐怖症
苦手な人の通知を見たときのざわつき過去のつらい出来事のフラッシュバック
自分を責める口ぐせ長く続く気分の落ちこみ

きっかけに反応して気持ちが切り替わるしくみは、アンカリングとは?望む気持ちを呼び出すNLP技法とも共通しています。アンカリングがよい状態を呼び出す技法なら、スウィッシュは反応の行き先を変える技法です。

視覚のスウィッシュ:基本の手順

まずは、イメージを使う基本の手順です。最初は、爪をかむ、ついお菓子に手が伸びるといった、小さな癖から試すのがおすすめです。

ステップ8で、きっかけを思い浮かべたとたんに、なりたい自分の姿が自然と浮かぶかもしれません。そうなっていれば、練習の手応えがあったと考えます。変化がなくても、失敗ではありません。次の章のポイントを見直してみてください。

なりたい自分の姿を描くことは、自分のイメージそのものを見つめ直すことでもあります。このテーマは、セルフイメージとは?書き換えて自分を変える方法で扱っています。

聴覚のスウィッシュ:頭の中の声を書き換える

映像より、頭の中で聞こえる声に悩まされている人もいます。「どうせ無理」「またやった」。昔誰かに言われた言葉が、同じ口調でくり返し聞こえてくる。そんなときは、聴覚版のスウィッシュを試せます。

声の調子を変えると、言葉の重みが変わることがあります。心理療法のひとつに、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)があります。ACTにも、つらい考えを歌のメロディーにのせたり、おかしな声で言ってみたりする練習があります(Hayes ら, 2012)。考えと少し距離をとるための工夫です。

自分への語りかけを日ごろから整えたい人は、セルフトークとは?心の口ぐせを味方にするもあわせて読んでみてください。

効果が出にくいときの考え方

スウィッシュを試しても、反応があまり変わらないことがあります。そんなときに見直したいポイントをまとめました。

  • きっかけがずれている:反応が始まる「直前」の光景になっているかを確かめます。手が口に向かう瞬間など、より手前の場面を選び直します。
  • 行き先が行動になっている:「爪をかんでいない手」より、「そういう自分になった姿」のほうが、引きつける力が強いとされます。
  • なりたい自分に魅力がない:思い描いた姿に、自分が本当に惹かれているかを確かめます。義務感で描いた姿では、心は動きません。
  • 癖が何かを守っている:その癖が、不安をやわらげるなど、何かの役に立っていることがあります。

最後の点は大切です。たとえば、爪をかむことが、緊張したときに自分を落ち着かせる手段になっているとします。それを取り上げるだけでは、別の形で不安が出てくるかもしれません。癖が守っているものについては、二次的利得とは?やめられない行動の隠れた理由で詳しく扱っています。

一人で試すときの注意点

スウィッシュは、イメージを使う技法です。そのぶん、扱う内容によっては、強い感情を呼び起こすことがあります。

一人で試すときは、日常の小さな癖や、軽い苦手意識から始めてください。過去のつらい出来事の記憶や、思い出すと体が固まるような場面には使わないでください。つらい記憶との向き合い方は、嫌な記憶を書き換えるには?過去との向き合い方で、より慎重な方法を紹介しています。

行き先のイメージが、あなたを引っぱる

スウィッシュでいちばん時間をかけたいのは、手順そのものより、「なりたい自分の姿」を描くところです。どんな表情で、どんな姿勢で、どんなふうに毎日を過ごしているのか。その姿を思い描くことは、自分が本当はどう生きたいのかを確かめる時間にもなります。

癖を「やめる」ことだけに目を向けると、心は「やめられない自分」に縛られがちです。でも、行き先のイメージがあれば、心はそちらへ向かいはじめます。

今日、気になる癖が出た瞬間があったら、ひとつだけ試してみてください。その直前に何が見えていたかを、思い出してみること。きっかけに気づけたら、そこから先の道筋は、少しずつ選び直していけます。

A question for you

あなたへの問い

その癖が始まる直前、あなたの目には何が見えていますか?

このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。

よくある質問

スウィッシュは何に使えますか?

爪をかむ、ついお菓子に手が伸びるといった小さな癖や、特定の場面で起きる軽い緊張や苦手意識に使われることが多い技法です。きっかけがはっきりしている反応ほど試しやすいとされます。依存症やトラウマの症状は、専門家の支援を受けてください。

何回くらいやれば効果がありますか?

NLPでは、1回のセッションで5回ほどくり返すのが一般的とされますが、決まった回数の根拠はありません。数日に分けて試し、反応が変わらなければ、きっかけのイメージや、なりたい自分の姿を見直してみてください。

イメージがうまく浮かびません。それでもできますか?

はっきりした映像が浮かばなくても大丈夫です。「なんとなくこんな感じ」というぼんやりしたイメージで十分です。映像より声や言葉のほうが扱いやすい人は、聴覚のスウィッシュから試してみてください。

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References

  • Bandler, R. (1985). Using Your Brain—for a Change. Real People Press.
  • Andreas, S., & Andreas, C. (1987). Change Your Mind—and Keep the Change. Real People Press.
  • O'Connor, J., & Seymour, J. (1990). Introducing Neuro-Linguistic Programming. Mandala.
  • Holmes, E. A., & Mathews, A. (2010). Mental imagery in emotion and emotional disorders. Clinical Psychology Review, 30(3), 349–362.
  • Hayes, S. C., Strosahl, K. D., & Wilson, K. G. (2012). Acceptance and Commitment Therapy: The Process and Practice of Mindful Change (2nd ed.). Guilford Press.
  • Sturt, J., Ali, S., Robertson, W., Metcalfe, D., Grove, A., Bourne, C., & Bridle, C. (2012). Neurolinguistic programming: A systematic review of the effects on health outcomes. British Journal of General Practice, 62(604), e757–e764.
  • Witkowski, T. (2010). Thirty-five years of research on neuro-linguistic programming. NLP research data base. State of the art or pseudoscientific decoration? Polish Psychological Bulletin, 41(2), 58–66.
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。