No.03 Connect人とつながる

アサーティブとは?DESC法で上手に伝える方法

アサーティブとは、自分も相手も大切にしながら、言いたいことを率直に伝える自己表現のこと。攻撃的・受け身・アサーティブの違い、言えなくなる理由、DESC法の4ステップとクッション言葉、断る・頼む・反対するときの台本まで紹介します。

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この記事の結論

アサーティブとは、自分の気持ちや意見を大切にしながら、相手の立場も尊重して、率直に伝える自己表現のことです。我慢でも攻撃でもない第三の道です。言いにくいことは、状況を描写し、気持ちを表現し、具体的に提案し、結果を伝える「DESC法」で組み立てると伝えやすくなります。

  • アサーティブは、我慢でも攻撃でもない「自分も相手も大切にする」伝え方
  • DESC法は、描写・表現・提案・結果の4ステップで台本をつくる方法
  • 「言いすぎた」と感じても、相手には適切に見えていることが多い
目次 Contents
  1. アサーティブとは? 一言でいうと
  2. 3つのタイプで見る、自分の伝え方
  3. アサーティブになれない理由
  4. DESC法:言いにくいことを伝える4ステップ
  5. クッション言葉で、伝えやすくする
  6. 場面別:アサーティブな台本
  7. 小さな「いいえ」から、自分を取り戻す

頼まれると、断れない。会議で違和感があっても、空気を読んで黙ってしまう。そして、家に帰ってから「なんであのとき言えなかったんだろう」と、ひとりで反省会をする。そんな自分を変えたくて、このページを開いたのかもしれません。

あるいは反対に、言いたいことを言ったら、きつい言い方になって相手を傷つけてしまった。そんな後悔を抱えている人もいるでしょう。

言えないのも、言いすぎてしまうのも、あなたが人との関係を大切に思っているからこそ悩むのです。足りないのは勇気や性格の強さではなく、「自分も相手も大切にする伝え方」の型を知る機会だったのかもしれません。

この記事では、アサーティブの意味と、言いにくいことを伝えるDESC法、クッション言葉の使い方を紹介します。断る、頼む、反対意見を言うといった場面ごとの台本も用意しました。

アサーティブとは? 一言でいうと

アサーティブとは、自分の気持ちや意見を大切にしながら、相手の立場も尊重して、率直に伝える自己表現のことです。英語の assertive は「自己主張する」という意味ですが、ここでいう主張は、相手を言い負かすことではありません。

アサーティブの考え方は、1940〜50年代の行動療法の中で、「主張訓練」として生まれました(Wolpe, 1958)。その後、アルベルティとエモンズの著書『Your Perfect Right』によって、一般にも広まりました(Alberti & Emmons, 1970)。日本では、心理学者の平木典子が、アサーションを「自分も相手も大切にする自己表現」として紹介しました(平木, 1993)。

誰にでも「自分を表現してよい」権利がある

アサーションの考え方の土台には、「アサーション権」と呼ばれる考え方があります。たとえば、次のようなものです。

  • 誰もが、自分の気持ちや考えを表現してよい
  • 誰もが、頼まれたことを断ってよい
  • 誰もが、間違えることがあってよい

当たり前に見えるかもしれません。でも、「断るのは悪いこと」「間違えてはいけない」と思いこんでいると、自分にこの権利を認められなくなります。そして、同じ権利は相手にもある、というのがアサーションのもうひとつの側面です。

3つのタイプで見る、自分の伝え方

人の伝え方は、大きく3つのタイプに分けられます。同じ場面で比べてみます。

タイプ特徴返し方の例
攻撃的自分を優先し、相手を軽んじる「なんで私が? 自分でやってよ」
非主張的(受け身)相手を優先し、自分を後回しにする「……うん、わかった」(予定をキャンセルする)
アサーティブ自分も相手も大切にする「今夜は予定があって引き受けられないんだ。明日の午前中なら手伝えるけど、どうかな」

攻撃的な伝え方は、その場では言いたいことを通せても、関係にしこりを残します。受け身の伝え方は、その場の衝突は避けられますが、不満が自分の中にたまっていきます。

4つ目のタイプ:遠回しな攻撃

もうひとつ、見落とされがちなタイプがあります。表面上は従いながら、不機嫌な態度や皮肉、わざと遅らせるといった遠回しな形で不満を表すものです。「作為的」や「受動攻撃的」と呼ばれることもあります。

「わかりました」と言いながら、ため息をついてドアを強めに閉める。言葉にしないぶん、相手は何が問題なのかがわからず、関係はこじれていきます。どのタイプも、状況によって誰の中にも顔を出すものです。自分を責める材料ではなく、ふり返りの手がかりにしてください。

アサーティブになれない理由

嫌われるのが怖い

言いたいことを言えない理由として、いちばん多いのは「相手に嫌われたくない」という気持ちかもしれません。その気持ちは、人とのつながりを大切にする自然な心の働きです。人の目が気になるしくみについては、人の目が気になる理由と、気にしすぎない方法で詳しく扱っています。

「言いすぎたかも」という思いこみ

言いにくいことを伝えたあと、「きつく言いすぎたかもしれない」と落ちこむことがあります。でも、その感覚は、相手の受け止め方とずれていることがあります。

**「言いすぎたかも」と感じたときほど、実はちょうどよく伝わっている可能性があります。**ふだん我慢しがちな人ほど、この錯覚を知っておく価値があります。

言い慣れていない

言いたいことを伝えるのは、ひとつの技術です。言い慣れていなければ、うまくできないのは当然です。だからこそ、型を使って練習することが役に立ちます。次に紹介するDESC法は、そのための型です。

DESC法:言いにくいことを伝える4ステップ

DESC法は、バウアー夫妻が、アサーティブに伝えるための台本づくりの方法として示したものです(Bower & Bower, 1976)。4つのステップの頭文字をとっています。

ステップ意味伝えること例(残業の依頼を断る)
D:Describe描写する状況や相手の行動を、事実として描写する「明日の朝までに資料をまとめてほしい、ということだよね」
E:Express表現する自分の気持ちや考えを伝える「力になりたいけど、今夜は外せない予定があって、正直困っているんだ」
S:Specify提案する具体的な提案やお願いをする「明日の朝9時から1時間なら手伝えるけど、どうかな」
C:Consequences結果を伝える提案を受け入れてもらえた場合と、そうでない場合の結果を考えておく「それなら確実に仕上げられると思う。難しければ、ほかに頼めそうな人を一緒に考えよう」

D:事実と評価を分ける

最初のステップでは、事実を描写します。「いつも勝手に押しつけてくる」ではなく、「退勤間際に、明日朝までの資料を頼まれた」です。評価が混ざると、相手はそこで身構えてしまいます。

E:「私」を主語にする

2つ目のステップでは、自分を主語にして気持ちを伝えます。「あなたは無神経だ」ではなく、「私は困っている」。この伝え方は「アイメッセージ」と呼ばれ、アイメッセージとは?ユーメッセージとの違いと例文で詳しく紹介しています。

S:具体的で、実行できる提案を

3つ目は、提案です。「もう少し考えてほしい」のようなあいまいなお願いでは、相手は何をすればいいか迷います。「明日の9時から1時間なら」のように具体的なほうが、応じやすくなります。提案はひとつに絞らず、2〜3の選択肢を用意しておくと、話し合いの余地が生まれます。

C:相手が「いいえ」と言う可能性も考えておく

最後のステップでは、提案を受け入れてもらえた場合の結果を伝えます。同時に、受け入れてもらえなかった場合の次の手も考えておきます。アサーティブは、相手にも「いいえ」と言う権利があることを認める伝え方だからです。

クッション言葉で、伝えやすくする

言いにくいことの前に、ひと言を添えると、相手は受け止めやすくなります。こうした言葉を「クッション言葉」や「枕詞」と呼びます。

働きクッション言葉の例
相手の都合を気づかう「お忙しいところ恐縮ですが」「少しお時間をいただけますか」
許可を求める「ひとつ、気になったことを言ってもいいですか」
意見の範囲を限定する「あくまで私の見方ですが」「この点に限って言うと」
相手の意見を受け止める「おっしゃることはよくわかります。そのうえで」
感謝を先に伝える「声をかけてくれてありがとう。ただ、今回は」

ただし、クッション言葉を重ねすぎると、肝心の内容がぼやけます。「本当に申し訳ないんですが、もし可能であればなんですが、ちょっとだけ」。これでは、何を伝えたいのかが伝わりません。クッションはひとつで十分です。

また、言葉と同じくらい、声や表情も大切です。うつむいて小声で伝えると、言葉が整っていても、相手には「本気ではない」と受け取られることがあります。体が伝えるメッセージは、非言語コミュニケーションとは?表情・声・しぐさで扱っています。

場面別:アサーティブな台本

断る

「誘ってくれてうれしい。ただ、今週は体を休めたいから、今回はやめておくね。来月また声をかけてもらえるとうれしい」

頼む

「今月、締め切りが重なっていて、ひとりでは手が回らなくなりそうなんです。〇〇の作業だけ、お願いできませんか」

反対意見を言う

「この案のスピード感はいいと思います。そのうえで、ひとつ気になるのが予算です。テスト期間を設けてから判断する、という形はどうでしょうか」

相手の行動を改めてほしいと伝える

仕事の場面で相手の行動について伝えるときは、フィードバックとは?成長につながる伝え方の考え方も役に立ちます。相手を責めるのではなく、次にどうしてほしいかを具体的に伝えることがポイントです。

台本は、実際に使わなくてもかまいません。書くだけで、自分が何を望んでいたのかがはっきりします。言えなかった理由も見えてきます。言い方がわからなかったのか、本当は何を望んでいるかがわからなかったのか。その区別がつくだけでも、次の一歩が変わります。

小さな「いいえ」から、自分を取り戻す

アサーティブは、ある日突然、言いたいことを何でも言える人になることではありません。コンビニで「袋はいりません」と言う。友人の誘いに「今日は疲れているから、また今度」と返す。そんな小さな自己表現の積み重ねです。

言いたいことを伝えるのは、相手との関係を壊すためではなく、関係を長く続けるためです。我慢を重ねた関係は、どこかで限界がきます。率直に伝え合える関係は、ぶつかっても修復できます。

今週、ひとつだけ小さな「いいえ」か「お願い」を、言葉にしてみてください。自分の基準で選ぶ感覚を育てたい人は、自分軸で生きるには?他人軸との違いと整え方も手がかりになるはずです。

A question for you

あなたへの問い

最近、本当は「いいえ」と言いたかったのに、言えなかったことは?

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よくある質問

アサーティブとアサーションは、同じ意味ですか?

ほぼ同じ意味で使われます。アサーションは「自己表現」や「主張」を意味する名詞で、アサーティブはその形容詞です。日本では、心理学者の平木典子さんが、アサーションを「自分も相手も大切にする自己表現」として紹介し、広く知られるようになりました。

アサーティブに話すと、わがままだと思われませんか?

アサーティブは、自分の意見を通すことではなく、相手の意見も尊重しながら率直に伝えることです。言い方を工夫し、相手の言い分も聴く姿勢を示せば、わがままとは受け取られにくくなります。研究でも、自分では言いすぎたと感じた人が、相手からは適切だと見られていたという報告があります。

DESC法は、どんな場面で使えますか?

仕事の依頼を断る、頼みごとをする、相手の行動を改めてほしいと伝える、反対意見を言う、といった言いにくい場面で使えます。いきなりその場で使うのは難しいので、まずは紙に台本を書いてから伝えるのがおすすめです。

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References

  • Wolpe, J. (1958). Psychotherapy by Reciprocal Inhibition. Stanford University Press.
  • Alberti, R. E., & Emmons, M. L. (1970). Your Perfect Right: A Guide to Assertive Behavior. Impact.
  • Bower, S. A., & Bower, G. H. (1976). Asserting Yourself: A Practical Guide for Positive Change. Addison-Wesley.
  • 平木典子(1993)『アサーション・トレーニング:さわやかな〈自己表現〉のために』日本・精神技術研究所
  • Ames, D. R., & Flynn, F. J. (2007). What breaks a leader: The curvilinear relation between assertiveness and leadership. Journal of Personality and Social Psychology, 92(2), 307–324.
  • Ames, D. R., & Wazlawek, A. S. (2014). Pushing in the dark: Causes and consequences of limited self-awareness for interpersonal assertiveness. Personality and Social Psychology Bulletin, 40(6), 775–790.
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。