No.03 Connect人とつながる
メタメッセージとは?言葉の裏で伝わるもの
メタメッセージとは、言葉の内容とは別に、声の調子や言い方、タイミングから伝わってしまう意味のこと。メタコミュニケーションとの違い、すれ違いが起きるしくみ、「関係について話す」ことでこじれをほどく方法を紹介します。
この記事の結論
メタメッセージとは、言葉の内容とは別に、言い方やタイミング、声や表情から伝わる「この関係をどう見ているか」というメッセージです。すれ違いの多くは内容ではなくここで起きるため、内容の議論をいったん止めて、関係について話すと解けやすくなります。
- メタメッセージは、言葉と一緒に届く「あなたをどう見ているか」の合図
- けんかは内容で起きているようで、実はメタメッセージで起きていることが多い
- こじれたら、内容から一段上がって「関係について話す」と解けやすい
目次 Contents
「別に、いいけど」。言葉はたしかに了承なのに、なぜか胸がざわつく。そんな経験はありませんか。反対に、自分ではふつうに言ったつもりなのに、「なんでそんな言い方するの」と返されて戸惑ったこともあるかもしれません。
言葉の裏で何かが伝わっている。そう感じるあなたの感覚は、気にしすぎではありません。人は、言葉の中身と一緒に、もうひとつのメッセージを送り合っているからです。
このもうひとつのメッセージを、メタメッセージと呼びます。この記事では、メタメッセージとは何か、どこから伝わるのかを整理します。そのうえで、すれ違いが起きるしくみと、こじれた会話をほどく方法を紹介します。
メタメッセージとは? 一言でいうと
メタメッセージとは、言葉の内容とは別に伝わる、「この関係をどう見ているか」というメッセージのことです。「メタ」は「一段上の」という意味で、メッセージについてのメッセージ、と言いかえることもできます。
たとえば「今日は早く帰ってきてね」という一言。内容は帰宅時間のお願いです。でも、やわらかな声で言われれば「一緒に過ごしたい」が、きつい声で言われれば「この前遅かったのを怒っている」が伝わります。この後半の部分が、メタメッセージです。
この考え方の土台をつくったのは、人類学者のグレゴリー・ベイトソンです。のちにコミュニケーション研究のワツラウィックらは、ここから次のように整理しました。どんな発言にも「内容」と「関係」の2つの面があり、関係の面が、内容をどう受け取るかを方向づけている。
言語学者のデボラ・タネンは、日常会話のすれ違いを分析する中で、この「メタメッセージ」という言葉を広く紹介しました。会話で傷ついたり、うれしくなったりするとき、人は多くの場合、内容よりメタメッセージに反応している。彼女はそう指摘しています。
メタメッセージは、どこから伝わる?
メタメッセージは、声や表情だけから伝わるわけではありません。主な手がかりを整理すると、次のようになります。
| 手がかり | 例 | 伝わりやすいメタメッセージ |
|---|---|---|
| 声・表情・しぐさ | ため息まじりの「ありがとう」 | 本当は迷惑だった |
| 言葉の選び方 | 「やってくれる?」と「やっておいて」 | 頼んでいるのか、命じているのか |
| タイミング | 大事な相談に、翌日まで返事がない | 優先順位が低い |
| 量・頻度 | 自分の話にだけ質問が少ない | あまり関心がない |
| 順番・相手 | 大事な決定を、自分が最後に知った | 信頼されていない |
| 言わなかったこと | 成果の報告に、ねぎらいの一言がない | 当たり前だと思われている |
ここでの「伝わりやすいメタメッセージ」は、研究で決まった対応ではなく、受け取る側に起こりやすい解釈の例です。同じ行動でも、関係や文脈が違えば、伝わる意味は変わります。
言葉と声・表情がずれたときに、態度のほうが信じられやすいことは、メラビアンの実験でも示されています。この実験は「見た目が9割」と誤解されがちなので、メラビアンの法則とは?よくある誤解と正しい理解で元の条件を確かめてみてください。
メタコミュニケーションとの違い
メタメッセージと似た言葉に、「メタコミュニケーション」があります。2つの違いを表にまとめました。
| メタメッセージ | メタコミュニケーション | |
|---|---|---|
| 意味 | 言葉と一緒に伝わる、関係についての意味 | やりとりや関係について、あらためて話すこと |
| 意識 | 送る側も受ける側も、気づかないことが多い | 意識して言葉にする |
| 例 | 目を合わせずに言う「お疲れさま」 | 「さっき目を合わせてくれなかったのが、少し気になって」 |
メタメッセージは、送ろうと思わなくても伝わってしまうものです。ワツラウィックらは「人はコミュニケーションしないでいることはできない」と述べました。黙っていることも、返事をしないことも、何かを伝えてしまいます。
一方のメタコミュニケーションは、その見えないやりとりを、テーブルの上に出して話すことです。すれ違いをほどく鍵は、こちらにあります。
すれ違いは、内容ではなく関係の面で起きている
言い争いがこじれるとき、話題はたいてい「内容」です。でも、本当にぶつかっているのは、メタメッセージのほうであることが少なくありません。
内容の話で関係のもつれを解こうとすると、議論は空回りします。「取りこむ、取りこまない」の勝ち負けがついても、「わかってもらえていない」という気持ちは残るからです。
もうひとつ、読み違いも起こります。受け取ったメタメッセージには、受け取った側の解釈が含まれています。相手は疲れていただけなのに、「私に怒っている」と受け取ってしまう。読み取った意味を、事実だと思いこむところから、すれ違いが深まっていきます。
こじれをほどく「関係について話す」4つのステップ
すれ違いを感じたら、内容の議論をいったん止めて、一段上から関係について話してみます。これがメタコミュニケーションです。
1. 内容の議論を、いったん止める
「ちょっと待って。洗濯物の話じゃない気がしてきた」。こう言うだけで、ぶつかり合っていた二人が、同じ方向を向きやすくなります。
2. 受け取ったメタメッセージを、自分の感じ方として伝える
「気がきかないって言われた気がして、悲しくなった」。ポイントは、「あなたは〜と思っている」と決めつけず、「私は〜と受け取った」と伝えることです。自分を主語にする伝え方は、アイメッセージとは?ユーメッセージとの違いと例文で詳しく紹介しています。
3. 相手の意図を確かめる
「そういうつもりだった?」と聞いてみます。多くの場合、相手が伝えたかったことは、受け取ったものと少し違っています。「責めたかったわけじゃなくて、一人で抱えている気がしてた」。ここで、本当の話題が見えてきます。
4. 本当に伝えたかったことを、言葉で言い直す
最後に、メタメッセージで伝わってしまっていたことを、言葉にします。「家のことを、一緒に気にしてほしかった」。言葉にされた気持ちは、ため息や皮肉よりずっと受け取りやすくなります。
メタメッセージに振り回されないために
メタメッセージに敏感なのは、悪いことではありません。人の気持ちを大切にしたいからこそ、言葉の裏が気になるのです。ただ、敏感すぎると、ささいな言い方の一つひとつに傷ついて、疲れてしまいます。
受け取った意味は「仮説」として持つ
「冷たくされた」と感じたら、それを一度「冷たくされたのかもしれない」に置き直してみてください。寝不足、空腹、ほかの心配ごと。相手の態度には、あなたと関係のない理由もたくさんあります。相手の変化を決めつけずに観察する方法は、キャリブレーションとは?相手の変化に気づく力が参考になります。
自分が送っているメタメッセージにも目を向ける
相手の言い方が気になるとき、自分の言い方にも同じことが起きているかもしれません。忙しいときの短い返事、スマホを見ながらの相づち。小さな心がけで、伝わる意味は変わります。
誤解されたくないメタメッセージは、先に言葉にする
忙しくて返事が短くなるとき、考えごとで表情が硬くなるとき。そのままでは、相手は「怒っているのかな」と受け取るかもしれません。
そんなときは、伝わってしまいそうな意味を、先に言葉で打ち消しておきます。「今日は余裕がなくて短い返事になるけど、怒ってるわけじゃないよ」。表情や声だけに任せず、関係についての一言を添えるのも、小さなメタコミュニケーションです。表情や声そのものが伝えることは、非言語コミュニケーションとは?表情・声・しぐさで紹介しています。
言葉では「いいよ」なのに態度で「だめ」を伝えるような、矛盾したメッセージが続くと、受け手は身動きがとれなくなります。この状態は「ダブルバインド」と呼ばれ、ダブルバインドとは?逃げ場のない言葉の正体で扱っています。
言葉の裏を、言葉にしてみる
メタメッセージは、消すことができません。人と人がいる限り、言葉と一緒に「あなたをどう見ているか」は伝わり続けます。
だからこそ、ときどき、それを言葉にしてみてください。「さっきの言い方、ちょっと気になって」「責めてるわけじゃないよ」。言葉の裏を言葉にすると、関係の空気は、思っているより早く変わります。
まずは今日、誰かに「ありがとう」を言うときに、少しだけ相手の目を見てみてください。同じ一言でも、伝わるものが変わるはずです。
A question for you
あなたへの問い
最近、言葉より「言い方」が心に残った会話はありましたか?
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よくある質問
メタメッセージとメタコミュニケーションの違いは何ですか?
メタメッセージは、言葉と一緒に伝わる「関係についての意味」そのものです。メタコミュニケーションは、そのやりとりや関係について、あらためて言葉にして話すことを指します。たとえば「さっきの言い方、責められた気がした」と伝えるのがメタコミュニケーションです。
メタメッセージは、非言語コミュニケーションと同じですか?
重なる部分は大きいですが、同じではありません。声や表情だけでなく、言葉の選び方、返信の速さ、誰に先に話したかといった言語的な手がかりからも、メタメッセージは伝わります。
相手のメタメッセージを読み違えないコツはありますか?
読み取ったことを、事実として扱わないことです。「怒っている」と決めつける前に、「少し疲れているように見えるけど、どう?」と確かめてみてください。受け取った意味は、こちらの解釈を含んだ仮説にすぎません。
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References
- Ruesch, J., & Bateson, G. (1951). Communication: The Social Matrix of Psychiatry. W. W. Norton.
- Watzlawick, P., Beavin, J. H., & Jackson, D. D. (1967). Pragmatics of Human Communication. W. W. Norton.
- Tannen, D. (1986). That's Not What I Meant!: How Conversational Style Makes or Breaks Relationships. William Morrow.
- Bateson, G. (1972). Steps to an Ecology of Mind. Chandler Publishing.