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自己分析のやり方一人でできるワーク7選
自己分析のやり方を、就活の型にはめるのではなく「本当の自分を知る」ために組み立てたワーク7選で紹介。ライフラインチャート、ジョハリの窓、人生の輪など一人でできる手順と、考えすぎて迷子にならないコツ、結果の活かし方まで。
この記事の結論
自己分析とは、自分の価値観・強み・心が動くパターンを、体験という証拠から言葉にしていく作業です。一人で進めるなら、過去をふり返るワーク、今を見渡すワーク、人から見た自分を知るワークを組み合わせるのがおすすめです。結論を急がず、仮説として何度も更新していきます。
- 自己分析は「正解探し」ではなく、体験を証拠に自分の仮説を立てる作業
- 過去・現在・他者の目という3つの方向から見ると、偏りが少なくなる
- 考えすぎて苦しくなったら、「なぜ?」を「何が?」に変えて書き直す
目次 Contents
就職活動を前にして、転職を考えはじめて、あるいは人生の節目で立ち止まって。「一度ちゃんと自分を見つめ直したい」と思ったとき、多くの人がまず手にとるのが自己分析です。
ところが、いざノートを開いても、何から書けばいいのかわからない。ワークシートを埋めてみたものの、出てきたのは「協調性がある」「責任感が強い」といった、どこかで聞いたような言葉ばかり。かえって自分がわからなくなった、という人も少なくありません。
うまくいかなかったのは、あなたに中身がないからではありません。自己分析には、陥りやすい落とし穴と、進めやすい順番があるのです。
この記事では、自己分析を就活のためだけでなく、「本当の自分を知る」ための作業としてとらえ直します。そのうえで、一人でできる7つのワークを、過去・現在・他者の目という3つの方向から紹介します。考えすぎて迷子にならないコツや、結果の活かし方もまとめました。
自己分析とは? 一言でいうと
自己分析とは、自分の価値観・強み・心が動くパターンを、体験という証拠から言葉にしていく作業です。性格を診断して、ラベルを貼ることではありません。
ポイントは「証拠から」という部分です。「私は粘り強い」と書くだけなら、誰にでもできます。どんな場面で、何をして、どう感じたのか。具体的な体験と結びついてはじめて、その言葉はあなただけのものになります。
「内側から見た自分」と「外から見た自分」
組織心理学者のターシャ・ユーリックは、自己認識を2つに分けて考えています(Eurich, 2017)。自分の価値観や感情を、自分自身がどれだけ理解しているか。そして、周りの人から自分がどう見えているかを、どれだけ理解しているかです。
この2つは、必ずしも一致しません。自分ではよくわかっているつもりでも、人からの見え方には気づいていないことがあります。自己分析では、両方の方向から自分を見ることが大切です。
「ふり返る」ことと「わかる」ことは別
自分のことをよく考える人ほど、自分をよく理解している。そう思いがちですが、研究では、そう単純ではないことが示されています。
自分についてふり返る習慣の強さと、自分への洞察の深さは、別のものとして測ることができます(Grant ら, 2002)。たくさん考えても、それが洞察につながるとは限らないのです。だからこそ、やみくもに考えるより、手順のあるワークが役に立ちます。
自己分析がうまくいかない3つの落とし穴
1. 「正解の自分」を探してしまう
面接で評価されそうな答え、人に見せて恥ずかしくない答え。そうした「正解」を探しながら自己分析をすると、出てくるのは無難な言葉ばかりになります。
自己分析のノートは、誰にも見せなくてかまいません。「本当は目立ちたい」「楽をしたい」。照れくさい本音こそ、あなたを知るための大切な材料です。
2. 考えるほど、ぐるぐる回ってしまう
「なぜ私はいつもこうなんだろう」。この問いを何度もくり返すと、気分が落ちこみ、同じ結論に戻ってきがちです。
心理学では、自分に注意を向けることを2種類に分けて考えます。不安や後悔をくり返し考える「反すう」と、好奇心をもって自分を探る「内省」です(Trapnell & Campbell, 1999)。自己分析が苦しくなってきたら、それは内省ではなく反すうに入っているサインかもしれません。その場合は、問いを「なぜ?」から「何が?」「どんなときに?」に変えてみてください。
3. 診断結果を、そのまま信じてしまう
性格診断やタイプ分けは、手軽で楽しいものです。ただ、心理学者フォアの古典的な実験では、学生たちに、誰にでも当てはまる同じ性格の説明を配りました(Forer, 1949)。すると、多くの学生が「自分によく当てはまる」と評価したのです。
この「誰にでも当てはまる説明を、自分のことだと感じてしまう」心理は、フォアにちなんで「フォア効果」と呼ばれます。また、広く使われているタイプ診断の中にも、結果の安定性などについて研究者から疑問が出されているものがあります(Pittenger, 2005)。診断は入口としては便利ですが、結果は仮説として扱うのが安全です。
始める前に:ノートと3つのルール
ワークに入る前に、準備を整えておきます。用意するものは、ノート1冊とペンだけです。スマホのメモでもかまいませんが、手で書くほうが考えがゆっくり進む、という人もいます。
進めるときは、次の3つのルールを意識してみてください。
- 事実 → 感情 → 意味の順に書く:「何があったか」「どう感じたか」「自分にとって何だったか」の順です。この順番を守ると、思いこみが混ざりにくくなります。
- 書いている途中で評価しない:「こんなこと書いても」と思っても、まず書き切ります。選んだり捨てたりするのは、あとからです。
- 書いたら、数日寝かせる:少し時間をおいて読み返すと、書いた直後には見えなかった共通点や発見に気づきやすくなります。
一人でできる自己分析ワーク7選
ここからは、7つのワークを紹介します。ワーク1〜2は、過去をふり返るもの。3は、今を見渡すもの。4〜5は、人から見た自分を知るもの。6〜7は、全体をまとめて日常につなげるものです。
ワーク1:ライフラインチャートで、人生の波を描く
ライフラインチャートは、これまでの人生の浮き沈みを1本の線で描くワークです。就職活動では「モチベーショングラフ」とも呼ばれます。
このワークの見どころは、上がった理由と下がった理由の両方です。たとえば、充実していた時期にはいつも「任されていた」なら、裁量があることがあなたの力の源なのかもしれません。
ワーク2:心が動いた場面から、価値観を掘る
うれしかった場面、腹が立った場面、なぜか涙が出た場面。心が大きく動いた体験には、あなたが大切にしている価値観が表れます。
まず、最近の1〜2年で心が動いた場面を3〜5つ書き出します。そのうえで、「そこで何が満たされていたか」「何が踏みにじられたか」を書き足していきます。くわしい手順は、価値観の見つけ方|大切なものを言葉にするワークで紹介しています。
ワーク3:人生の輪で、今のバランスを見渡す
人生の輪(バランスホイール)は、コーチングで広く使われているワークです。人生をいくつかの領域に分け、それぞれの満足度を円グラフのように描きます。
- 円を描き、ケーキのように8つに区切ります。
- 各領域に名前をつけます。たとえば、仕事、お金、健康、家族、友人、学び、遊び、住まい。自分に合う領域に入れ替えてかまいません。
- 中心を0、外側を10として、今の満足度を各領域に点で書きこみ、点を線で結びます。
- でこぼこの形を眺めて、いちばん気になる領域をひとつ選びます。
このワークの役割は、過去ではなく「今」の自分を見渡すことです。どの領域が満たされ、どこが置き去りになっているか。自己分析が過去の掘り下げに偏ったときの、よいバランスになります。詳しくは人生の輪(バランスホイール)で人生を見渡すをどうぞ。
ワーク4:ジョハリの窓で、人から見た自分を知る
ジョハリの窓は、心理学者のジョセフ・ルフトとハリー・インガムが1955年に発表した、自己理解のモデルです。自分を、次の4つの窓に分けて考えます。
| 窓 | 自分は | 他人は | たとえば |
|---|---|---|---|
| 開放の窓 | 知っている | 知っている | 人前で話すのが得意 |
| 盲点の窓 | 知らない | 知っている | 困っている人に、真っ先に気づく |
| 秘密の窓 | 知っている | 知らない | 実は人見知りで、無理をしている |
| 未知の窓 | 知らない | 知らない | まだ試していない分野の才能 |
自己分析で特に役立つのは、「盲点の窓」です。心理学者のシミン・ヴァザイアは、自分と他人では、よく見えている部分が違うと論じました(Vazire, 2010)。不安のように内面で起きる特徴は、本人のほうがよく知っています。一方で、知的さや創造性のように評価が絡む特徴は、周りの人のほうが正確にとらえていることがある、と報告されています。自分をよく見せたい気持ちや、逆に厳しく見すぎる癖が、自己評価をゆがめやすいからだと考えられています。
やり方はシンプルです。信頼できる人を2〜3人選び、「私の長所を3つ、短所を1つ教えて」と頼みます。返ってきた答えのうち、自分では意外だったものが、盲点の窓に入っていた情報です。くわしくはジョハリの窓とは?4つの窓でする自己分析で紹介しています。
ワーク5:「いちばんよかったときの自分」を、人に教えてもらう
ワーク4を一歩進めたのが、このワークです。ポジティブ組織論の研究者たちが提案した「リフレクテッド・ベストセルフ」という方法をもとにしています(Roberts ら, 2005)。
まず、家族や友人、同僚など、立場の違う人に短いメッセージを送ります。「私がいちばん力を発揮していたと思う場面を、ひとつ教えてほしい」。返ってきたエピソードを並べ、共通するパターンを探します。
このワークの特徴は、弱点ではなく、あなたが最もよい状態だった場面に焦点を当てることです。人に頼むのは少し勇気がいります。でも、思いがけない場面を覚えていてもらえたことに、心が温まる人も多いはずです。
ワーク6:強みを「動詞」で棚卸しする
強みというと、「リーダーシップ」「コミュニケーション力」のような大きな言葉を思い浮かべがちです。けれども、それではほかの人との違いが見えません。
ワーク1〜5で出てきた場面を見返して、そこで自分がしていたことを「動詞」で書き出してみてください。「話をまとめる」「違和感に気づく」「場を和ませる」「段取りを組む」。2回以上出てくる動詞が、あなたの強みの候補です。強みの見つけ方は、強みの見つけ方|資質と才能を言葉にするで掘り下げています。
ワーク7:「何が?」でふり返る週1回のノート
最後のワークは、自己分析を一度きりで終わらせないためのものです。週に1回、10分だけ時間をとり、次の3つの問いに答えます。
1か月続けると、ワーク1〜6で立てた仮説が、日々の実感で確かめられていきます。
目的別:どのワークから始める?
7つのワークを全部やる必要はありません。今の目的に合わせて、2〜3個から始めてみてください。
| 目的 | おすすめの組み合わせ | ねらい |
|---|---|---|
| 就職・転職の準備 | ワーク1 → 6 → 5 | 体験と強みを結びつけ、人に伝わる言葉にする |
| 人生の節目で立ち止まっている | ワーク3 → 2 → 1 | 今の状態を見渡し、大切にしたいものを確かめる |
| なんとなくもやもやする | ワーク7 → 2 | 日々の手ごたえから、小さな手がかりを集める |
| 人からどう見えるか知りたい | ワーク4 → 5 | 盲点を知り、自分では気づかない強みを見つける |
自己分析の結果を、どう使う?
ワークをいくつか終えたら、出てきた言葉をまとめてみましょう。
3行の「自分の取扱説明書」をつくる
次の3つの文を、自分の言葉で埋めてみてください。
- 私は、__を大切にしている。
- 私は、__するときに力を発揮する。
- 私は、__の状態だとエネルギーが減る。
完璧な文でなくてかまいません。この3行があるだけで、仕事や人間関係で迷ったときに、「自分に合っているのはどちらか」を考える手がかりになります。
小さな行動で確かめる
3行が書けたら、それを日常で試してみます。「順番に並べ直すときに力を発揮する」と書いたなら、次の会議で議事メモの整理を引き受けてみる。やってみて手ごたえがあれば、仮説は少し確かになります。違和感があれば、言葉を修正します。
自己分析は、ノートの上だけで完結させないことが大切です。考えた自分と、行動したときの自分。その2つを照らし合わせるうちに、言葉の精度が上がっていきます。
結論は「仮説」として持ち歩く
自己分析の結果は、確定した答えではなく、今の時点での仮説です。人は、環境や経験によって変わっていきます。数か月後に読み返して、「ここは違う」と感じたら、書き直してかまいません。
むしろ、書き直せることこそが、自己分析を続ける意味です。そもそも自分の気持ちがつかめず、手が止まってしまう人もいるでしょう。その場合は、「自分がわからない」ときに試したい7つの問いから始めるのもおすすめです。
自己分析は、一度きりの答え合わせではない
自己分析と聞くと、どこかにある「本当の自分」という正解を、見つけ出す作業のように感じるかもしれません。でも実際は、もっとゆるやかなものです。体験を集め、言葉にし、ときどき並べ直す。そのくり返しの中で、自分という人物の輪郭が少しずつはっきりしていきます。
一度で全部がわからなくても、心配はいりません。今日書いた一行が、半年後のあなたにとって大切な手がかりになることがあります。
まずは、今週どれかひとつのワークを試してみてください。ノートの最初のページに、今日の日付を書く。それが、あなた自身との長いつきあいの、最初の一行になります。
A question for you
あなたへの問い
あなたが「いちばん自分らしかった」と思う時期は、いつですか?
このメモは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。誰にも送信されません。
よくある質問
自己分析には、どれくらい時間をかければいいですか?
最初は、1つのワークに15〜30分を目安にして、何日かに分けて進めるのがおすすめです。一度に全部やろうとすると疲れて、表面的な答えで終わりがちです。書いたものを数日寝かせて読み返すと、新しい気づきが出てきます。
自己分析ツールや診断は、どれを使えばいいですか?
性格の5つの特性を測るビッグファイブのように、研究の蓄積がある尺度を使った診断は、手がかりとして役に立ちます。ただ、誰にでも当てはまる説明を「自分のことだ」と感じやすい心理もあります。結果は答えではなく仮説として受け取り、体験と照らし合わせて確かめてください。
自己分析をしすぎて、かえって自分がわからなくなりました。
考える量が増えすぎて、同じところをぐるぐる回っているのかもしれません。いったん分析をやめて、小さな行動を試したり、信頼できる人に「私ってどう見える?」と聞いたりしてみてください。自分の外から入ってくる情報が、行き詰まりをほどいてくれることがあります。
就活の自己分析と、この記事の自己分析は違うのですか?
使うワークは重なりますが、目的が少し違います。就活では「相手に伝わる自分の説明」をつくることが中心になります。この記事では、評価を気にせず、自分が何を大切にし、どこで力を発揮するのかを知ることを目的にしています。その土台があると、就活の説明にも自分の言葉が宿ります。
もう一歩深めたい人へ
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References
- Luft, J., & Ingham, H. (1955). The Johari window, a graphic model of interpersonal awareness. Proceedings of the Western Training Laboratory in Group Development. University of California, Los Angeles.
- Roberts, L. M., Dutton, J. E., Spreitzer, G. M., Heaphy, E. D., & Quinn, R. E. (2005). Composing the reflected best-self portrait: Building pathways for becoming extraordinary in work organizations. Academy of Management Review, 30(4), 712–736.
- Eurich, T. (2017). Insight: Why We're Not as Self-Aware as We Think, and How Seeing Ourselves Clearly Helps Us Succeed at Work and in Life. Crown Business.
- Grant, A. M., Franklin, J., & Langford, P. (2002). The self-reflection and insight scale: A new measure of private self-consciousness. Social Behavior and Personality, 30(8), 821–835.
- Trapnell, P. D., & Campbell, J. D. (1999). Private self-consciousness and the five-factor model of personality: Distinguishing rumination from reflection. Journal of Personality and Social Psychology, 76(2), 284–304.
- Vazire, S. (2010). Who knows what about a person? The self–other knowledge asymmetry (SOKA) model. Journal of Personality and Social Psychology, 98(2), 281–300.
- Forer, B. R. (1949). The fallacy of personal validation: A classroom demonstration of gullibility. Journal of Abnormal and Social Psychology, 44(1), 118–123.
- Pittenger, D. J. (2005). Cautionary comments regarding the Myers-Briggs Type Indicator. Consulting Psychology Journal: Practice and Research, 57(3), 210–221.