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潜在意識とは?顕在意識との違いと付き合い方

潜在意識とは、自覚しないまま働いている心の自動処理のこと。顕在意識との違い、心理学や認知科学でわかっていること、「95%」「引き寄せ」などのよくある誤解、習慣や反応を現実的に変える付き合い方を紹介します。

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この記事の結論

潜在意識とは、自分では気づかないまま働いている心のはたらきのことです。習慣や直感、とっさの反応の多くを支えています。願えば叶う不思議な力ではなく、脳の自動処理と考えると、習慣やきっかけを整えることで少しずつ付き合い方を変えられます。

  • 潜在意識は、気づかないまま働く心の自動処理。習慣や直感を支えている
  • 「95%」「引き寄せ」など、根拠のはっきりしない説明には注意が必要
  • 変えたいときは、願うよりも、きっかけと環境と小さな行動を整える
目次 Contents
  1. 潜在意識とは? 一言でいうと
  2. 心理学・認知科学からみた潜在意識
  3. よくある誤解:「95%」「引き寄せ」「サブリミナル」
  4. 潜在意識と上手に付き合う4つの方法
  5. 「潜在意識を書き換える」は、どこまでできる?
  6. 気づけないものを、怖がらなくていい

変わりたいと頭ではわかっているのに、気づくといつもの行動をくり返している。早く寝ようと決めたのに、気づけば夜中までスマホを見ている。人前に立つと、理由もなく体がこわばる。

「自分の意志が弱いのだろうか」と責めたくなるかもしれません。でも、そこには意志の強さとは別の、心のしくみが関わっています。私たちの行動の多くは、自分では気づかないうちに動いている「自動運転」に支えられているのです。

その自動運転を指す言葉として、よく使われるのが「潜在意識」です。ただ、この言葉は自己啓発の世界で、「願えば叶う」「書き換えれば人生が変わる」といった形で語られることも少なくありません。

この記事では、潜在意識を不思議な力としてではなく、心理学や認知科学でわかってきた「心の自動処理」として整理します。そのうえで、習慣や反応を現実的に変えていくための付き合い方を紹介します。

潜在意識とは? 一言でいうと

潜在意識とは、自分では気づかないまま働いている心のはたらきのことです。習慣、直感、とっさの感情、体の反応などの多くは、この自覚されない処理に支えられています。

たとえば、自転車に乗るとき、ペダルのこぎ方やバランスのとり方を一つひとつ考えている人はいません。慣れた通勤路を歩くとき、角を曲がるたびに道を思い出す必要もありません。こうした自動的な処理のおかげで、私たちは限られた注意を、本当に考えるべきことに使えるのです。

顕在意識との違い

潜在意識と対になるのが、顕在意識です。今まさに自分で気づいている考えや感覚のことです。

顕在意識潜在意識
気づいているか気づいている気づいていない
処理の速さゆっくり速い
得意なこと新しい問題を考える、計画を立てる慣れた動作、直感的な判断、とっさの反応
疲れやすさ使うと疲れやすい比較的疲れにくい
例初めての道を地図で確かめる毎日の通勤路を考えずに歩く

この二つは、はっきり分かれた二つの部屋があるわけではありません。同じ脳のはたらきの、気づいている部分と気づいていない部分と考えるとわかりやすいでしょう。

「無意識」「潜在意識」は、どう違う?

日常では、「無意識」と「潜在意識」はほぼ同じ意味で使われます。ただ、言葉の出どころは少し違います。

「無意識」は、フロイトの精神分析で中心となった言葉です。フロイトは、意識から押しこめられた欲求や記憶が、心の奥で人を動かしていると考えました。一方、現代の心理学や認知科学では、「認知的無意識」という考え方が広がっています(Kihlstrom, 1987)。押しこめられたものというより、知覚や記憶、判断などを支える、ふだんの自動処理として無意識をとらえる見方です。

この記事でいう潜在意識も、この「ふだんの自動処理」に近い意味で使います。

心理学・認知科学からみた潜在意識

自覚しないまま心が働いていることは、さまざまな研究から確かめられてきました。

自分の行動の理由は、案外わかっていない

心理学者のニスベットとウィルソンは、こんな実験を報告しています。店頭に同じ品質のストッキングを並べ、どれがいちばん良いかを選んでもらいました。すると、右側に置かれたものほど選ばれやすかったのです。

ところが、選んだ理由を聞かれた人は、「生地の手ざわりがいい」などと答えました。置かれた位置が影響したと答えた人は、ほとんどいなかったといいます(Nisbett & Wilson, 1977)。人は、自分の行動の本当の理由に、いつも気づけているわけではないのです。

毎日の行動の多くは、習慣で動いている

ウッドらの研究では、大学生などの参加者に、日々の行動を記録してもらいました。すると、記録された行動のおよそ4割は、ほぼ毎日同じ場所でくり返される習慣的なものでした(Wood ら, 2002)。

習慣的な行動をしているとき、人は別のことを考えていることが多いとも報告されています。体は自動運転で動き、頭は別のことを考えている。私たちの毎日は、そんな二重の動きでできているのです。

速い思考と、遅い思考

心理学者のダニエル・カーネマンは、人の思考を二つに分けて説明しました。直感的で速く、努力を必要としない「システム1」。じっくり考え、注意と努力を必要とする「システム2」です。

潜在意識という言葉で語られるものの多くは、このシステム1のはたらきと重なります。速くて便利ですが、思い込みや偏りの影響も受けやすいのが特徴です。

よくある誤解:「95%」「引き寄せ」「サブリミナル」

潜在意識については、根拠のはっきりしない説明も広まっています。代表的なものを整理しておきます。

「意識は5%、潜在意識は95%」

この種の数字はよく目にしますが、確かな研究にもとづくものではありません。気づかない処理が多いことは確かですが、それを何%と測る方法は確立されていないのです。数字は、わかりやすさのためのたとえとして受け取ってください。

「潜在意識に願いを刻めば、引き寄せられる」

願うだけで現実が引き寄せられる、という考えを裏づける科学的な根拠はありません。むしろ、理想の未来を楽しく思い描くだけでは、行動する力がかえって弱まることがあるという研究もあります(Oettingen & Mayer, 2002)。

「サブリミナルで人を操れる」

1950年代、映画の中に一瞬だけ「ポップコーンを食べろ」と映すと売上が伸びた、という話が広まりました。しかし、この話を広めた本人が、のちにデータが不十分だったと認めたとされています。

実験室では、気づかないほど短く見せた情報が、条件しだいで選択に小さな影響を与えることも報告されています。たとえば、のどが渇いている人にだけ、飲み物のブランド選びに影響が見られたという研究です(Karremans ら, 2006)。とはいえ、人を思いどおりに操れるような強い効果ではありません。

潜在意識と上手に付き合う4つの方法

潜在意識は、命令して従わせるものではありません。でも、そのしくみを知れば、付き合い方を工夫することはできます。

1. 「自動運転」に気づく

まずは、自分がどんな場面で自動運転をしているのかに気づくことから始めます。気づいていない習慣は、変えようがないからです。

記録してみると、自動運転のきっかけは、意外と決まった形をしていることに気づきます。「疲れて帰宅した直後」「誰かに注意されたあと」「手持ちぶさたな待ち時間」。きっかけが見えれば、そこに別の行動を置く準備ができます。

自分の考えや行動を一歩引いて眺める力は「メタ認知」と呼ばれます。詳しくはメタ認知とは?自分を客観視する力の鍛え方で紹介しています。

2. 習慣は、きっかけと環境から変える

習慣を変えたいとき、意志の力だけに頼ると長続きしにくいものです。習慣は、決まったきっかけに反応して動き出すからです。

効果的なのは、きっかけそのものを変えることです。寝る前のスマホをやめたいなら、充電器を寝室の外に置く。新しい習慣をつくりたいなら、「歯をみがいたら、ストレッチを1分する」のように、すでにある習慣に結びつけます。

新しい習慣が自動的になるまでの期間を調べた研究では、真ん中の値で66日ほど、人によっては8か月以上かかりました(Lally ら, 2010)。数日で身につかなくても、意志が弱いせいではありません。具体的なコツは、習慣化のコツ|小さな変化が人生を変える理由で紹介しています。

3. アイデアは「寝かせる」

考えに行きづまったとき、いったん離れて別のことをしていると、ふと答えが浮かぶことがあります。心理学では「あたため効果」と呼ばれ、多くの研究をまとめた分析でも、一定の効果が報告されています(Sio & Ormerod, 2009)。

意識が考えるのをやめている間も、心は情報を整理し続けているのかもしれません。行きづまったら、散歩や入浴の時間をあえてとってみてください。

4. 言葉かけは、信じられる言葉で

「私は最高だ」と唱えて潜在意識を変える、という方法がよく紹介されます。しかし、自己評価が低い人が「私は愛される人間だ」とくり返すと、かえって気分が下がったという研究があります(Wood ら, 2009)。

自分に向ける言葉は、今の自分が少し信じられるものを選ぶのがおすすめです。「私は完璧だ」より、「今日は一つできた」。そのほうが、心の中で反発が起きにくくなります。言葉の選び方は、アファメーションとは?効果的な作り方と例文でも扱っています。

「潜在意識を書き換える」は、どこまでできる?

「潜在意識を書き換える」という言葉には、一度の作業で心の奥を入れ替えるようなイメージがあります。けれど、実際の変化は、もっとゆっくりしたものです。

とっさの反応や思い込みは、くり返しの経験で形づくられてきました。だから変えるときも、新しい経験のくり返しが必要です。「人前で話すと失敗する」と感じている人なら、小さな場で話して、無事に終わる経験を重ねる。その積み重ねが、少しずつ自動運転の向きを変えていきます。

変わろうとすると、いつもの状態に戻ろうとする力がはたらくこともあります。それは異常ではなく、心と体が安定を保とうとするしくみです。ホメオスタシスとは?変われないのは脳の仕組みもあわせて読んでみてください。

体の反応は、潜在意識からの手紙

人前に立つと手が冷たくなる。ある人の名前を聞くと、胸が少し重くなる。こうした体の反応は、頭で考えるより先に、心が何かを感じとっているしるしです。

体の反応を無理に消そうとしなくてかまいません。「今、肩に力が入っているな」と気づいて、言葉にしてみる。そして、その反応がどんな場面で起きるのかを観察する。自分では言葉にならない思いや願いが、そこから見えてくることがあります。

自分を縛っている思い込みに気づきたい人は、ビリーフとは?自分を縛る思い込みの外し方が次の一歩になります。

気づけないものを、怖がらなくていい

自分の中に、気づけない心のはたらきがある。そう聞くと、少し不安になるかもしれません。けれど、潜在意識は敵ではありません。毎日の動作を引き受け、あなたの注意を大切なことのために空けてくれている、働き者の相棒です。

相棒の動きを全部コントロールする必要はありません。どんな場面でどう動くのかを知り、ときどき道筋を整えてあげる。それで十分です。

今日一つだけ、「気づいたらやっていたこと」を書きとめてみてください。自動運転に気づいた瞬間、あなたはもう、ハンドルに手をかけています。

A question for you

あなたへの問い

今日、気づかないうちに「自動運転」でしていたことは何ですか?

このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。

よくある質問

潜在意識と無意識は、同じ意味ですか?

日常的にはほぼ同じ意味で使われます。厳密には、「無意識」はフロイトの精神分析で使われてきた言葉で、「潜在意識」は自己啓発の分野でよく使われる言葉です。心理学や認知科学では、「無意識的な処理」「自動的な処理」といった言い方をすることが多いです。

潜在意識を書き換えると、人生が変わりますか?

「書き換える」という言葉のイメージほど、一度で大きく変わるものではありません。ただ、くり返しの行動や経験によって、とっさの反応や習慣は少しずつ変わっていきます。小さな行動を積み重ねることが、結果として潜在意識の変化につながります。

寝る前にアファメーションを唱えると、潜在意識に届きますか?

寝る前の時間に特別な効果があることを示す、確かな研究はありません。また、自分で信じられない肯定的な言葉をくり返すと、かえって気分が落ちこむ人がいるという報告もあります。唱えるなら、今の自分が少し信じられる言葉を選ぶのがおすすめです。

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References

  • Kihlstrom, J. F. (1987). The cognitive unconscious. Science, 237(4821), 1445–1452.
  • Wilson, T. D. (2002). Strangers to Ourselves: Discovering the Adaptive Unconscious. Harvard University Press.
  • Nisbett, R. E., & Wilson, T. D. (1977). Telling more than we can know: Verbal reports on mental processes. Psychological Review, 84(3), 231–259.
  • Wood, W., Quinn, J. M., & Kashy, D. A. (2002). Habits in everyday life: Thought, emotion, and action. Journal of Personality and Social Psychology, 83(6), 1281–1297.
  • Kahneman, D. (2011). Thinking, Fast and Slow. Farrar, Straus and Giroux.
  • Doyen, S., Klein, O., Pichon, C.-L., & Cleeremans, A. (2012). Behavioral priming: It's all in the mind, but whose mind? PLoS ONE, 7(1), e29081.
  • Karremans, J. C., Stroebe, W., & Claus, J. (2006). Beyond Vicary's fantasies: The impact of subliminal priming and brand choice. Journal of Experimental Social Psychology, 42(6), 792–798.
  • Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009.
  • Sio, U. N., & Ormerod, T. C. (2009). Does incubation enhance problem solving? A meta-analytic review. Psychological Bulletin, 135(1), 94–120.
  • Wood, J. V., Perunovic, W. Q. E., & Lee, J. W. (2009). Positive self-statements: Power for some, peril for others. Psychological Science, 20(7), 860–866.
  • Oettingen, G., & Mayer, D. (2002). The motivating function of thinking about the future: Expectations versus fantasies. Journal of Personality and Social Psychology, 83(5), 1198–1212.

本当の人生を生きる 編集部

コーチング・NLP・心理学の書籍や研究をもとに、自分を知るための知恵を、やさしい言葉でお届けしています。記事は編集方針に沿って作成し、定期的に見直しています。